サマーオブソウル
11月1日@シネクイント
スライ&ザファミリーストーンを目的に鑑賞だったが、マヘリア・ジャクソンがメイヴィス・ステイプルズと一緒に「Take My Hand, Precious Lord」を歌うシーンは圧巻だった。
この曲は映画内でも語られているが、
このフェスの前年にキング牧師を殺害という形で亡くし、同時に彼が愛した曲で、
マヘリアや、かのアレサ・フランクリンがキング牧師の追悼式でもこの曲を歌っている映像は有名だ。
当時彼らがキング牧師を亡くした大きな動揺の中、
キリスト教徒として苦難を耐え乗り越えようとする中での歌唱に非常に胸を打たれた。
このフェスが黒人たちでだけ立ち上げた『黒人たちの楽園』と評され宣伝されるようなフェスだったことからも、その感情の昂りに繋がるのだろう。
また元々の目当てであったスライ&ファミリーストーンは想像を超えて、圧巻のパフォーマンスだった。
まさに絶頂期。黒人白人混成でバンドという珍しさ以上に、
メンバーでトランペットを吹き鳴らすシンシアロビンソンのパワー溢れんばかりのパフォーマンスにも驚かされる。
このライブ映像だけでも、もっと長尺で見ていたいのだが、どこかに映像ソフトはないのだろうか、、?
このフェスの映像はビジネス的に広めることができず殆どがフィルムのまま手付かずだったとされているが、
実際には前述のスライやニーナシモンズといった当時から人気絶頂のアーティストのシーンではフィルムの劣化が見られたので、おそらく部分部分では複製されたはずなのだが、、。
(ニーナシモンズの演奏シーンはこの映画を見る前からyoutubeなどで見たことがあり、背景のセットが特徴的だったので、あの映像はこのフェスだったのか思ったほどだ。)
また、19歳のスティービーワンダーも必見で、なんとドラムをステージ上で演奏披露している。
エンドロール後のスティービーの“若さ”も良かった。
音楽映画として、全体を通して非常に満足したのだが、一点スライのバンドに関して、当時このフェスの警備に当たっていたのは、ブラックパンサー党といった黒人自警団的要素をもった政治団体だったのは作中でも語られているのだが、
実は彼らブラックパンサー党が裏では、スライに、黒人の自立を守るためにバンドメンバーから白人を解雇しろと圧力をかけたり、
資金援助を恫喝のような形でしていたことは映画内での言及はなかった。
( N.T )
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