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【指導者・親御さんは知っておきたい】女性アスリートに起きる問題

皆さん、こんにちは。
ストリングスメンバーの無量谷(TwitterInstagram)です。

近年、全国的な女子高校野球部の増加や女子高校選抜VSイチロー選手率いるKOBE CHIBEN戦が行われるなど女子野球の環境が徐々に改善され、女子野球人口も増加しています。

その影響かは定かではありませんが、女子野球ワールドカップで日本は2008年〜2018年まで6連覇と圧倒的な強さを誇っています。

しかし、ここで考えていただきたいのは『男女の体の違い』です。
女性と男性の体は全くの別物です。

女子野球だけでなく、女子スポーツがさらに発展していくには男性と同じ指導方法ではなく、『男女の体の違い』について理解した上で指導していかなくてはなりません。

男女の体の違いは特に小学生高学年〜中学、高校で著名になってきます。
今回は女性アスリートと関わるにあたって最低限押さえておかなければいけないことをご紹介いたします。

これから女性アスリートに関わる方、関わっている方はぜひ最後まで読んでいただければと思います。

1.女性と男性の違い

男女の違いが大きく現れるのは14歳以降と言われています。
これは女性ホルモンの影響であり、思春期になると女性は月経(生理)が始まります。

男女の違いとして以下のものがあります。

女性は男性より脂肪量が多く、筋肉量が少ない傾向があります。

女性の必須脂肪量
・最低体重の12%、体脂肪率20%〜30%が良いとされている。

女性の筋力

・上半身:男性の約50%
・下半身:男性の約70%

引用:須永 美歌子.女性アスリートの教科書

つまり、同じ人間でも女性の体は男性とは生物学的にこれだけ違うのです。

女性特有のこの月経が乱れる(遅れる、何ヶ月も来ないなど)ほどのトレーニングを行うことや炭水化物を摂らないなどの偏った食事は、怪我や本来のパフォーマンスが発揮できない原因になるため注意が必要です。

また、女性と男性の違いは心理面にも現れます。

男性
・試合に勝つなど何かを達成することでモチベーションが上がりやすい。

女性
・練習を行う過程や行った事に対して指導者、両親、仲間から励まされたり、褒められることでモチベーションが上がりやすい。

引用:須永 美歌子.女性アスリートの教科書

女性は上の立場の人から言われたことを素直に受け入れる傾向が高く、指導者の心無い一言で大きな心の傷ができる可能性があります。
もちろん、あくまで傾向であるため、男性でも言われたこに対して素直な子もいるため、指導時の発言には十分注意しなくてはなりません。

2.女性アスリートの三主徴

「女性アスリートの三主徴」は、1997年にアメリカスポーツ医学会によって発表され、2007年にこちらの3つの項目になりました。

そもそもの原因は利用可能エネルギー不足と考えられており、体重が軽いことが有利とされている器械体操・新体操、陸上の長距離競技などで起こりやすいとされています。

また、継続的な激しい運動トレーニングが誘引となり、それぞれの発症が相互に関連し女性アスリートにとって重大な問題となります。

・利用エネルギー不足

思春期の健康を維持するためには、

①生殖のためのエネルギー
②運動するためのエネルギー
③生きるためのエネルギー

この3つをしっかり食事から摂取することが大切です。

しかし、運動によるエネルギー消費量に対して、食事などによるエネルギー摂取不足が続くと、卵巣を刺激する脳からのホルモン分泌が低下したり、骨代謝などを含む身体諸機能に影響をきたします。

私がDr.の先生から聞いたことがある話では、女性陸上選手で疲労骨折を繰り返す選手がいたそうです。最初は原因がわからず、安静とリハビリを行っていたのですが、話を詳しく聞くと太りやすいという理由で糖質(など白米)をほぼ摂取しておらず、その結果、生理不順が起きていたことがわかりました。

その子は、糖質の摂取(白米など体のエネルギーになる食べ物)を再開したことで生理が正常に戻り、疲労骨折も回復に向かったそうです。

・視床下部性無月経

無月経とは、人に元々備わっている『生殖』の機能が低下している事を指します。

月経は脳の中にある視床というところ
人は利用可能エネルギー不足が続くと、まず初めに生殖機能を犠牲にして、エネルギーを運動と生きるための機能に振り分けます。

国立スポーツ科学センター(JISS)において、国内トップレベルの女性アスリート683名を対象に 実施したアンケート調査結果では、無月経を含む月経周期異常のあるアスリートは約40%を占めていました。

視床下部無月経の割合が多い競技
①審美系(バレエ、フィギアスケート、新体操など)
②陸上の中・長距離(持久系)

この視床下部無月経が1年以上続くと、回復しずらくなってしまい、若年閉経、妊娠分娩能力低下、将来的に循環器障害リスク増加を起こす可能性もあります。

出産をする・しないはもちろん個人の自由です。
しかし、出産したいと思った時に、出来る選択肢は持っていてもいいかもしれません。

・骨粗鬆症

骨粗鬆症とは骨が脆くなり、骨折しやすくなった状態をいいます。

一般的には運動をすることで、骨に適度なストレスが加わり、骨をじょうぶにすることが知られていますが、女性の場合は三主徴との関わりで骨粗鬆症を発症することが多いです。
主な原因はやはり利用可能エネルギー不足です。

239名を対象に行なった調査では、10代アスリートの内、疲労骨折発症の割合は正常月経群で11%、無月経群では38%という無月経群で多かったという結果もでています。(能瀬ら.2014)

また、三主徴を有するアスリートでは疲労骨折のリスクが高く、特に10代はさらにリスクが高い事や無月経では12.9倍、低骨量では4.5倍、低体重では1.1倍の疲労骨折リスクが高くなります。

女性の骨量は12歳ごろから急激に増え、20歳でピークを迎えます。そこからは増えることはなく、閉経後から急激に骨密度が低下していきます。
20歳までにしっかり栄養を摂り、骨量を増やしておかなければ将来、骨折して寝たきりになる危険性も高くなります。

3.女性アスリートと関わる上での注意点

ここまで、女性アスリートの三主徴を中心にご紹介いたしました。

女性アスリートにとっても月経はなくてはならない物です。

無月経になると月経が起こらないことで楽かもしれませんが、トレーニング効果やパフォーマンスは落ちますし、疲労が抜けづらいなどの症状がでます。
自分や子供のBMIや体重が適正かをぜひ一度チェックしてみてください。

もし、自分or子供が三主徴に当てはまっているのでは?と思った方は簡単にチェックできるスクリーニングシートや女性アスリートへの具体的な接し方や講習会情報がインターネット上に掲載されています。

https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/business/female_athlete/program/tabid/1329/Default.aspx

4.最後に

将来女性が子供を産むかは個人の自由です。
しかし、産みたいと思った時に産める体を維持する、作っておくことはとても大切なことです。

そのためには、日常的な食生活においては、バランスのとれた食事や、運動によるエネルギー消費量に見合ったエネルギー摂取量の維持を心がけるなど、家族や周囲のサポートが必要となります。

また、成長期におけるトレーニングに関わる指導者は、女性アス リートの三主徴の予防対策について理解を深めながら、トレーニング強度・頻度などの調整や体重コ ントロールに留意していくこと、選手が相談しやすい環境を作ることを心がけていただければと思います。

そして、

手遅れになる前に、子供の将来を守るために少しでも異変があれば
病院受診の促しをお願いいたします。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

記事担当:無量谷 裕哉

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