フロリド♀生理ネタ

「何か面白いことないかな〜つまんなーい。あ、金魚ちゃんだ!」
 フロイドは産まれた時からずっと一緒である兄弟のジェイドと学園の中を歩いていると、赤くて小さくて食べるところが全く無さそうな程細い。だけど、その見た目に反して誰よりも強い魔法を使うリドルを見つけた。
 今まで出会ったどの相手ともリドルは違っている。そんな彼に興味を惹かれて見かけるとついつい側に行ってしまう。そして、相手をして欲しくて揶揄ってしまう。
「金魚ちゃん〜」
 大きな声で名前を呼びながら側まで行ったフロイドは、柱の元にいるリドルが痛みに耐えるような様子になっている事を知った。
「金魚ちゃんどーしたの?」
「血が……」
 腰を屈めて顔を覗き込むと、今にも倒れてしまいそうなほどに白い顔になっているリドルは弱々しい声でそう言った。どんな時も凛としている彼のそんな心細そうな声を始めて聞いた。血という発言からも、ただごとでは無いのだという事が分かる。
「血が? どっか怪我でもしたの?」
「そうじゃないんだ。……朝からずっとお腹が痛くてさっきトイレに行ったら、血が出て来たんだ。ボクは死んでしまうのかもしれない」
 今にも泣き出しそうなリドルの顔だけでなく、そんな彼の台詞に頭が真っ白になってしまう程の衝撃をフロイドは感じた。
「おや、血がズボンに付いてますよ」
 いつの間にか隣までやって来ていたジェイドがそう言ったことにより、リドルのズボンの後ろに血が付いている事を知る。視界がその色にまるで染まったようだ。
 心をぐちゃぐちゃにされたような気持ちになった後、体が勝手に動きリドルの体を抱き上げていた。
「ふ、フロイド!」
「金魚ちゃんちょっと大人しくしててね、保健室連れてったげるからね」
「フロイド、大丈夫だ。ボクとした事が取り乱してしまったようだね。保健室なら自分の足で行ける」
 いつもの様子で言っているつもりなのかもしれないが、リドルにはいつもの覇気が無い。顔色も悪いままだ。そんな彼の言葉を素直に聞ける筈がない。
「ダメだよ。オレが保健室に連れて行く」
「手伝いましょうか?」
 ジェイドの手がリドルに触れようとしている。その事に気付いた次の瞬間、ジェイドの手が届かないようにばっと体を動かしていた。
 はっとした顔になったジェイドの姿を見て、フロイドは自分のそんな行動を自覚する。
「ダーメ! オレが連れて行く〜。後の事は頼んだかんね」
「分かりました」
 ジェイドの態度はいつも通りのものに戻っていた。彼が先程の行動を気にしていない事に安心すると、フロイドはリドルを抱えて保健室に向かう。
 いつものリドルならまだ抵抗しただろう。それなのに今は大人しくしているのは、その元気が無いからなのだろう。
 弱ったリドルを誰にも触らせたくない。これは自分だけの物だ。片割れといって過言では無い存在であるフロイドにすらも触らせたく無いと思ってしまったのは初めてだ。
 ただ細いだけだと思っていたというのに、存外リドルが柔らかであった事を意外に思いながら、フロイドは保健室に向かって急ぐ。


「リドルさんは女の子だったんですね。これは面白くなりそうだ。さて、保護者を呼んで来ますか」
 一人取り残されたジェイドは、二人が消えていった方向を見ながらそう一人ごちると、リドルの保護者。――トレイの元へと向かって歩き出す。
 リドルが女の子だという事を、彼が知らないとは思えない。ジェイドのそんな予想は全て当たっていた。しかし、フロイドがトレイにリドルと付き合うと宣言する事は予想していなかった。

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