スペーシアXのコックピットラウンジでプチ贅沢な帰路を満喫
去年7月、東武鉄道は新型特急列車・スペーシアXをデビューさせました。その豪華たるや、JR東日本擁するサフィール踊り子に匹敵するもの!今や大人も子供も大注目の観光列車です。
トラベルライター素人の僕がその絢爛さを記すには余りあるため、列車の詳細はホームページでご覧いただけると幸いです(逃げ)。
さてデビューから数ヶ月後、RさんがスペーシアXに乗車した記事を投稿しました。Rさんに先を越された僕は悔しくて悔しくて、「どうにかしてRさんを上回る乗車をしよう」と考えました。
そうして考え着いた先が「コックピットラウンジ」への乗車でした。コックピットラウンジはスペーシアXの1号車にある設備で、誰でも使えるわけではなく、一つ一つのテーブルが“座席”として販売されています。
列車自体が人気のため、このような特別座席はすぐに売り切れてしまいます。乗車の約一か月前に東武の自動券売機でポチポチし、ラウンジの1人用座席をなんとか手に入れました!!
フフフ、楽しみだぞぉ。
ボッチに与えられし特等席
4月某日、夕方の下今市駅にやってきました。この駅には東武のもう一つの目玉列車・SL大樹の車庫があり、駅構内の広場から転車台を見物できます。
17:00頃、今回乗車するスペーシアX10号がやってきました。小田急ロマンスカー・VSEに負けず劣らずの純白ボディを見せつけながらホームに入ってきました。気品あふれる姿に思わず圧倒されてしまいます!!
高ぶる気持ちを抑え、さも常連客であるかのように1号車・コックピットラウンジに乗車します。ホントは初乗車だってのに。
鬼怒川温泉からの乗車であろう乗客がすでにワイワイやっておりました。4人用席ではスーツ姿のお仲間がビール片手に談笑中。と言ってもドンチャン騒ぎはなく、スペーシアXの風紀は守られているようでした。
そして僕が予約した1人用の座席がコチラ。
一つのテーブルに一人掛けの椅子、まさにボッチ席です。他の座席に背を向けるように設置されているので、余計ボッチさが際立ちます。
しかし座ってみるとそんなことは気にならなくなるくらい快適です。リクライニング機能はないもののドッカリと座れる大きめな椅子、車端部とはいえ足をビロビロ伸ばせる空間と黒く高級感あふれるテーブル。まるで偉い人になった気分です♪
各テーブルの窓側には一つだけ充電コンセントがついています。早速ケーブルをブッ刺してスマホを充電、足はダラ〜んと伸ばします。これぞ最高のぐうたら!!もはや家です。
さらにこの1人用座席は運転台の後ろにあるため、鬼怒川方面ならば前面展望を楽しめます!!
ラウンジ客の特典と気になるお値段
コックピットラウンジの乗客には無条件でとある特典がついてきます。
それがコチラ!!
これは「CAFÉ Ticket」というものです。
「CAFÉ」とは、1号車の後方にある「Goen Café」のこと。スペーシアXの乗客誰もが自由に利用できるのかと言うとそうではなく、、、
実はこのカフェは数量限定のオンライン整理券を入手しなければ利用することはできないんですね。20組程度なので倍率もそれなりにあって、確実に確保できるかは分からないのです!
しかーし!僕がいるコックピットラウンジと6号車の乗客には先ほどのチケットがあります。わざわざ整理券獲得の熾烈な争いをする必要はないのです!!
それだけではありません!
乗車中はこのチケットを提示すればカフェを“何度でも”利用することができちゃうんです!!なんという優遇っぷりでしょうか!!!
さぁこう言われて「でも、お高いんでしょう?」と思った皆さん、ノー・プロブレム!このコックピットラウンジの追加料金は驚くほど安いのです!!!
例えば今いる1人用の座席には、同列車の最下級席・スタンダードシートに僅か200円追加するだけで乗れてしまいます!!
