見出し画像

阿野全成伝 第一章目次

第1章「醍醐の萩花、悪禅師参上」全10回

🌟 原則 毎週日曜日 22時更新! 🌟✨(全50話予定)

源頼朝の異母弟にして、「悪禅師」と恐れられた阿野全成――北条時政の軍師として活躍し、波乱に満ちた生涯を歩んだ彼の物語がいま鮮烈に蘇る。父・源義朝の死、母・常盤御前の決断によって、幼い全成が選んだ道は、修行と孤独、そして運命の渦に巻き込まれる試練の連続だった。

「醍醐の黒胡蝶」と称される華やかな少年時代、北条時政と手を取りながら知略を駆使して戦う「悪禅師」としての時代、さらに武士たちを結びつける祈りの場「伊豆山権現」への道――全成は己の信念を貫き、武士の時代を切り拓いていく。そこには、家族や仲間たちとの絆、成親との別れ、そして東国を揺るがす戦乱の足音が常に寄り添う。

第一章では、平家との富士川の戦いを迎え、全成が北条時政の軍師としてその知略を発揮し、物語のクライマックスへと突き進む。源平の激動の時代、その中心で阿野全成が果たした使命と覚悟を鮮烈に描き出す壮大な物語が、いま幕を開ける――。



第一話「悪禅師の素顔」2025年1月5日

元暦元年(1184年)の秋、駿河国阿野荘。源頼朝の弟・阿野全成は、その威厳と冷徹さから「悪禅師」と恐れられていた。甲斐源氏の間者として潜入した太郎冠者と次郎冠者は、表向き穏やかな阿野荘の裏に潜む、恐ろしい秩序の支配者である全成の本性を目の当たりにする。宴席での緊迫した攻防、そして圧倒的な力で敵を制圧する全成。その行動の裏に隠された彼の覚悟と、守るべき土地への執念が描かれる。噂と現実が交錯する中、「悪禅師」の名が放つ影響が物語の鍵となる第一話。

第二話「雪の夜の誓い」2025年1月12日

冷たい雨が降り注ぐ愛鷹山の滝場。滝行に打たれながら、阿野全成は過去の記憶と向き合っていた。源頼朝の挙兵を支えるため、険しい東国の道を進んだ若き日の全成。義朝の死から20年が経ち、彼が抱えたのは家族の期待と悲劇の記憶だった。幼少期を過ごした佐々木家の雪の庭、そして父との別離が刻まれた日々――大切な者を守る決意を胸に秘め、彼は新たな未来への誓いを立てる。冷たい雨と共に、全成の覚悟が示される。

第三話「母にあずけた命」2025年1月19日

幼い今若、乙若、牛若を連れ、常盤御前は大和・宇陀の山道を進む。平家の追っ手を逃れながら訪れた頼政の屋敷で、異母兄の能恵や新宮十郎行家とつかの間の平穏な時をすごすが…。語られる源氏の命脈を守るための戦略。その中で、常盤は源氏の未来を守るため、平清盛に命を賭けた直談判を決意。命を懸けた母の覚悟に、幼い今若は何を思う。雪深い道中での親子の絆、母の意志を受け継ぎ、未来を託される子どもたちの運命がここに紡がれる。

第四話「醍醐の黒胡蝶」2025年1月26日

父・義朝を失い、運命に翻弄された今若(後の阿野全成)。都を離れ、山中の観音寺で修行に励む彼に訪れた新たな試練は、醍醐寺への稚児選抜――。美貌、才覚、そして舞の才能で圧倒的な輝きを放ち、「醍醐の黒胡蝶」と称される今若こと毘遮王。しかし、光の強さは影を生む。嫉妬の炎が燻る中、彼の前に現れたのは、仏師・運慶とのちの大僧正・重源。そして、女人禁制の掟を超えて現れる異端の存在、小蓮(しょうれん)。神仏の世界で輝きを増す毘遮王に、新たな人々との邂逅が波乱の運命を予感させる。光と影、才能と孤独が交錯する中、少年は己の道を問われる――。

第五話「芙蓉のまなざし」2025年2月2日

嘉応元年(1169年)、醍醐寺の大広間での優美な宴の夜。月光の中、舞を披露する毘遮王(びしゃおう)は「黒胡蝶」と称される圧倒的な存在感を放っていた。その一方で、彼に向けられるのは賞賛だけではなく、嫉妬や嘲笑、そして試練の目。甲鷹王の挑発、成親の次女・成姫と侍女・たもつの誘拐事件が次々と毘遮王を取り巻く。誘拐された姫と侍女を救うため、闇夜に現れる「鴉天狗」のような姿――毘遮王の正体に疑念を抱く成親や北条時政。毘遮王を取り巻く人々の想いが揺れ動き始める――。

