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春巻き系男子
2023年7月29日 12:15
プロローグ 時々聞こえる声のようなものの正体を知りたくて、ぼくは西部緑地の奥へ歩を進めていた。まだ七時くらいだというのに、生い茂った樹々に囲われていて辺りは薄暗い。近くの道路を照らす街灯の光もここまでは届かない。 ざく、ざく、と足音を立てながら歩いていると、一本の木が目に入った。見知った木だが、遅い時間に見たことはなかったのでいつもと違うようにも見えた。 その木の周りには他の木は生えていな