最終日!!豪雪地帯を抜けて東京に帰還せよ!!!の巻【24冬日本半周#19】
7:00起床、最終日の朝です。ベッドから起きてグダグダしながら準備をする日々もこれで終わりです。
ホテルの食堂で、旅の中で最高級のブッフェ朝食をいただきます。米どころ・新潟のおいしいご飯と東京では味わえないご飯のお供が最高!!今日、最後に待ち構える“ラスボス”との戦いのための英気を養うことができました。また来るよ、新潟!!!
雪降りしきる会津
天気予報によると、これから向かう会津地方では雪が降っているとか。「タダでは帰さない」というメッセージか。いいじゃないいいじゃない。北海道最終日、東室蘭で喰らったアノ件みたいですなぁ(詳しくは#番外編1を)。
上越線で新津、そこで磐越西線に乗り換え会津若松を目指します。本来ならばその地が最終日の出発地でした。午前中は会津若松城(別名:鶴ヶ城)を見に行きたかったのですが、それもお預けになってしまいました。くっそぉ!!!
新津から2時間半もかけてやっとこさ会津若松駅に到着。しかしこれでへたばっていてはいけません。これから最終日を飾る“ラスボス”に乗車するのですから。
恐怖!!ラスボス・只見線
会津若松からは本日のメインディッシュ、只見線の乗車となります。この只見線こそが先ほどからお話ししている“ラスボス”なのです!!
なぜ只見線がラスボスなのか。理由をまとめると以下の通りになります。
乗車時間がこの旅最長の5時間。フツーの気動車に5時間もの間拘束される。
2両編成と短く、さらに鉄道ファン以外にも人気のある路線ゆえに座席の取り合いが激しい。取り損ねると途中で降りる人など無に等しく、5時間も立ち続けることになる。
豪雪地帯を突き進むので、天候次第では何が起こるかわからない。
ダイヤが壊滅的。乗り遅れるものならば死を覚悟しなければならない。
長~い乗車時間、座席の取り合い、豪雪地帯、壊滅的なダイヤ…。どれをとってもこの18日間で最も厳しいものであることは間違いありません。まさにラスボス、最後の砦です!!!
「早めにホームに行こう」と決めてはいたのですが、案の定10人ほどが既にホームで待っていました。発車までまだ10分もあります。イカレテいます、みんな病気です。あ、悪口ではありませんよ?それほどまでに人々が魅了するステキな路線だと言いたいのです。
乗車口は4つあるので、二手に分かれてどちらかが先にボックス席を確保する作戦に出ました。ラスボスを前に臨戦態勢です。
戦いの結果、Rさんがボックスの3/4を確保しました。残る1席分は別の男性が座りました。まあこれで5時間は安泰、第一関門クリアです!!
ちなみに同じボックスに座った男性はすぐに途中の駅で降りられました。イレギュラーに出くわしたようです。
大雪の中の絶景
会津若松を出てからしばらくは福島の盆地をゆったりと走行しますが、只見線の区間のほとんどは豪雪地帯の雪山です。その区間は大変厳しい環境でして、夏は豪雨や台風、冬はドカ雪とムチャクチャです。
この只見線は幾度か自然災害による不通を経験しており、2011年には大雨によって鉄橋が流され、只見~会津川口間が不通になっていました。それから11年もの期間を費やし、2022年に全線復旧がなされました。大変な苦労人、“苦労線”なのです。
メインの山中に入ると雪がさらにひどくなり、北海道でも見れなかったほどのドカ雪っぷりを演出。さすが日本海側の土地です。
しばらくすると、近くの席に座っていた男性が何やら“はっぴ”を着だしました。何をするんだ?と思っていたら車内通路の真ん中に立ち、
「皆様本日は只見線にご乗車くださり、ありがとうございます。途中会津川口駅まで沿線のご案内をさせていただきます。どうぞよろしくお願い致します。」
と、何かのツアー開始のような音頭をとりました。どうやら只見線では地域住民による沿線の案内を行っているようです。こういうのいいですよね。ただ乗っているだけではつまりません。地域の方々と触れ合い、その地域の良さに触れ合うことこそが観光の重要な意義だと思っています。
会津桧原駅を出ると案内員さんが只見線第一橋梁の通過を知らせます。この橋は只見線の数ある名所の一つで、高い所から眺める只見川が最高です。橋の通過中、列車はわざとスピードを緩めて素晴らしい眺めをじっくり見せてくれます。
雪と川の組み合わせっていいですよね~。こういった景色は只見線内では何回も見ることができます。
雪を見るなら只見線
川と雪の共演は続きます。只見線は名の通り、只見川と並行するように走る路線ですので何度も川を渡ることになり、その度に雪との素晴らしいコラボレーションを見せてくれます。
只見線は外国人観光客からも注目されていますが、その理由がよ〜くわかった気がします。美しく雄大な自然景を見ていると「日本に生まれてよかったなぁ」と思うものです。
鉄道ライターとして有名な宮脇俊三氏の著作の中に、只見線の雪景色について書かれたものがあります。そのタイトルは確か「雪を見るなら只見線」でした。なるほど、ごもっともな題名です。
列車は会津川口駅に到着、ここで30分もの間停車します。案内員さんの乗務はここまで。降りる際、「乗り遅れには十分ご注意ください」と注意喚起。乗り遅れたら次の列車まで2時間も待つことになります。以前乗り遅れた方がいたそうで、その方は膝からガックリ崩れ落ちたらしいです(笑)。
皆さん乗り遅れることなく駅を出発。乗車してから2時間半が経過していますが、まだ2時間以上あります(白目)。
車掌さんからのプレゼント
只見駅からは車掌さんが乗り込みます。次駅まで30分もかかるので、その時間を使って検札を行います。2人分の業務連絡書を見せると、またもいい反応が返ってきました。
「お〜、長距離だねぇ(笑)。鉄道お好きなんですか?いや〜、すごいルートだなぁ(笑)。」
山形駅の改札さんを上回るリアクション、ちょっとだけ嬉しくなります。
しかしこの車掌さんのリアクションはこれだけでは終わりませんでした。ひと通り検札を終えて車掌室に戻ると、数分後にまた僕たちの方へやってきました。
「前の職場の後輩が持っててね、カッコいいデザインだったから少しもらったんだけど、1枚ずつあげるよ。」
なんと、鉄道カードまでもらってしまいました!!この車掌さんは以前上越新幹線で乗務していたそうで、その縁で「JR SKI SKI」のカードを後輩からもらったそうです。わざわざありがとうございました!!!
車掌さんのもてなしはそれだけにとどまらず、どこから入手したのか黄色い折り紙でドクターイエローをつくり、その裏に手書きでメッセージを書いたものをいただきました。お忙しいのにも関わらずこのようなものをつくっていただいて、かたじけないです。本当にありがとうございました。このご恩は“再訪”という形でお返ししたいと思います!!!
さて、本当でしたらこの回で最終回を迎えたかったのですが、只見線のくだりが意外と長くなってしまいました。終わりの言葉も入れてしまうとすごく長い文章になってしまうので、ここで区切りを入れようと思います。次回こそが最終回となります!!
※ これは連載記事「鉄路で日本"半周" in 2024 Winter」の一環です。