子どもが教えてくれたことを観てきた
東京出張の際に、少し空き時間ができたので不意に映画でも観ようかと思って観た「子どもが教えてくれたこと」
待ち時間なしで観られるし、たまたまレディースデーで950円だし、予定までのドンピシャの時間で終わるっていうミラクルとしか思えないタイミング。
「観なさい」と言われているかのような映画だった。
どんな内容かというと、フランスのドキュメンタリー映画で出演者は病気を患っている子どもとその家族。子どもの視点で描かれている。
「子どもが教えてくれたこと」に出てくる子どもたちは、幼稚園だったり小学生だったりするけれど、全員自分の病気についてしっかり把握している。
まずこれが、日本では「当たり前」ではないことだなと感じた。
私の息子には白血病であることを親である私から告知したので、映画の中の話は私にとっては「当たり前」だけど、きっと「当たり前」に感じない人もいるんだろうなと感じた。
あんまり内容について詳しく語るとネタバレになってしまうので、多くは触れないように注意しつつ。
うちの息子の話をベースに書くならば、うちの息子は病気になって、子どもなんだけど子供っぽくない部分があるように感じる。
ある部分では子どもなんだけど、病気に関してはかなりきちんと理解しているし、自分の人生についてある程度の納得をしながら過ごしているように感じる。
治療をしている時に息子に聞かれたことがある。
「なぁ、俺って普通の子に比べて生きる長さはどうなのかな?」と
私はその時こう答えた
「長く生きたいの?」
息子は
「そりゃーね」
私は
「そーやな、何を普通とするのかは知らないけど、常識的に考えて抗がん剤やってる人としてない人、どう考えてもしてる人の方が影響もあるんだろうし長くは生きられないのかもしれないねー」
「だけど、長く生きることにそんなに意味があるのか?って私は思うけど。どう生きるかってことに意味があるのであって、グダグダ生きてもしょうがないやん。そりゃ、あんたのその年で命が終わってしまったら・・・そりゃ短いし辛いけどね。でもそうならんように今頑張ってるわけやし、長く生きるって目標立てるよりは、どう生きるか?ってことを考えた方がいいんじゃないかなと私は思うけどね」
息子は
「お・・・親やんね??親やのに、そんなんいうなや!普通・・・大丈夫だよみたいなこと言うんじゃないの?」
って言ってたけど、私は「だって事実やもん。」って言ったら、
聞く相手を間違えたわ・・・って小学2年だった息子は言っていた。
おそらく日本だと、小学2年生の小児がん患児にする話ではないって、怒られそうな会話だ。
でもフランスではおそらくこう言うやりとりを普通にしているんじゃないかなと、この映画を観て想像した。
自分の病気を認識して受け入れて、それと付き合いながら闘っていくっていうことはそういうことなんじゃないかなと。
もちろん、息子がいきなりそういう思考になれたわけではない。
然るべき時に本人に告知をして、病気との付き合い方であったり、自己肯定感の再建であったり・・・は、私なりにしてきた。
文字にすると大げさだけど、それって大人もおそらく一緒の話で、子どもだからって大きく違うことはないのじゃないかなと私は感じている。
「子どもが教えてくれたこと」は、そういうなんとも言えない当事者しか感じづらい感覚を映像で表現している。
それも親の目線ではなくて子どもの目線で展開しているのがイケてるなと感じた。
子どもって・・・そうだよなぁ。うんうんと思うシーンがいくつもあって、私はフランス語が話せないけど映画に出てくる子どもたちと友達になれそうな気がしてならなかった。
子どもの感覚をいくら親の立場である私が一生懸命語ったところで、親の勝手な意見みたいに思われがちだけど、この映画を是非とも観て欲しい。
そうしたら、ほんの少し子どもの気持ちが見えてくるような気がする映画だと思う。
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