よかった作品 ~魂の2月編~
本当はその月々に見た作品だけを紹介するつもりだったけど一月でそういくつも刺さる作品に出会えるわけもなく、今まで見た作品でこれ言いたかった!っていう作品を突発的に思い出すことが多々なのでこれからはその月々に見た(思い出した)作品を書いていくことにしたいと思います。
1:Toroch 「愛してあたし」
激アツファンタスティックな映像やCGを制作して自分の周りの映像作家からエブリデイで絶大な人気を博しているTorochさんが裏命MVコンテストに投稿した作品
VHS的なザラついた質感の映像がめちゃくちゃ好きなのでここはこういう意図があったのではないかとかの考察、解釈を抜きにしてシンプルに好き!と思った作品です。映像の綺麗さと奇妙さの温度感がとても心地よく、VHSやブラウン管のようなテーマ的なオブジェクトを随所に配置しつつも基本的には抽象的なCGが使用されていて、Torochさんがこの楽曲を聴いて頭に思い浮かんだ風景はこんな感じなのかなと自分以外の人が持つこの楽曲に対しての解釈だったり世界を覗き込んでいるような気分になれる素敵なMV
先月の生背神と同様に完全に部外者なので何もできないけれどマジで入賞して欲しい。
入賞しなくてもすとろぼ賞は受賞している。
2:笹川真生「サニーサイドへようこそ」
笹川真生さんのオリジナル楽曲のMV
Torochさんの愛してあたしと同様にザラついた質感のMVではあるけれど、こっちは少し怖い。MVは最初作業しながら流し見で見ていたのであまり内容を覚えておらず、腰を据えてみたら全然怖くてびっくりした記憶がある。ただ怖いという感想だけで終わらないのがこの楽曲とMVの良さであったり魅力だったりで、アンバランスではあるけれどふと救済と錯覚してしまいそうで安心してしまうような、怖いと分かっていても向かっていってしまうような不思議な魅力を感じる楽曲。
妖精(着ぐるみ)たちのいる幸せな国(多分サニーサイドってこと)の存在や行き方がインターネットで仄めかされていて、現実に何かしらの苦悩を抱える人がどうにか行き方を見つけて目指すというMVなのかなと自分は思ったけれど、1番サビでサニーサイドを見つけた子は手を引く着ぐるみに恐怖心を抱いて逃げ出すのに対し、2番でサニーサイドに到達した子は逃げるどころか少し駆け足になっているような印象を受け、それだけ辛いことがあるのかなと顔もバッグボーンも描かれていないのにそう感じさせる淀さんの表現力が素敵だなと思いました。
それと幸せな国を前にしても逃げ出す子だったり駆け出す子だったりと行動は人それぞれで、幸せは絶対的なものでなくその人が今どういう世界で生きているか、何を欲するかといった相対的なものなんだなと改めて考えさせられました。
自分の勝手な解釈なので全然違かったらすみません。総括としては淀さんにめちゃくちゃお話聞きたくなるような深みのあるMVで本当に最高でした。
世界観的には深夜に見てほしいけど深夜に暗闇で見るのは本当に怖いです。
3:大沼パセリ「DELETE」
大沼パセリさんのオリジナル楽曲のMV
曲はもういわずもがな素敵なのでどちらかというとMVの方に言及したいなと。
映像は最近仲良くしてくれているYazhirushiくんが作っていて、身内の作品を褒めるのは少し悩むところがあるけどそこの躊躇をぶち破るくらいには好きな作品だったので泣く泣く載せることにしました(これをみた矢印くんは感謝のメッセージを自分に送ってください。5行でお願いします。)
映像自体はいつものYazhirushi節が決まっている見ていて飽きのこないヌルヌルとしていて良い意味で気持ちの悪いモーションだけど今回のこのMVに関してはY
azhirushiくんがロゴデザイン、リリックデザインをやりましたと明言しているのが個人的には特にめちゃくちゃデカいしいいなぁと思ってます。
最近のリリックがついているタイプのMVは自分のようなデザイナーがロゴ、リリックデザインを担当しましたという場面をよく見るけれど、自分としてはある程度の実力と審美眼をもった映像作家であればそもそもデザイナーをアサインしなくてもリリックデザインはできるよなぁと日々思っていたところでした。
だからこそこのMVでYazhirushiくんがロゴデザイン、リリックデザインもしましたと明言してくれるのはある意味MVを見る人や発注する人に実はリリックデザイナーとしてのアサインがなくても良いリリック付きMVは作れるとバレてしまったようなもので、自分もあぐらをかいていられないな、頑張らなきゃなと思わせてくれる、見ていて熱が伝播するような素敵なMVです。
単純なMVの良さとしても、まだまだ発展途上であるリリックデザインというデザイン分野において、デザイナーいらないじゃん、映像作家だけで良いじゃんと思わせないような良いものを今後も作っていこうと改めて考えることができたという意味でもこの作品はかなり刺さった作品でした。(これをみた矢印くんは感謝のメッセージを自分に送ってください。10行でお願いします。)
4:影色舞
MyGO!!!!!さんのオリジナル楽曲「影色舞」(読みはシルエットダンス、オシャだね)
MVの映像、楽曲合わせてめちゃくちゃ最高〜となった曲でこういったバンドっぽい曲、いい意味でオシャレ過ぎない楽曲は最近聴く機会減っていたけどやっぱりいいなぁと思いました。
サビの点滅するところで実際に会場もバチバチに点滅する演出を現地ライブで見たくないか?自分はめちゃくちゃ見たいです。
あと個人的に光の使い方がいいなぁと思っていたら友達のコンポジット周りをメインでやっている映像作家の人が光の使い方を褒めていて、なんとなく鼻が高くなった👺
5: Ghost like girlfriend - fallin’
