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いつだってハレの日
2018年10月1日、『ミュージカル タイタニック』初日。チラシの束の中に私が待ち望んでいたお知らせが入っていた。『ボクが死んだ日はハレ』再演。とにかく嬉しくてまだまっさらな2019年10月の手帳のページに、大きくボクハレ再演と書いた。
ボクハレは私にとって思い入れの強い作品。
2016年下半期くらいからその時のTravis Japanのメンバーだった仲田拡輝くんに夢中になった。ジュニア担としての覚悟を決めて、仲田担になろうと決心した矢先に、彼は退所した。
その時の喪失感というか、やるせなさというか、とにかく仲田拡輝が好きという私の中のエネルギーが行き場を失ってしまって、モヤモヤした日々を過ごしていた。のも束の間で、仲田拡輝は百名ヒロキと名前(と髪型)を変えて表舞台に戻ってきた。そのデビュー作が初演のボクハレ。
初演のチケットはプレミアだった。会場のキャパは100席ほど。いろんな思いを抱えたファンがどうにかこうにか頑張っていたのを覚えてる。
私は運良く追加席のチケットを手にすることが出来て初演を観劇した。
ストーリーと百名ヒロキとしての歩みを重ねてとにかく泣いて、でも晴れやかな気分になって、百名ヒロキを受け入れるきっかけになったあの時気持ちを今でも覚えている。
覗くと光くんが見える水晶
そして今回の再演!
初演はボクハレを百名ヒロキの物語として観ていたけど、再演は自分自身と照らし合わせて観れたように思う。
だれもが大事な何かを失くした経験とか、後悔してることってあるけど、それをケ(汚れ、失敗、マイナス)と捉えず、ハレの日と捉えることでまた違う何かが見えてくる。
ボクハレには4人の女性が出てくる。それも誰もが挫折した経験を持っている。この4人を将来の私と重ね合わせてしまって。
初演の時私は20歳だった。10代は未来はとにかく明るいと思っていて、何をしても許される、挽回できるような無敵モードだった。
でも20代になった瞬間、途端に将来が現実的になってきて。就職、結婚といったことがすぐそばに迫ってきて、年を重ねるのが少しこわくなってしまった。
そして今。22歳。就職が決まった。とりあえず大手だし、親とか周りの人も褒めてくれるし、納得というか妥協できるというか、そんなところで来年から働く。20歳のときの未来を現実にした。今のところは楽しみよりも不安の方が大きい。
んー、上手くまとまらないけどなんとなくまだモヤモヤした気持ちを抱えてるわけで。
そんなときに苦しみながらもがきながら懸命に進むハレハレの3人とプロデューサーさんが本当にかっこよく見えて。多少カッコ悪くても這いつくばりながらでも、一歩一歩人生を進んでいこう。そんな前向きな気持ちになった。勇気をもらえた。
初演でも大好きだったセリフ。
「女は年をとってシワが増えても衰えても、心の代謝はあがるのよ!! 小さな幸せをもっともっと感じられるようになる!!」
再演でも心にグサッと、でも染み入るようで泣いた。ああ、こんなふうに生きていきたい。
ボクハレ、マタ・ハリ、BACKBEAT。
石丸さちこさんのおかげで人生が豊かになっている。今回も劇場にいらっしゃっていて、心の中でいつもありがとうございますと伝えました。
マタ・ハリ再演待ってます。
そしてヒロキくん。
初演と再演ではヒロキくんに抱く感情が全然違って。初演は百名ヒロキを受け入れられるか、本当にいるのか、とか不安ばかりだったけど、再演は安心と信頼しかなかった。
お芝居のくせが取れてセリフがスッと入ってきて、石丸さんにずっと言われてた歌もとっても上手くなってて、でもしなやかな身のこなしと華麗なダンスはそのままで。ヒロキくんの進化をこの目で確かめられて良かった。
ヒロキくんは今がスタートラインだと思っている。今演劇界にはこの世代のライバルがたくさんいる。芝居も歌もダンスもできるようになった。そこからのプラスアルファが必要なんだろうな。
これは別にヒロキくんを貶しているわけではなく。
ヒロキくんの愛する力と愛される力と素直さがあればもっともっと高みを目指せる。帝国劇場で主演ミュージカルも夢じゃない。絶対できる。
これからも微力だけどヒロキくんの夢を応援したい。
私の人生の軸となるような大事な作品。また観劇できて本当に幸せ。
観劇中にとまらなかった涙と満たされた気持ちをいつまでも覚えていたい。