最果ての地・稚内にあるライダーハウス「みどり湯」に非ライダーが宿泊してきた
北海道&東日本パス2枚を使った14泊15日間の旅行の中で、稚内に2泊しました。泊まったのはライダーハウス「みどり湯」。ライダーさんの中では大変有名なライダーハウス(以下、ライハ)で、南稚内の駅から近いということもあって利用しました。
ライダーハウスは、バイク乗りや自転車乗りの方が利用する簡易宿泊所のようなもので、屋根だけ提供するから寝具は自前で用意してきてくださいというところもあれば、「みどり湯」のように寝具も置いてあるところもあります。
ライハはもともと法律上宿泊施設ではありませんでした。ところが2019年の消防法改正によって旅館やホテルと同じく宿泊施設としてみなすことになり、さしあたっては消防施設の更新が必要になったのです。その改修に費用がかかりすぎるということで、法改正を機に閉じてしまうライハが続出。国内に現存するライハは片手で数えるくらいになってしまいました。
しかし中にはライハとしての営業は終了しても、どうせならもうけを考えてゲストハウスにしたりユースホステルのような形に変えたりしたライハもあるんだとか。「みどり湯」も消防と大喧嘩しながら設備を改修したことで営業を続けられているのだそうです。いずれにせよ大変貴重なライハであることに変わりはありません。
この「みどり湯」の最大の特徴は21時から開催される"会合"でしょうか。
宿泊者は全員、21時に1階のリビングに集合しなければなりません。そこでは、おかみさんからの注意事項説明のあと、全員で記念写真を撮ります。その写真は「みどり湯」公式ブログに毎日アップされています。
そしてそのあとは明かりが消え、天井のミラーボールが点灯すると自己紹介タイムとなります。名前、住所、どんなバイクに乗ってどんな旅行をしているのかなどなど。各自が自由に軽く自己紹介をするのです。
バイク乗りの方が8割ほどを占めますので、「私こういうバイクに乗っています」という部分は盛り上がります。小さいバイクに乗っていると「そんなバイクでここまで来たんだすげえ」という感嘆(?)の声もあがります。
「昨日敦賀から小樽まで来ました」「オレは大洗から苫小牧まで」などなど。いろんな方がいます。若い方から熟年の方、入院を控えた方やもちろん鉄道で来た方も。私は数日前に夜行の津軽海峡フェリーに徒歩で乗って北海道に渡ってきたのだと話しました。
そして自己紹介が一巡すると、全員で肩を組んで松山千春の「大空と大地の中で」を合唱して散会となります。
リビングではサンゴー缶のクラシックを1本350円で売っていますが、持ち込みの可否はわかりません。屋外で飲むのは近隣の方との約束で22時まで、消灯は23時厳守ですが、横の居酒屋は午前1時まで営業していますので、自己紹介タイムで盛り上がったあとそのまま流れていくことが可能です。このリビングにはコンセントがあり、各自持ち込んだたこ足をつないで夜の間にスマホを充電するのです。Wi-Fiもあります。
お隣の銭湯は2019年に改装し、1回490円。そのときに居酒屋もオープンし、オーナーさん曰く「稚内で最もビールにこだわっている」居酒屋だそうです。稚内市の中心は稚内駅ではなく南稚内駅の方ですよ。クラシックにアサヒはもちろん、日替わりで海外ビールも置いています。1日目はハイネケンやコロナ、2日目はカールスバーグやエールビール(名称失念)などなど。おつまみも充実しています。
宿泊料は1泊2,000円。人数把握のため電話はした方がいいと思われますが、飛び込み利用にもおそらく対応しています。夏休みの最繁忙期にはマックス53人が利用したとのことですが、どこをどう見渡しても53人が寝れるスペースなんてない気がします。無理やり寝るんでしょう。Googleマップのクチコミには「二度と行かん」というのも散見されますが、そういう人をターゲットにした場所ではありませんので、来なけりゃいいのです。私はハマりました。
今回「みどり湯」には2連泊したのですが、出発する日の朝、日付が変わるころまで飲んでいたせいで、5時25分発の名寄行き普通列車に乗り遅れました。名寄までサロベツで行かなきゃいけなくなったとき、昨晩ご一緒した方に事情を説明すると「名寄までバイクで送って行ってあげるよ」(ヘルメットがなかった)とか「え、特急券代くらい出してあげるよ」とか言われてしまいましたが、さすがに夜遅くまで飲んだ自分が悪いので受け取れませんでした。「みどり湯」はそんな人たちが集まってくる場所です。
「みどり湯」公式ブログのリンクです。もちろんどこかに私も写っています。
今日も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
それでは。
〈執筆:R〉