第六話「託された秋萩」2025年2月9日

富士の麓、黄金色に輝く阿野荘の秋。成親から託された言葉――「昼には萩のように静かに根を張れ」――が隆超(のちの阿野全成)の胸に響く。しかし、平穏な日々は長く続かなかった。京の政変により成親は失脚、新たに送り込まれた目代・橘遠茂とその側近・長田景致が、阿野荘を我が物顔で蹂躙する。景致の挑発に耐え続ける隆超だったが、ついに怒りが爆発。萩の花が象徴するのは、儚さか、それとも不屈の力か――新たな戦いに向け、隆超の旅路が始まる。

第七話「醍醐の悪禅師」2025年2月16日予定

かつて「醍醐の黒胡蝶」と称えられた毘遮王こと隆超は、「全成」として僧として厳しい修行を続ける中、嫉妬と陰謀に満ちた醍醐寺で耐え忍んでいた。平家の禿(かむろ)となっていた甲斐源氏甲鷹王らの挑発、僧兵たちの仕打ちに揺らぐ心。しかし、謎の女・あやめから託された黒い数珠が、全成の胸に新たな覚悟を呼び覚ます。「不動明王の調伏」を胸に秘め、全成は立ち上がる。醍醐寺を蝕む悪僧たちの横暴、禿たちの策謀を一喝するその姿は、静けさの中に怒りを宿す「不動明王」そのものだった。混乱の中、全成の名は「醍醐の悪禅師」として都に広がり、重源や運慶との再会が新たな未来への布石となる。宿命に挑む全成が、己の力で道を切り開く第七話!

第八話「承継の刻―伊豆山へ」2025年3月2日予定

承安元年(1172年)の秋、醍醐寺で修行を続ける阿野全成の前に現れたのは、義父のように慕う成親。その表情には穏やかな微笑が浮かぶ一方、どこか張り詰めた空気が漂っていた。その夜、佐々木秀義、能恵、渋谷金王丸ら旧知の者たちが醍醐寺を訪れ、全成に告げる。「伊豆山権現の座主となれ」。祈りの力で武士たちを支える使命、それは全成にとって予期せぬ道であった。全成の心に徐々に覚悟が宿る。そして、その決意を胸に、伊豆山権現への道を歩み出す。だが、成親との短い再会が「最後の別れ」となることを、全成はまだ知らない――使命と別れの狭間で揺れる心が描かれる一話。

第九話「箱根山での邂逅」予定)2025年3月9日

治承4年(1180年)、徐々に忍び寄る戦乱の影に飲み込まれつつあった阿野荘。のちの阿野全成家臣となる四天王たちはそれぞれの役割を全うし、農具の改良や兵糧の備蓄、騎馬隊の訓練を進め、戦の準備を整えていた。だが、後白河法皇が幽閉され、清盛が権力を掌握したとの報せが届くと、東国にも戦の火種が広がり始める。以仁王の令旨による一斉蜂起。全成は醍醐寺を発ち、東国の頼朝の元へ向かうことを決意する。箱根山で叔父佐々木定綱と再会を果たし、頼朝との感動的な再会が果たされる――戦乱の幕開け!源氏の反撃の狼煙がいよいよ上がる。

第十話:「決戦 富士川の行方」予定)2025年3月16日

治承4年(1180年)10月、富士川のほとりで、源頼朝率いる源氏軍と平維盛率いる平氏軍が激突する。阿野荘を掌握した全成は四天王を率い、偵察隊の迎撃や士気の維持、情報戦を通じて戦場を支える。冷静な指揮のもと、源氏軍は圧倒的な兵力を養い、平氏軍を精神的に追い詰めていく。漆黒の夜、富士川に響き渡る水鳥の羽音――それは、平氏軍に恐怖を植え付け、戦場を混乱に陥れる契機となった。敵は大混乱の末に退却し、源氏軍は勝利を収める。だが、この戦の功績は甲斐源氏・武田信義のものとされ、全成の役割は影に隠れる。戦いの後、伊豆山権現を訪れる。そこに待っていたのは、妻・たもつとその娘。戦いと再会――源氏の未来を切り拓く一歩がここに描かれる。



いいなと思ったら応援しよう!