Die Teufelsmühle(悪魔の水車小屋)
ウィーナーベルクに昔々水車小屋があったと言われています。老人の夫婦はその水車と共に旅館を営業していたそうです。周辺の農民たちはそこで穀物を挽いてもらっている間にビールや軽食でもてなしを受け、遅くなった場合には泊まることもできました。
しかし、旦那が亡くなった後、末亡人にとってその苦労の多い仕事が重すぎてー人でできなくなり、水車と旅館を売ろうとしました。結局、この水車小屋を買い取ったのは、金持ちの商人と自己紹介はしたが、実際は盗賊騎士でした。中世後期に窮貧して追いはぎを働いた悪騎士が増えて、あの水車小屋を買い取った偽商人は隠れ家を探していくのです。
その盗賊騎士は特に旅館を目指し、水車を偽装のため営業し続けても、粉屋の職人は彼の盗賊仲間でした。昼にはきちんとした暮らしよそおっており、夜には略奪行を行いました。あるいは孤独な旅行者が泊まりに訪ねた場合、親切に晩ご飯を出してもらっても、翌朝にまだ生きているはずはないのでした。
しかし、その盗賊騎士の妻は心から善良な女性で、夫の悪事をだまって見てはいられませんでした。まだ愛していた夫の後世も被害者の悲しい運命も気になっていました。何度も何度も夫に改心を説得してみましたが、批判されるのを嫌がっていた夫の返事は悪口ばかりでした。
ある日いらいらした夫はその信心ぶっている女の話を二度と聞きたくないと思い妻を井戸の中に投げ入れて殺してしまいました。が、その瞬間に空が暗くなると同時に大変な嵐が起こり、恐怖の地震が起こり、同時に火を吐いている深淵が口をあけて盗賊騎士と彼の仲間をくってしまいました。
その悪人が悪魔にさらわれた後、水車と旅館が欲しい者はいなく、その建物が荒廃するばかりで、雑草がはびこっている辺りは人気がない所になってしまいました。夜に通り過ぎた人たちは中から恐ろしい音が聞こえると称し、十字を切りながら逃げたそうです。恐ろしい音とは盗賊騎士らの喘ぎ声で、悪魔は真夜中に水車の輪を始動させ、盗賊騎士と彼の仲間に重い粉袋を背負って運ばせたという身の毛もよだつ話でした。それで民衆がその所を悪魔の水車小屋と名づけました。
数年間後、若い騎士と彼に仕える若者が夜遅くひどい嵐に襲われ、その悪魔の水車小屋と呼ばれていた怪しい場所に避難せざるを得なかったのです。荒廃した建物の中に無傷の屋根の下で安全な場所を見つけ、そこに泊まることにしました。しかし、その二人は眠りばなに突然足音が聞こえ、水車の輪も音をたてて始動したようです。
が、何起こったのかと思い、外を見に行った騎士と若者は呆然としました。嵐が静まり、月光に誰かわからぬ人影が喘ぎながら重い粉袋を次々と背負って運んでいきました。騎士は元気に刀を抜いて、その人影の進路をさえぎり、「おまえたちは何者のか」と言いました。
その瞬間、怪しい人影が止まって静かになり、井戸の方から女性の優しい声が聞こえるようになりました。「夫が私を井戸の中に投げ入れて殺してしまい、骸骨はまだ墓地に葬られていないのに神様が彼の罪を許しません。が、あなたは神様から使命を授かったので、助けてください。」
その後、幽霊現象が一拳に消え、騎士と若者は目の前にただ瓦礫と雑草しか見えなかったのです。が、その二人が互いに聞いたことを確認してから、騎士は殺された女性の葬式を行おうと誓って、とりあえず朝まで寝ることにしました。
翌日、騎士がはしごで井戸の中におり、本当に女性の骸骨を発見しました。ようやく運び上げてから、井戸のそばに墓を掘りたいと思いますが、恐ろしいことに全ての地所に骨が見つかりました。たぶん、盗賊騎士と彼の仲間が殺害した犠牲者を皆こっそりそこの土中に埋めたのでしょう。それ故、騎士は近くにあった村の司祭を呼んで、村人と共にその骨を墓地に運んでそれぞれの葬式を行いました。その日から幽霊が出なくなったかかわらず、その場所はあいかわらず悪魔の水車小屋と呼ばれ、建物がますます荒廃し、百年後全体として荒れ果てた廃墟になってしまいました。が、幽霊についての噂を聞いていた不良者があの善い騎士のようにそこに泊まろうと決心しました。あらゆる忠告を聞き流し、「俺等が幽霊の大好きな色を知りたいだけだ」と主張して、結局3人の悪戯者がある夜に廃墟のへ入り、そこで夜中を過ごそうとしました。
もってきたワインを飲んだり、怪談を話して聞かせたりしても、待っていた幽霊が全く出そうにもなく、最後的に酒に酔って眠り込んでしまいました。しかし、翌朝目を覚ますと皆が頭のてっぺんから足の先まで全体的に粉だらけになってしまいました。そういう風に笑いものにされたら、絶対帰らずに、むしろ悪戯者の正体をばくろするためにもうー泊したいと思っていました。
次の夜に寝てはだめだという首領の指示に従って、夜中にあの3人が幽霊をもう一度待ちかまえていました。が、夜明けに彼らは頭が白髪になったと気がつき、今回は粉だらけだけではなく、髪の毛は本当に真っ白になっていました。記憶を失ったので、何の衝撃を受けたのか全くわかりませんが、少なくとも約束通り幽霊の大好きな色を知ることになりました。