マイ ヒーロー

ランジャタイという芸人に出会って、私の人生は変わった気がする。
どのように変わったのか、と聞かれたら、明確に答えられる訳では無いけれど、日常が、いつも見ている景色が、少し違って見える様になった。




2人は仲がいい。
だけど、2人は仲の良さで売ったりしないし、仲の良さを特にメディアで見せる訳でもない。
というか、未知な部分が多すぎる。
だから、仲がいいなんて、本当の所は2人しか分からない。私がどうこう言える資格は無いけれど、でも、だけど、1人のファンとして、見ていれば分かる。
ファンだから、すぐに分かる。

国ちゃんも、伊藤ちゃんも、何か不思議なものを秘めていて、私はそれに惹かれていく。
私がランジャタイを好きになったきっかけは、2020年のM1敗者復活戦でネタを見たことだ。
ランジャタイの存在は知っていたけれど、ネタを見たのはその時が初めてだった。
もちろんファンではないから、何の期待も、好意もなく、何も考えずランジャタイのネタを見た。





笑った。
とにかく笑った。
純粋に、単純に、心撃たれた。
こんなに面白い芸人に、また出逢えた。
もう、出会うことは無いと思っていた。


これは普段よく思っていることだけれど、

今好きな芸人と同じくらい、もしくはそれ以上に面白い人なんているのか?果たしてこの先現れるのか?




ランジャタイは、そんな私の考えをすぐにひっくり返した。
たった4分の漫才で。


ランジャタイは、昼間に行われる敗者復活戦だけでなく、その後夜にあるM1決勝でも私を虜にした。
そこでは敗者復活戦で戦った芸人の順位が発表され、視聴者投票によって選ばれた1位のコンビが、決勝進出者のラスト1枠を勝ち取ることが出来る。
私はもう昼間の時点でランジャタイというコンビに夢中になっていたから、決勝に行って欲しい、その一心だった。


15位から発表される。





15位、ランジャタイ。






私はそれを見て、驚いた。
数時間前、彼らの漫才を見て、声を出して笑ったのに。みんなは違ったのかな。

そしてそれ以上に驚いたのが、その結果を見た本人たちを見た時だった。
国ちゃんは満面の笑みで楽しそうに笑っていた。
伊藤ちゃんは「あーーー」という顔をしていたけれど、なんだか楽しそうだった。





2人とも、楽しそうで。







最下位なのに。





その後国ちゃんは、しっかりボケて、
「国民最低ーーー!」と言った。
その発言は、お笑い界隈で話題になった。
その時の私は、もっと悔しがってもいいのに、さすが芸人魂、すごいな〜、と思っていたけれど、
今なら分かる。



2人は結果なんてどうでも良かったんだ。


もちろん優勝を目指してM1にエントリーをしているだろうし、自らお金を払ってまで客の前で漫才をして、葛藤しているはずだけど(特に伊藤ちゃんなんて、M1に対する想いは強いし、絶対に優勝したいだろうなあ)、でも、それ以上に、2人で漫才をする、その事実が、大切なんだろうなあ、楽しいんだろうなあ。

だから、何年経っても、漫才の形を変えずに、ランジャタイを続けているんだろうな、と思う。
いつか全員に認められる日まで。


2人は、ただ2人の面白いと思う事をやっていて、
いつかそれがみんなに伝わるといいなあ、くらいの気持ちで、14年間輝いていたんだろうなあ。
私もみんなも知らないところで、2人の楽しい世界があったんだなあ。


そうやって2人が最下位になっている時に、目をつけていたから、今ランジャタイという芸人が少しずつ世間に広まって、M1の決勝に行ったことで沢山のファンがついたことに、嬉しい半面寂しい気持ちがある。
私は2人のこと、もっと前から、面白いって思ってたよ。絶対売れるって、思ってたよ。



こんな気持ちが2人に伝わるわけもないけど。





ランジャタイは漫才だけでなく、トークも面白い。
国ちゃんがひたすらボケるから、平場には向いてないように見えるけれど、YouTubeで2人が話してるトークなんかは、もう、一生聞いてられるほど面白い。
2人とも文才があるし、色んな才能がありふれているな、とつくづく思う。


そんな中芸人を好きでいてよく思うのは、
なぜこの人達は、人を笑わせるためだけにこんなに必死になって、どん底から這い上がってきてるのだろう。
という事だ。

ライブでは客としてお金を払って見ているけれど、いつもお金以上の価値のものを貰って帰っている。

芸人リスペクトを忘れないでいたいし、私にとって好きな芸人=ヒーローなので、ライブには頻繁に行きたいけれど、大人しく応援していたい。

私の人生を変えた、なんて言うと大袈裟だし、悪魔でも芸人には汚くいて欲しい(この汚い、というのはネガティブな意味ではなく、少しハメを外した青春的なイメージ)から、そんなにキラキラした存在として敬いたくはない。





だけど、やっぱり、ヒーロー。





どんな状況でも、心を救ってくれるヒーロー。





別に何でもいいじゃん!って、
深く考えることを辞めさせてくれるヒーロー。


だって笑ってる時は、全部忘れちゃうからね。









宮本浩次の「昇る太陽」を聞く。


ランジャタイは、いつからランジャタイだったのだろう。2人が出会った日から今日までの日々を知りたくて堪らない。
でも、ずっと2人だけの物にしていて欲しい。






芸人になってくれてありがとう。
あの時、伊藤ちゃんがNSCで、「君、面白いの?」とみんなに聞いて回っていなかったら、
あの時、国ちゃんが「うん、おもしろいよ!」と答えていなかったら、
伊藤ちゃんが暴れてスタッフに引きづり出されていなかったら、
ごみ拾いを国ちゃんが手伝っていなかったら、
伊藤ちゃんがNSCをクビにされていなかったら、
国ちゃんがそれに乗っかって退学しなかったら、
ランジャタイはいなかったんだな。
全てが奇跡で、運命だったんだ。


これはどの芸人にも、というか、芸人に限らず誰にでも言えることだけれど、一つ一つの出来事が重要なパーツとなって、組み合わさって、今があるのだなと実感できる。

そのパーツ一つ一つが余りにも強烈で、
色んな想いや思い出を秘めているのが、
「ランジャタイ」なんだろうな。





だから、惹かれてしまうのかな。




2人にはこれからも仲良く、楽しく生きて欲しい。


それだけです。


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