お泊まりまでしてるのにまだセックスしてないフロリド
朝の支度を済ませ学校に繋がっている鏡に向かっていたエースは、このハーツラビュルの寮生では無い目立つ男と一緒にいる寮長のリドルの姿を見付ける。
自由を絵に描いたような男であるオクタヴィネルのフロイドの事を嫌っていた筈だというのに、いつの間にかリドルは彼と付き合うようになっていた。そして、恋人であるフロイドの姿を頻繁に朝ハーツラビュルで見かけるようになった。
仲睦まじい恋人同士である二人の姿を見て面白く無いものを感じたエースは、フロイドと別れたリドルの元まで行き話しかける。
「ま~た彼氏を部屋に連れ込んでたんですか」
「下品な言い方をするのはおよし」
今は制服であるのでハイヒールを履いていない為エースよりもずっと小さいリドルに睨み付けられる。先程まで恋人とイチャついていた彼に睨まれても全く怖くない。
「実際そうでしょ。よくそんなに毎日ヤって飽きないっスね」
「何の話しだい?」
やべっ。余計な事を言いすぎてしまったと思っていると、きょとんとした顔でリドルからそう言われた。その顔は、エースの言っている言葉の意味が全く分かっていないものだ。
「何の話って……。泊まってやる事って一つしかないじゃないですか」
「……勉強……かい?」
至極真面目な顔で言った事から、リドルが本気で言っているのだという事が分かる。教育ママに育てられ箱入りで彼がある事は知っていたが、まさかそんな事まで伝わらないとは思っていなかったので困惑してしまう。
「いや! 恋人が泊まりに来たらやる事っスよ!」
「……お茶会かい……?」
「あんたが彼氏と毎晩してる事ですよ!」
全く話が通じないので思わず大きな声でそう言ってしまった事により、居合わせた寮生の視線がこちらに向かう。しかし、難しい顔をして考え込んでいるリドルはその事に気が付いていなかった。
「毎晩フロイドとしてる事……。今日会った事を話して一緒にベッドで寝てるだけだけど……。それ以外に何かあるのかい……?」
「えっ」
健全な十七歳が恋人が泊まりに来て何もしないなんて普通に考えたらあり得ない事だ。しかし、リドルは本気でそう言っているようにしか見えないので、本当に泊まりに来た恋人と話をして一緒に寝ているだけなのだろう。
性欲とは無縁そうにリドルは見えるのだが、フロイドは全くそんな風に見えない。それどころか、性欲旺盛な方に見える。しかし、恋人に何もせずにいつも一緒に寝ているだけらしい。
その事を知った事により頭に浮かんだ言葉が無意識に口から出ていた。
「フロイド先輩インポなんスか……?」
「なっ! 朝からなんて話をするんだいっ、キミは!」
顔を真っ赤にしてリドルがそう大声を出した事から、インポの意味は知っているのだという事が分かる。その事に安心していたエースは、背後に先程リドルが別れた彼の恋人がいる事に気が付いていなかった。
「カニちゃんちょっと良いかな~」
後ろからフロイドに話しかけられ背筋に冷たいものを感じたエースは、顔を引きつらせながら後ろを振り返った事により、笑顔であるが怒っているのだという事が分かる顔を彼がしている事を知る。
フロイドに連れて行かれたエースは、リドルを大切にしたいのでまだ何も彼がしていない事を知る。
「えっ……怖い……」
他の相手から聞いたのならば感動するような内容であったのだが、自分勝手なフロイドからそんな事を言われても怖いだけだ。それを更に口に出してしまった事により、エースはフロイドに絞められる事となった。