出札補充券の旅改め“業務連絡書”の旅の巻【24冬日本半周#15】
色々と専門用語が並んだタイトルになってしまい申し訳ございません。ちょっと込み入った事態になったので…。
詳しくは本文でご説明いたします。
Rさん、しゅっぽをなくす
これは昨日の夜のお話、定刻通り秋田新幹線こまちは目的地の盛岡駅に到着。僕らはホームに降りて改札階へ降りようとしました。
その時です。
「あ!しゅっぽを置いてきた!!!」
気づいた時にはもう遅い。無情にも乗っていた列車は盛岡駅を発車してしまいました。なんてこったい!!!
Rさん曰く、座席の網ポケットに2人分のしゅっぽを入れたまま降りてしまったそう。なぜしゅっぽのファイルを出して、しかも網ポケットに入れたのか理解に苦しむのですが、文句を言っても仕方がありません。2人とも旅の要を失ったのですから。
盛岡駅の駅員さんに事の顛末をお話しし、当該列車の車掌に切符を探して貰うことになりました。しかしこれで「あ〜よかった」では済みません。通常切符類を紛失したならば再購入の必要があるからです。
事故札の取り扱い(は?)
とはいえ僕らの切符はしゅっぽになるほど長距離な切符。再発行には膨大な時間がかかりますし、それによって旅程がメチャクチャになってしまいます。失くしたのは僕ら(もといRさん)の責任なんですけどね…。
そこで駅員さん(結構優しかった)が僕らに告げたのは「事故札」の扱いです。じこさつ??僕らも初耳でした。しゅっぽを失くしたことにより僕らがマニアだとバレてしまったようです。にしてもたいそうマニアックなワードをこの駅員さんは繰り出してきました。
事故札。簡単に言えば紛失等何らかの事故で乗車券がなくなった場合、事故札としてその切符を失効させ代わりとして業務連絡書を発行するそう。これによって最後まで同じルートで旅ができるわけです。
当該列車の車掌さんは秋田運輸区の者なのでしゅっぽは秋田へ行き、そして事故札として秋田の地で散ることとなりました。あぁ、僕のしゅっぽ…。
ともかく旅が続行できるのはいい知らせ。しかも一生に一度貰えるか貰えないかのものを発行していただくので、マニアとしてはある意味ポジティブ??
いやいや、夜分遅く動いていただいた関係者に申し訳がつきませんよ!!!
普通の乗車券でひなびに乗る(当然)
業務連絡書の発行には時間がかかり、できるのは本日の13時頃。本当だったらしゅっぽを使って9:45発の快速ひなびに乗るのですが、そんなものは無くなったので普通の乗車券で乗車し、そのあと再び盛岡駅に戻ります。
ひなびはJR東日本が新しくつくった東北の観光列車で、東北本線と釜石線の盛岡〜釜石間を走行します。今回は途中の遠野まで乗車します。
2両編成、1両はグリーン車(ボックス席)でもう1両は普通車(リクライニングシート)という構成。グリーン車も気になりますが、今回は普通車での乗車です。
しかし普通車も素晴らしい。シートピッチはグリーン車並みで、足を伸ばしても前には届きません。これで840円、正気を疑います。
日曜日のわりには乗客はあまり乗っていませんでした。不〜景気で困ります〜(閉めます♪)。
花巻駅ではホームで「鹿踊り」の出迎えがありました。宮沢賢治の作品にも鹿踊りについての文があった、ような気がします…。
また、駅から歩いて10分の公園には面白い列車が保存されています。それがこのデハ3です。
細!!!!
当時花巻にあった鉄道の車両なのですが、車幅制限が1.6mとかでそれをクリアするためこうも細くなったそうです。
さて列車は花巻駅を出発して釜石線へと入ります。このタイミングで車内販売を物色、山ぶどうのジュースを買いました。
甘味よりも感じる酸味。ぶどう酢のような酸っぱさに驚きましたが、山ぶどうの味がしっかりしていて美味しかったです。でもこれ開けてから長いこと置いておくと酸化して飲めたもんじゃなくなりそうですね(笑)。ちびちび飲みたいのを我慢してグピグピと飲みました。
2時間弱の乗車を経て列車は遠野駅に到着。僕らはここで降り、列車はこの先釜石まで行きますが遠野にはなんと1時間も停車するそうです。折り返しの快速はまゆりが出発してもホームに仁王立ちしているようです…。
遠野は「河童伝説」をはじめとした昔話の町で、民俗学の父と言われている柳田國男はこの地を取材し、収集した昔話をまとめた「遠野物語」を執筆しています。
駅の近くには「遠野物語の館」という資料館があり、遠野の古い伝説に触れることができます。僕らも僅かな時間を使って見学しました。
盛岡駅に戻って業務連絡書を受け取る
遠野駅出発の直前にRさんのもとに電話が来ました。どうやら業務連絡書の準備ができたようです。快速はまゆりで急いで盛岡駅に戻ります。
この快速には自由席と指定席があり、530円払えば指定席に座ることができます。指定席はもれなくリクライニングシート。自由席にもリクライニングシートのものがありましたが、一部車両はただのボックス席でした。
1時間半かかって盛岡駅に到着。駅員さんの待つ改札へ急ぎます。
受け取った業務連絡書ですが、マニアからすれば大変面白いもので皆さんにもぜひお見せしたいのですが、あまりにも個人情報が多く記載されていたので自粛します。そもそも乗車券を忘れるなんて言語道断、Rさんにはしっかり反省してもらいたいものです。
昼食は盛岡名物の冷麺をいただきました。中にりんごが入っているのが特徴で、最初見たときは「こいつうまいんか?」と疑っていましたがこれがまたウマい。辛味と甘味のマリアージュは最高でした!!
業務連絡書の旅、開幕
これよりしゅっぽ改め業務連絡書の旅が始まります。なんでこんなことになったのか、“それすら我々の科学力ではわからない”。
すみません、最近僕たちは「天空の城ラピュタ」の登場人物・ムスカ大佐のセリフにハマっていて、隙あればムスカ大佐のセリフを言い合っているのです。ハッハッ!!見ろ、趣味がゴミのようだ!!!
東北本線で北上駅まで下り、そこからは北上線に乗車。今日は横手まで向かいます。秋田県横手市、またしても日本海側の町へ行くことになります。行程が長すぎる!!くっそぉ〜〜!!!
途中、ほっとゆだで途中下車。ここは建物内に入浴施設があることで有名な駅で、マニアはもちろん多くの人がこの無人駅で降りて入浴を楽しんでいました。最高の駅だとは思わんかね?
後続の列車が来たのは降りてから約2時間半後のこと。車内は当然のようにガラガラでした。
横手はかまくらと焼きそばの町。どうせなら焼きそばでもと思いましたが周辺にそんな店はなく、今日の夕食はガラガラのマックとなりました。
それでは次回、夏草や兵どもが夢のあとの巻(仮称)でお会いしましょう!!さようなら〜。
※ これは連載記事「鉄路で日本"半周" in 2024 Winter」の一環です。