Ghost like girlfriendの fallin'という曲
2,3年前くらいによく聴いていて、久しぶりに聴いたらめちゃくちゃ良かった曲。
新しい出会いとかじゃないんで色々と書くのが難しいのですが深夜の終電逃した都会で聴いてほしいの一言です。これが要するにエモってワケ
6:ホロライブEN『Ninomae Ina'nis』
ホロライブENのVtuber『Ninomae Ina'nis』さんのロゴとブランドガイド
これも全然今月の作品ではないけど最近Vtuberのロゴについて色々と考えていた時にふと思い出し、めちゃくちゃ良かったなぁと思った作品。
ここ数年で急激な成長を見せているVtuberブームそしてここ1年くらいで盛り上がりを見せている作字ブームがうまいことマッチし、Vtuberのロゴを作る人をめちゃくちゃ見るようになった昨今。
自分も作字を3、4年している人間かつVtuber関係のお仕事をよくやらせてもらっているのでそれぞれの分野が盛り上がるのはとても嬉しいけど
「パンダベーカリーやユールカをベースにVtuberの色、トーンに合わせて文字の色を変更し、点やはらいなど文字の一部分をVtuberの特徴に置き換える」
というようなVtuberのロゴにある程度の規則性が生まれてしまっている現状に対しどうなんだろう〜〜〜〜とずっと悩んでいたところでイナニスさんのロゴを見てめちゃくちゃ良い!!!!!と思った記憶があります。
ある程度テンプレ的な流れがあること自体は全然悪いことではないし、人目見てVtuberってわかるような特徴をもたせたロゴも自分は可愛くて良いと思うし、なんなら自分がそういった可愛いスタイルが苦手なことに対する無意識的な嫉妬の感情が含まれているのかもだけど「ロゴ」と言っている以上、そして「デザイナー」として作る以上制作の過程で何故そういうロゴにするのか考え、時には今後の展開を見据えて必要であれば名前を用いたいわゆるタイポグラフィ的なアプローチではなくロゴマーク的なアプローチを提案したりと今までの流れに乗っかるだけではなく試行錯誤し、時にはクライアントに全く別の方向性を提案することを大事にしたいなと改めて気付かせてくれる素敵なロゴでした。
(本当に何か言われるのが怖いのでさらに補足しておくとそれはダメ、これはいいと言った話じゃないし自分の感想です。あと予算だったり、スケジュール、クライアントの人が希望しているものなど制作者側ではどうにもならないことがあるのが仕事なんでしゃあない部分もめちゃくちゃあると思います。あと一番大事なのはクライアントにこの人に頼んで良かったと思ってもらえるような仕事をすること。これだけはマジ)
7:今月のお仕事1
存流さん明透さんの二人からなるユニットAlbemuthのオリジナル楽曲
今までのバラード調だったり二人の掛け合いを楽しめるようなテンポのオリジナル楽曲とは打って変わって疾走感あふれる楽曲で、爽やかな印象だったり、寂しさだったり、懐かしさなど聴く人によって色々な感情を与えてくれる楽曲だったので、明確にしっとりとした印象、明るい印象といったテーマではなくただひたすらに疾走感を重視して制作しました。
モーションに関しても毎度おなじみマブダチのまるいちさんが担当してくださったので細かくどうやって動かすかを打ち合わせすることができ、そのおかげで自分のイメージにかなり近い形でリリックデザインを映像として出力できました。
まるいちさんありがとう。いつもアイコンで遊んでごめん。
タイトルロゴのキモこだわりポイントとしては自然すぎて気付いてない人がほとんどだと思うんですけど存流と明透、雰囲気の全く異なるシンガー二人が互いを支え合いAlbemuthという一つのアーティストとして歌う楽曲なのでそれを表すために「感」と「光」で「感の右下の点」と「光の左上の点」を共有しています。
気付いてほしいけど自分で言うのはめっちゃ野暮だよな〜と思っていたのでこっそりnoteでいいます。
これを見たあるナーあすナーは得したということで自慢げにお友達に教えてあげてください。
8:今月のお仕事2
存流明透二人の1st TWO-MAN LIVE「Albemuth」
リリックデザインとしては「新世界へ」「めいきゅう」「感光」
あとは配信用スタンプだったりマグカップのデザインで手伝っていました。ファンアートで作っていた絵(?)がライブのグッズになるのは冷静に考えると普通に想像つかないし嬉しすぎだろという感じで、Twitterでもたくさんの人が可愛いと言ってくれたり購入してくれてたのでめちゃくちゃ嬉しかったです。
「めいきゅう」は宝石のように綺麗に澄んだ存流さんの歌声から静かにどこまでも広がる空間、迷宮っぽさを意識して制作をしました。koshi-kunさんの背景映像とリリックモーションのおかげで自分の想像以上に綺麗な空間を作れたかなという感じで大満足。
また今回のAlbmuthライブ自体に関して、自分が今のような作字的な活動を始めた頃にはすでに花譜さんがデビューしていて花譜関係の仕事をしたのは不可解参からだったので不可解参をお手伝いした時は一緒にやってきた感というよりは背中を追っていた感の方が強かったけれど、存流明透の二人はデビュー当時のカバーシリーズから最近の色々に至るまでお手伝いをさせてもらっているのでおこがましいけれど一緒に成長してきた感(成長させてもらった感)のようなものを密かに感じており、二人の初めてのライブに携わることができたのは本当に嬉しかったです。
2月は作品よりも自分の考えていることとか感想のようなお気持ち的な部分が多くなってしまったけれどこれはこれで面白いのでアリかなと。
3月も頑張って作品を紹介したいです。
🐼<ガンバレ!!