見出し画像

呪いのアルバム

元夫と同居していた時、奴は私が書いたちょっとしたメモをアルバムに綴じていた。私が泣いた時に使ったティッシュも保管していた。何かの時に作ったマッサージ券もそこにコレクションされていた。シンプルにキモい。



これだけ書くと、”愛が行き過ぎちゃった男”に聞こえるかもしれないけど、奴は「嬉しいから」とか「思い出だから」それらを取っておいたわけではない。彼女を大事にする俺、を演じたいがために、やっていたのである。自己陶酔ってやつ。やつの家庭環境を鑑みると、それはそれで彼なりの涙ぐましい努力ではあるのだろうが、完全に方向性を間違えている。



私が心から信頼しているお姉さんに、当時こんなラインを送っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
2020年10月1日(木)21:22
私:私が書いた、ちょっとしたメモとか
私:彼氏、取っといてるんですけど、
私:それをしてる俺が好きだからやってるんですよね
私:それが透けて見える

姉:www
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




アルバム以外でも、全く使わないもの・ガラクタ・空のペットボトルなど、生活に支障が出るほどありとあらゆるものを溜め込む人間だった。ものに囲まれていないと不安で仕方ないようで、彼の不安定な心を支える役目をしていたのだと思う。




奴の不倫を認知してから、気づいてないフリをして誓約書を書かせ、探偵に依頼し、弁護士に依頼し、全ての準備が整った状態で満を持して「不倫してるよね?」と迫ってみた。もちろんこの時の会話も録音した。そして次の日、奴は夜逃げした。テンポの良い逃走劇に、怒るより先にだいぶ笑った。


午前4時、奴がぐちゃぐちゃに荒らした部屋の中を片付けているとき、床に落ちている”ソレ”を見つけた。例のアルバムである。当然だが、それは夜逃げには連れて行ってもらえず、置いてけぼりになっていた。こんなキモいもん、置いていくな(怒)



形骸化したアイにはなんの意味もない。アルバムの残骸は、最後に私にそんなことを教えてくれた。そしてそのままゴミ箱に捨てた。(※自治体のルールに従って処分しました)


いいなと思ったら応援しよう!