下今市〜浅草のスタンダードシート料金が1,940円ですので、その+200円、2,140円で乗れちゃうんです!!お、お得すぎる…!
僅か200円の追加で素晴らしい座席とカフェテリア使い放題のカードがついてくるなんて、夢のようではありませんか!この席、使わない選択肢はございません!!
「Goen Café」で優雅なおやつタイム
ではさっそくそのカフェテリアを利用したいと思います!!
先ほどのチケットをカウンターのお姉さんに見せて商品を注文します。支払いはICやクレカなどのオンライン決済のみで、商品は決済後すぐに手渡されます。
注文したのは「酒粕のバターサンド」と「日光コーヒー」のカフェおすすめの組み合わせ。日常生活では味わえないおやつです。
このバターサンドがまた美味い。
分厚いサンドを一口かじると、ひんやりとしたバターが芳醇な香りを乗せて口の中で溶けていきます。コッテリ感は全くなく、とても食べやすいです。さらにほんのりと塩気もあり、「しょっぱうまい」味がたまりません!!
僕はあまりバターサンドは好きではないのですが、これは「美味しい!」と思えました。
そしてコーヒーも美味い。バターサンドとよく合います。カフェ側がオススメしているだけに、この2つを選んでおけば間違いはないようです。
特権を使っておかわり発注
先ほどご説明しました通り、ラウンジの乗客はチケットの提示でカフェテリアを何度でも利用できます。このためにラウンジ席を買ったのですから、もう一回行かないわけにはいきませんよね?
というわけで、また注文してきました。今度は日光のクラフトコーラ「ニッコーラ」をオーダー。
下に溜まっている沈殿液(言い方よ)をストローでかき混ぜ、オレンジがかったコーラが完成しました。
ちょうど列車は坂東太郎・利根川を渡っている最中で、橋と夕焼けとニッコーラがよく映えました。
夕焼けを見ながらオシャレな車内でドリンクを楽しむ。なんと贅沢なことでしょう。それでも旅費はそこまでかかっていませんからね。本当にスゴいことです!
ちなみに、上り浅草方面のスペーシアXのカフェテリアは春日部駅到着時点で営業を終了します。おかわりはキチンと時間内に行いましょう。
旅の余韻
春日部駅の到着前、車掌さん(ベテラン風)が「お写真撮りましょうか?」と聞いてきました。個人的に記念撮影は苦手なのですが、ここはご厚意に甘えることにしました。
1枚普通に写真を撮ると、おもむろに自分の車掌帽を差し出して「被りませんか?」と一言。
鉄道ファンと察知されたのか、中高生と誤解されたのか定かではありませんでしたが、車掌さんの予想外なおもてなしに感激いたしました。本当にありがとうございます!
※色々とプライバシー満載なものなので、ここでの投稿は控えさせていただきます。
春日部、北千住と来れば浅草はもうすぐそこ。あっという間の2時間でした。
浅草駅の一つ手前、東京スカイツリー駅を発車すると列車は名物・大カーブを通過します。近くにある浅草寺の境内に入らないように駅を設置したので、そのような無理くり構造になっているのです。
隅田川の夜景が終着への花道を彩ります。川には当時色々言われた「屋形舟」がいくつか浮かんでいました。人との交流が徐々に復活しているのは大変良いことです。
急カーブのため、列車は非常にゆっくりと通っていきます。時速は30キロもないでしょうか。まるで終点に着くのをためらう我々の思いを列車が汲み取っているようでした。
「まだ帰りたくない、もう少しここにいたいよー」と思っている乗客に旅の余韻に浸る時間を与えるため、列車はゆっくりゆっくり浅草駅に入っていきます。この日この旅の思い出を、永遠にとどめておいて欲しいから…。
列車は回送となって浅草駅を出発。純白のボディが闇夜に消えていきました。
「記憶」というのは儚いものです。どんな楽しい思い出も、ゆくゆくは真っ白になってしまうものです。
でもこの旅の思い出は決して薄れやしません。なぜなら、この車体は最初から真っ白だからです。
<おしまい>