見出し画像

Die Spinnerin am Kreuz (紡ぎ女が十字架に)

ウィーンの南にウィーなー・ベルクという丘があります。その上に現在のTriester Straßeで、昔からゴシック様式の石柱がたっており、その石柱は「紡ぎ女が十字架に」と名付けられています。19世紀の半ばまでその近くに処刑の場所があって、20世紀にその周辺にマンションが建てられたとき、土の中で死刑された犯人の骸骨がたくさん見つかりました。しかし、この伝説は幽霊が出る話ではなく、石柱の珍しい名前に関する話である。
昔々、ローマの教皇がキリスト教諸国に対して聖地のパレスチナやエルサレムにある聖墓を解放するために十字軍の遠征を布告した中世の時代、ウィーンでも反応があり、宗教家たちが十字軍へ参加するよう説き勧めました。結局、侯爵が十字軍に動員の命令を下し、自分で参加できない方々は少なくともお金で支援すべきとのことでした。
結婚したばかりの公爵若旦那もその話を聞き、一般市民として聖地へ行こうと思いましたが、彼のことをとても心配していた妻が反対しました。しかし、彼はすでにその少し前に亡くなった父親に約束してしまっていたので、十字軍に参加するしかしかたがなかったのです。
最終的に運命を受け入れた妻は、出発の準備に力を貸して自らの手で旦那の上着に胸と背中の両方に十字を縫いつけました。そして、出発の日に他の参加者の親戚と同様に、十字軍を町の中心からウィーナーベルクまで送っていきました。旦那が騎士のように馬に乗り、皆の参加者と共に音楽入りで、つまり太鼓と角笛の音で大変誇らして出陣しました。ウィーナーベルクの上で最後の別れをして、勝利を確信していた彼はきっと帰ってくると近い、泣いていた彼女は必ず待っているという約束をしました。
その場所には当時に例の石柱の代わりに素朴な木造の十字架があって、妻はその十字架のところで旦那の帰りを毎日待つことにしました。天気が良くても悪くても紡ぎ車をもってきてその十字架のそばに座って紡いでおり、遠くへ行ってしまった旦那のことを考えました。
一ヶ月、二ヶ月、そして一年間が過ぎて、彼女は常に南の方から来た通行人たちそれぞれに旦那のことを尋ねていました。が、彼と会った者は誰もいません。それで彼女は旦那が無事に帰ってこられるように、もろくなった木造十字架の代わりに石柱を建てさせることを誓いました。そのために紡ぎ車をもっと速く回さなければなりませんでした。
その間に、旦那からの知らせを全然聞くことなく二年間が経て、以前は美しくて若かった妻がますますやつれ果てた様子になりました。通行人たちが同情して紡ぎ女の織物を買い取り、その結果、彼女はお金を十分貯めて、建築士に石柱を建立してもらうことになりました。
おかけでその石柱を完成できたら、旦那がきっと帰ってくると彼女は思い込んでいました。が、もう三年間になり、ついに石柱を完成しても旦那は帰ってきませんでした。しかし、三年前にウィーンから出陣した十字軍の参加者は、最近次々に聖地から戻り、今回は太鼓と角笛の音と共ではなく、皆がそれぞれけがし、少なくともへとへとに疲れきったりし、恐ろしい奮戦の報告をしていました。
旦那の到着を今か今かと待っていた紡ぎ女はいくら尋ねても彼の手がかりは全くつかめませんでした。ある日に、彼女はまたウィーナーベルクから遠くを見て、愛しい人が現現れないかと頑張っていた、今まで帰ってきた騎士たちとその連れより中大きなー群が帰ってきそうなところでした。石柱のそばに立っていた彼女は胸がわくわくし、今回なら彼が必ず帰ってくると思っていました。
しかし、その一群も例をなして通りすぎてから、彼女は絶望し、神様を初めて恨みそうになってしまいました。皆の日焼けした顔をそれぞれ見つめ、旦那の名前を尋ねても、誰も彼のことを知りませんでした。泣きながら石柱のそばにくずおれて、彼が聖地で死んだのなら全てが無駄だったと考えていました。
振り向くとまだ立っている木造の十字架のそばに気づいていない、もう一人の男が大変疲れていて腰を下ろしました。ほこりまみれ、ぼろぼろの衣服を着ており、―群と共にやってきた乞食のような印象を与えましたが、彼女はその人にも旦那のことを尋ねようとしました。
「あなたは聖地から帰ってきたのでしょうね。うちの旦那と出会ったことがありませんか。三年前に馬に乗って十字軍の参加者としてウィーンから出陣した旦那とここで再会すると約束しましたが、今の今まで不幸なことに知らせが全然ないのです。私の旦那の滞在のことについて何かご存知なら教えていただけませんか。」
その人はそう聞かれたら、何も言わずに髭のある顔の上を大粒の涙がほろほろとつたって落ちました。
「どうしたんですか。正直に言ってください」と紡ぎ女は肝をつぶして聞き、その人はいきなり彼女の手にやたらとキスしました。
彼女は深い感動につつまれて、その人の顔を見つめるとやっと旦那であるがわかるようになりました。非常に幸福で彼の首っ玉に抱きついて、乱れた髪をなでながらキスを返しました。そして、長い間離れていた二人は三年ぶりに再会でき、一緒に家へ帰りました。
彼らの結婚生活についてのお知らせがないのですけれども、紡ぎ女が建てさせた石柱が現在まで残っています。

いいなと思ったら応援しよう!