読書案内-上野千鶴子「情報生産者になる」
毎日生活していると溢れ出る情報の洪水に巻き込まれることになる
TV、YouTube、Instagram、X、ラジオ、ポッドキャスト、新聞...とにかく情報は自分たちを追いかけてくる
1つの情報を追っているとその数十倍の情報が追いかけてくる
情報の洪水を皆、どう生きているのだろうか
情報を整理する術を身に付ける書籍は沢山ある
中には「情報の捨て方」という書籍まである
RSSリーダーでネット記事を収集しようとかインフルエンサーのpostを追うとかテクノロジーに頼った方法もある
しかしどれも決定打といえるものはない
しかし、上野千鶴子「情報生産者になる」を読むと情報整理術など本質的には意味がないことに気付かされてしまう
まず本書の「はじめに 学問したいあなたへ」を引用してみよう
「世の中にはたくさんの情報が流通しており、たくさんの情報消費者がいます」
「人の知らない情報源にアクセスして、レアな情報をゲットする情報オタクもいます」
「そのうえ情報グルメ(美食家)や情報グルマン(大食家)、情報コノスゥア(食通)までいます」
「情報通で情報のクオリティにうるさい人を、情報ディレッタントと呼びます」
「生産者はいつまでも消費者にまわることができますが、消費者はどれだけ「通」でも生産者にまわることができないからです」
どうだろうか、筆者の主張
私は目眩がした
情報の受け手である消費者は結局、消費者でしかなく口うるさい存在でしかないのだ
胸ぐらを掴まれ「お前はどうなんだ、情報の消費者のままでいるのか、それでいいのか」と言われている感覚になった
単なる読書体験ではなく筆者に格闘技のようにバンバン打ちのめされる感覚になる
「はじめに」以降も筆者との格闘技は続く
本書はお手軽な情報収集の本ではない
あくまで学術的にで情報を生産するアプローチを綴った内容である
質的情報を分析するKJ法の紹介もある
残念なことにフルタイムで働いているようなサラリーパーソンはそこまでの時間は無い
しかし情報との接し方は参考にできるはずだ
いつまで情報の受け手で口うるさいディレッタントとして肥え太るだけいいのだろうか
何か感想でもいいから文章を書くとか、レポートをまとめるといったアプローチは取れるのではないか
できることはあるはずだ