メリーさんを和歌山まで来させよう

「メリーさんの電話」という都市伝説をご存じだろうか。ある日捨てたはずの人形が段々と持ち主のいる場所まで近づいて最後は「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの」というセリフで締められる話である。このメリーさんの電話は色々とネタにされているようだが、ある日、私はこんなネタを考えた。そうだ、メリーさんを和歌山まで来させたらどうだろう、と。そんなこんなで思い付いたネタを消化させるためだけに今回は書いていく。

メリーさんを捨てた場所

まず一つ目に考えるのはメリーさんを捨てる場所だ。私は大阪の某所で人形を買った。しかしこの人形があまりにも気味が悪すぎたので大阪市のあるゴミ捨て場に捨ててしまった。その後、私は電車に乗って和歌山まで帰ってしまった。

メリーさんから電話がかかってくる

人形を捨てて帰ってきた夜、突然電話がかかってきた。

「私、メリーさん。今、ゴミ捨て場にいるの。」

ついにメリーさんが動き出したようだ。メリーさんはなぜか知らないが私の居場所を知っているみたいなので、ここは和歌山駅で待ち構えてやろう。私は家を出て和歌山駅まで向かった。

和歌山駅に着いた時、再びメリーさんから電話がかかってきた。

「私、メリーさん。今、郵便局にいるの。」

その一言を言うと、メリーさんは電話を切ってしまった。しかし、その1分後にまた電話がかかってきた。

「私、メリーさん。今、駅にいるの。」

メリーさんの後ろでは童謡「メリーさんの羊」が流れていた。どうやらメリーさんは玉造駅にいるらしい。次にメリーさんから電話がかかってきたのは10分くらいしてからだった。

「私、メリーさん。今、天王寺駅にいるの。」

天王寺駅から和歌山駅までは電車で1本で行くことが出来る。あと1時間くらいすればメリーさんは和歌山駅まで来るだろう。

意外にも、メリーさんから電話がかかってきたのはその50分くらい後だった。

「私、メリーさん。今、関西空港駅にいるの。なんで。」

なんとメリーさんは和歌山とは全く関係のない関西空港に着いてしまったようだ。
天王寺から和歌山まで行く電車は関空・紀州路快速として途中まで1本の電車として運行される。しかし、日根野駅で切り離され、それぞれ関西空港、和歌山へと行く。メリーさんは天王寺で間違って関空へ行く方に乗ってしまったのだ。

「そっかあ、それじゃあ来た電車に乗って日根野駅まで戻って。そこから和歌山方面行きの電車に乗り換えて。」

そういうと私は電話を切った。次に電話がかかってきたのは更に50分経ってからだった。

「私、メリーさん。今、和歌山にいるの。」

どうやらメリーさんは無事に和歌山駅まで来れたようだ。そして再び電話がかかってくる。

「私、メリーさん。今、あなたの後ろにいるの。」

私は改札に正面を向いて立っていたのになんで後ろにいるのか不思議で仕方なかった。私は確かにメリーさんが電車から降りるのをこの目で見た。なのに気づいたら後ろにいる。正直、勝手に動く人形よりも、知らないうちに後ろにいるということのほうが怖かった。