雪のストーブ列車にバリ得観光列車の巻【24冬日本半周#14】
10時に宿を出てそのまま弘前駅へ。本日は朝から雪模様。
せっかくなら9時くらいに宿を出て、近くにある現存12天守の一つ・弘前城と雪のコラボレーションを楽しむべきなのですが、寝坊しました。桜の季節にでも行こうと思います(ホントか?)。
今日は大変に内容の濃い一日となっています。文字数も多いですが、ぜひ最後までご覧ください!!
“博物館”・津軽鉄道
弘前から普通列車に乗って五所川原駅へ。途中りんご畑と思われるところを通過しました。春になったら大きな赤い実をつけるのでしょう。
五所川原からは津軽鉄道という地方私鉄に乗車します。この津軽鉄道は“ストーブ列車”という客車が売りで、この日も大量のお客さんが小さい駅に集結していました。
ストーブ列車に関しては復路で乗車します。まずは普通気動車で金木まで。金木には文豪・太宰治関連の施設があります。
ホームを見渡すとそこらじゅうに古〜い車両が点在しています。ネットで調べてみると1929年製というものも!!戦前の域にまで達してしまいました。“打製石器”と揶揄したしゅっぽが可愛く見えます。彼らはもはや“恐竜”です。
ここは博物館か!!!
20数分揺られて金木駅に到着。金木駅では駅員さんが運転士から「タブレット」を受け取る珍しいシーンが見られました。タブレットとは簡単に言うと単線区間を走行するための「通行証」みたいなものです。
今ではほとんど見られない、これまた古い博物館的手法です。
太宰治ゆかりの地・津軽
降車した金木駅周辺には太宰治に関する施設があります。津軽鉄道も太宰治にちなんで、先ほど乗車した列車に「走れメロス号」という愛称をつけ、車端部には太宰治の文学を並べています。
駅から歩いて8分、太宰治の生家・斜陽館があります。津軽は太宰治の故郷で、故郷を描いた小説「津軽」を執筆しています。
ここで僕らの会話をご紹介
Rさん「太宰治の小説読んだことある?」
僕「『走れメロス』はある。あとは『トロッコ』とか『蜘蛛の糸』かな〜。」
Rさん「あー、確かに」
…「トロッコ」と「蜘蛛の糸」は芥川龍之介の作品、バカ丸出しです。
ストーブ列車でスルメをかじる
復路は宣言通りストーブ列車に乗車します。行きの列車ではアホみたいに人がいたので混雑具合を心配していましたが、余裕で乗れました。
ところでストーブ列車は本来ならディーゼル機関車に引っ張られるのですが、本日はその機関車が整備中とのことで、臨時として気動車が引っ張っているそうです。つまり珍しい構図を見たわけです。
ストーブ列車には名の通り車内にダルマ式ストーブがあります。先週(もう先週!?)乗ったSL列車にもありましたね。ストーブではスルメを焼くことができ、車内販売でスルメを売っていました。一つ800円でほぼ丸々入っています。ストーブにスルメは付きものなんでしょうか…?
しかし焼きスルメの硬いこと硬いこと。細く割いてくださったのはありがたいのですが、それでも噛むのに相当な力を要します。顎が痛い…。
近くのボックス席では日本酒と合わせていただいていました。ぜひとも夏以降また乗車したいですな。
バリ得観光列車で五能線と日本海を楽しむ
五所川原駅に戻ってまいりました。次に乗車するのは、超が付くほどお得な観光列車・快速リゾートしらかみです!!
この列車は青森から日本海に沿う五能線を経由して秋田まで走行します。全区間乗車で4時間をゆうに超えますが、料金はたったの840円!!!安すぎる!!!
そんなバリ得観光列車に今回は秋田まで4時間たっぷり楽しもうと思います!!
この列車には一般のリクライニング座席の他にボックス席がありまして、今回はそれを予約しました。料金は変わらず一席840円です。
このボックスシートには仕掛けがありまして、座面を引っ張るとフルフラットの座敷になるのです!!早速やってみましたが、片方だけ部品の調子が悪いのか全く動きませんでした。
列車は千畳敷駅に到着。ここで十数分停車して、その間に近くにある千畳敷を見物できます。
千畳敷は、江戸時代に起きた大地震による地殻変動で岩石が海岸に隆起したもの。ボコボコとしているちょっと不思議な形の岩石を楽しめます。
再び五能線を走行します。今度は五能線やリゾートしらかみのポスターにも使われる写真の舞台である海岸を通ります。赤っぽい岩石が特徴的です。
それにしても海岸にゴミが多いですね〜。これでは海の景色や環境が台無しです。
さて今度は白神山地が見えてきました。日本初の世界自然遺産となった、ブナの原生林が広がる山々です。日本ってどうも世界自然遺産が少ないですよね。入山料をもっと高くして、そのお金で自然保護を促進できればいいのですが…。
日本海をよく見れる区間では、列車があえて速度を落としてくれます。こういう演出も観光列車の醍醐味です。
本日は曇りでしたが、曇り・荒れた海こそ日本海だと思います。対して太平洋は煌めく太陽と穏やかな海というイメージがあります。
長い乗車時間もあっという間に終わります。終点・秋田駅に到着です。お得に乗れる観光列車、ぜひ一度ご乗車を!!!
“特急”こまち、在来線を吹っ飛ばす
秋田で一泊したいところですが、明日もまた観光列車に乗る都合で盛岡まで行かねばなりません。秋田駅は今回は通過するだけ。残念。
盛岡までは秋田新幹線を使います。この秋田新幹線は「ミニ新幹線」と呼ばれていて、在来線を走るのが大きな特徴です。
在来線を走ることで、特殊なルールが設けられています。こまちは基本全車指定席で指定席券を買わないと乗れません。しかし秋田〜盛岡の在来線走行区間の乗車に限り、「特定特急券」を買うことで空席に座ることができるのです。
こまちは新幹線ですが、在来線区間は“特急”として扱われます。つまり我々にとって、この列車は“特急”こまちなんですねぇ。
在来線区間とはいえ流石は新幹線車両、夜の奥羽本線を軽快に飛ばしていきます。日本海側の秋田を出てからわずか1時間半で太平洋側の盛岡に到着。速いなぁ。
内容の濃い一日が終了。旅も残すところあと1週間ほどです。
それでは次回、日本海側へとんぼ返りの巻(仮称)でお会いしましょう!!さようなら〜。
※ これは連載記事「鉄路で日本"半周" in 2024 Winter」の一環です。