四国の怪奇現象「古杣(ふるそま)」
レナは、軽い心拍とともに森の静寂を楽しんでいた。四国の山々は、彼女の故郷、チャビリンスクの厳しい冬景色とは違い、柔和な緑と湿気満ちた空気が新鮮で心地良かった。
彼女はジャーナリズムを志す奈良の女子大生で、この夏休みに四国を旅して、地元の自然と文化を体験することにした。
山で過ごす最初の夜、レナは夜空を見上げ、星の光が木々の間を照らし出す光景に感動していた。しかしその時、「カーン、カーン」という木を切るような音が聞こえてきた。
それは鋭く、はっきりとした音で、森の中のどこかで誰かが木を切っているようだった。その音は次第に大きくなり、「バリバリバリッ」「ドーン」と大木が倒れるような音まで響き渡った。
しかし、それがどこから来ているのか、なぜこんなに遅い時間に誰が木を切っているのか、レナには理解できなかった。そして音が止んだ後、静寂が再び彼女を包んだ。彼女は一晩中、その音の謎に思いを馳せ、夜が明けるのを待った。
翌朝、レナはその音が響いていたと思われる方向に向かって歩き始めた。しかし、彼女がたどり着いた場所には、木を切った跡も倒れた木も何もなかった。まるで昨晩のことが幻だったかのようだ。
レナ「あの音は・・・一体何だったん・・・?」
知りたがりのレナが地元の人々に話をしたところ、それが「古杣(ふるそま)」という現象だと教えてもらった。
古杣(ふるそま)
「古杣」は四国地方の伝説で、山で暮らす人々が体験する、音だけの妖怪の一つだという。
レナはその話を聞いて驚き、更に興味を持った。
レナ「音鳴らすだけの妖怪がおるんか? 何の意味あるねん!おもしろ」
レナはロシア出身で、自然と山と怪奇を愛する学生である。神秘的な現象に対する興味が尽きない彼女は、この「古杣」の謎を解き明かそうと決意した。四国の山に残るこの不思議な現象と、その背後にある可能性のある伝説や文化、そして彼女自身の体験を組み合わせて取材し、YouTube動画にまとめることにしたのだ。
こうして、レナの奇妙で興味深い「古杣」の探求が始まった。
「続く」
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