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すずめの戸締まり

<イントロダクション>
国境や世代の垣根を超え、世界中を魅了し続けるアニメーション監督・新海誠。
全世界が待ち望む最新作『すずめの戸締まり』は、日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる”扉”を閉めていく少女・すずめの解放と成長を描く現代の冒険物語だ。

すずめの声に命を吹き込むのは、1700人を超えるオーディションから新海誠が探し出した、たったひとりの才能・原菜乃華。
溢れ出る感情を声にのせるみずみずしい原石に、物語のヒロインを託す。
扉を閉める旅を続ける“閉じ師”の青年・草太役には、新海誠が「内面の豊かさ」をオーディションで見出した松村北斗。
椅子に姿を変えられてしまう青年という難役を真摯な姿勢で乗り越え、見事に演じ切った。

そして二人を支える、すずめの叔母・環役に深津絵里、草太の祖父・羊朗役に松本白鸚。
さらには染谷将太、伊藤沙莉、花瀬琴音、花澤香菜、神木隆之介という精鋭キャストが集結。
すずめの旅を鮮やかに彩る。

音楽には、新海作品3度目のタッグとなるRADWIMPS。
共作として日米の映画やアニメシリーズで活躍する映画音楽作曲家・陣内一真が参加し、本作でしか成しえない最強の布陣で、壮大かつ繊細な冒険映画の機微を表現する。
また、主題歌「すずめ」を唄うのは次世代の逸材・十明。唯一無二の歌声で、物語の昂ぶりを奏でる。

すずめが歩む道の先で待つのは、見たこともない風景。人々との出会いと別れ。驚きと困難の数々。
それでも前に進む彼女たちの冒険は、不安や不自由さと隣り合わせの日常を生きる我々の旅路にも、一筋の光をもたらす。

過去と現在と未来をつなぐ、“戸締まり”の物語。
2022年11月11日。その景色は、永遠に胸に刻まれる。

映画『すずめの戸締まり』公式サイト

今までの新海誠作品の印象は、
『君の名は』や『天気の子』はキャラクターたちが気持ち悪くて正直好きではなかった。
 
どいつもこいつも人間性がなく、プロットに突き動かさせられているだけで、
まるでサイコパスのように見え、「大人」が作ったごりごりの古い古いご都合プロットに、
高校生という属性で彼らの反抗心や自立心を利用して、
「若いっていいね!」「青春なんだね!」と成立しているように見せつけられるのが、
本当に苦手だった。

新海誠の無鉄砲なキャラクター達は若いというよりは、
小さい商店などで店員に無茶を言って怒鳴り散らしているジジイ共の方に近い存在だろうと。
 
 
ただ、本作に関しては、真面目に主人公のキャラ設計に向き合ったらしく、
そのテーマに関しては非常に見応えのあるものだったと素直に思えた。
 
主人公は震災孤児になった経緯があり、被災地を離れ九州に住んでいる。
彼女は周りの同年代の子たちと比べ、人間はいつ死が訪れてもおかしくないと潜在的に感じているが故に、物語中周囲の人も驚くほど大胆に自分の身を危険に晒すことを厭わないことが多々ある。
 
旅のパートナーである草太は彼女に何度も死にたいのか?と叱責するが、
彼女にそれに応えている様子はない。といった感じで、
彼女の行動には本作のテーマに沿った裏付けがなされている。
 
このロードムービー的な本作は、
すずめの快活で明るい性格とその雰囲気を纏いながらも、
対照的にあたかも、すずめが死に場所を求めているように観客には映る。
 
旅の中ですずめは、各所であらゆる市井の人々の営みと交わる。
それは同世代の女の子がいる家族や、小さな子供を抱えるスナックのママ、
お節介な大学生の男性など、彼らの助けと本作の超常的な展開も合わさり、
すずめは自分のオリジンである”母の死”をもう一度乗り越えるという展開は、
 
まさに新しいセカイ系の旗手と言われた新海誠が、
すずめを”セカイ”ではなく“世界”と結びつけたように見え、
新エヴァでシンジくんを共同体に改めて参加させた手法とも非常に似通っており、
これに一人で感じ入ってしまった。
 
ただ、せっかくテーマにも絡めている超常的な設定は、
かなりアバウトな内容で、どっちがどっちだよと筋の通らない箇所が多く。
『君の名は』であんなに作り込んでたのに今回は一体どうしたんだよと思ってしまった。

( N.T )

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