寅さん観察日記#38「知床慕情」
第38作 1987年8月5日 男はつらいよ 知床慕情
マドンナ:竹下景子
冒頭の夢シーンが無い!これは驚きである。
第一作目以来の久々の始まり方だ。
寅さんが江戸川で遊んだ幼少期を振り返るナレーションから始まる。
奇をてらわない導入に、いよいよ作品としての風格が出てきた感あり。
おいちゃんが病気で入院してる所に寅さん帰宅。
おいちゃんの代わりに店を手伝う事になるが、見事なまでの役立たずっぷりの寅さんを見ておばちゃん泣き出す。
もうこんな店畳むと。誰のために働いてるんだと。
そうだよなぁ。とらやって名義上は寅さんがオーナーなんだよな。
おばちゃんがいつにも増してかわいそうである。
さくらの会話の中でとらやは今も職人が8時に来て団子の仕込みを始めると説明あり。職人さんの姿も映る。
職人さんまだいたんだ。
しばらく姿を見掛けないのでもうずっとファミリーだけで回してると思ってた。
おばちゃんに泣かれちゃって居心地悪くなって旅に出る寅さん。
柴又駅の電車が新車両になっている。
知床で獣医の先生(三船敏郎)と出会う。獣医の娘さんが竹下景子さん。
以前寅さんがニセ坊主をやった回でもマドンナで登場していた。
お綺麗さに磨きがかかっていて良い!
寅さんと竹下景子さんの恋物語かと思いきや、今回の主役は獣医さんでした。
三船敏郎と一緒に映ると、さすがの寅さんもなんだか小さく見えるな。
じわじわ始まる人生の大先輩(獣医)に対してのエラそうな恋愛指導。
結果オーライとなるので微笑ましい部分ではあるが、前半のとらやでのダメっぷりも相まって、ちょっと寅さんの図々しさは気にかかる。
そして逆に寅さんが知床の地元民に恋愛指導を受けてカーっとなって知床を後にするくだりは、見ている人の溜飲を下げさせるシナリオか。
物語はほぼ知床で進行。
とらやと寅さんの距離がどんどん広がっているような印象も受けた。
これは先々への何かの布石なのか、たまたま今回は知床の風景をたくさん撮りたかっただけなのか。
満男の身長がぐんと伸びて今やとらやファミリーの中で一番背が高くなっていた。
ロケ地:北海道・知床
主題歌:キーG。録音もの。
この録音音源が安定感があってとても良い。
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【寅さん観察日記】
男はつらいよの第一作目を見て、寅さんが頭の中の印象よりも随分と粗暴な性格で驚いた。そこでいつ頃から皆に愛される寅さんへと変化していったのかに興味が湧き、一作目から順に見ていくことにした。
あらすじ紹介が目的ではない。
順に見て思った事、雑感を書き連ねていく。順に見なければ分からない感想が紡ぎ出せればと思う。
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