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リトル・ジョー

<イントロダクション>
カンヌ国際映画祭を静かに震撼させた、怪しくも美しいサイエンス・スリラー

第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選出された本作は、上映されるやいなや話題をさらい、主演のエミリー・ビーチャムに女優賞をもたらした。
バイオ企業の研究室に務めるシングルマザーのアリスは、人を幸せにする、真紅の美しい花の開発に成功する。アリスは、自らの息子の名前にちなんで“リトル・ジョー”と名付けるが、開発されたばかりのその花は、成長するにつれ人々にある変化をもたらす。アリスはその原因が“リトル・ジョー”の花粉の影響かもしれないと疑い始めるが……。

映画『リトル・ジョー』オフィシャルサイト

2020年7月28日(火) アップリンク渋谷で鑑賞。

サイエンス的リアルな描写の中に、どこかファンタジーのような雰囲気が全体に漂う作品。
人を幸せにする効果=うつを直す効力がある開発された花「リトル・ジョー」の花粉を吸った人たちが一人ずつ、微妙に前とは違う性格になっていく。という、偶然にも昨今のウイルス問題にもつながるテーマだった。

「リトル・ジョー」の花粉を吸ってしまった人の共通点は、安全面を二の次にして、「リトル・ジョー」を世間に公表し、研究所の外へ出すようになることである。これは開発の段階で受粉ができないようにされてしまった「リトル・ジョー」の生存本能から来るものであり、まんまと人間がその役目を自ら担ってしまう、ある意味シンギュラリティのような要素も含んでいる内容だ。

「リトル・ジョー」の花粉を吸った人間は、皆明るくなるし、何か問題のある行動をするわけではない。しかし、花の繁殖のために人類が操られている様を見るととても恐ろしい。まさに「ゾッとする幸せ。」である。

また、特に印象に残ったのは「リトル・ジョー」が出てくるカットで日本民俗楽器をフューチャーした楽曲が全編で使用されている。日本人だからか、なんとも言えないノスタルジックな気持ちになってしまう。これも製作者の意図なのか?と冗談ながら思ってしまった。笑

( Y.K )

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