見出し画像

日本の山と和歌

日本の山岳の風景は、古くから和歌や歌枕(うたまくら)などの日本の詩文に詠まれてきました。

和歌は自然や季節の美しさを詠むための詩形であり、山々の風景や四季折々の姿が詠まれることが多く、自然との共鳴を感じさせる素晴らしい表現があります。

それでは今日は、日本の山岳の風景をイメージさせる和歌の一例をいくつか見てみましょう

山の風景と四季

「山さびて 人さびて寝る 夜は更けて 月も来ぬ山に 鳴くは我が身」(藤原家隆)


春の山

「春過ぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の香具山」(菅原道真)


夏の山

「夏の月 白き鳥の 通ひ路に 通ふべき思ひを 君かと見るなり」(猿丸夜叉子)


秋の山

「秋風に たなびく白雲 山野に 思ふものはひとり 秋の夕暮」(小野小町)


冬の山

「山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば」(柿本人麻呂)


「田子の浦に うち出でてみれば 白妙の 富士の高嶺に 雪は降りつつ」(大伴家持)


山の音

「やすらひの 歌声聞けば 風さわぐ かぜもしやしきの 笛なるらむ」(猿丸夜叉子)


「古池や 蛙飛び込む 水の音」(松尾芭蕉)


夜の山

「み吉野の 山のもみぢ葉 霜おとして 干るところなく 消えにしをるか」(参議篁)


このような和歌には、山の季節ごとの美しい風景や孤独感、自然との共鳴などが詠まれているのです。和歌の語彙は、自然の美しさを感じさせる形容詞や季語、自然の音や風を描写する擬音語などが多く使われます。山の風景が詠んだ人の、自然への深い愛着と感謝の気持ちが表現されていることがわかります。


歌枕
歌枕(うたまくら)とは、古くは和歌において使われた言葉や詠まれた題材、またはそれらを集めて記した書籍のことを意味しました。現在はもっぱらそれらの中の、和歌の題材とされた日本の名所旧跡のことをさしています。

画像はウィキペディアから
早池峰山を真西から見る。岩手県紫波郡紫波町から撮影。まるちゃん 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?