【システマ】北川貴英WS後記② 武器にとらわれない武器・インプロヴァイズドウェポン
前回の記事から10 日もたってしまいました。申し訳ありません。
今回からは6月に熊本で行われた北川貴英インストラクターのワークショップの実際の内容についてシステマ肥後の立場からまとめさせていただきます。
6月25日、ワークショップの初日はサクラマチクマモト熊本城ホールにて
「インプロヴァイズド・ウェポン」すなわち「とっさの武器術、即興の武器術」ともいうべきワークショップが行われました。
↑会場の前で、システマ肥後の杉本インストラクター
この日は非常にいい会場を借りられたという事で、県民としてもうれしいことこの上なかったです。そもそもこの北川インストラクターのワークショップは実際2月に予定されていたものが、コロナによる緊急事態の関係で延期されたものだったので、ちゃんと開催できるというだけで感動がひとしおでした。
↑開始前、会場の電光掲示板に「システマ」の文字が躍る。もう引き返せません。
空港から到着された北川インストラクターとともに会場入りして会場設置を行います。今回は日用品を武器にする、というコンセプトのワークショップなので机の上には様々な日用品が並べられました。ざっと思い出してみる限り
ハンガー、孫の手、傘、ゴミ箱、スマホ、スコップ、服、タオル、おもちゃの拳銃、おもちゃのナイフ、チェーン、スリッパ、etc……
これらが一体どのように使われるのかわくわくしながら開始を待ちます。すると会場で、並べられたモデルガンを見て、北川インストラクターが
↑モデルガンの弾倉をチェックする北川インストラクター
北川さんは机に並べられたモデルガンの弾倉とチャンバーを全部チェックされていました。日本では可能性として低いのですが、銃、銃に見えるモノについては実銃が混ざっていた場合や、おもちゃであっても弾が入っていた場合、大けがにつながることがあります。これは普段のシステマの練習でも同様で、もし練習に使うのがダミーナイフであっても、間違って本物のナイフが紛れ込んでいないか、ちゃんと刃が落とされていて切れる心配がないのかちゃんとチェックするからです。
準備をしている間に参加者さんたちが集まり始めました。
開始前の和やかな感じの参加者さんたち。ワークショップの始まる前の雰囲気ってすごいいいですよね。理由はありませんが単純に好きです。
時間になるとまずは参加者さんたちは北川さんの指示で、思い思いの「武器」を手に取り、ペアになってお互いの体を武器でマッサージ。叩いてみたり、こすってみたり、構造を確かめながら武器に慣れていきます。
ここら辺がシステマのすごくユニークな点だなと思うのですが、システマには究極のところ「武器であるかどうか」という事にこだわりがありません。手に取ったものが武器として使えるならマッサージとしても使えるのだし、また、マッサージ器具として使えるなら有効な武器にもなりえるからです。
さらにそれぞれの形や構造に合った使い方というのがあります。ハンガーだからといって服を干すという発想にしか頼らないのではなく、首の部分に引っ掛けてみたり、叩いてみたり、滑らせてみたり、自分と他人の体を通じて使い方を体験していきます。
また地球上のすべての道具には重さがありますので、重さや材質、力の伝わり方など普遍的な要素を把握するのにマッサージはすごく役に立ちました。物体をマッサージとして使うことでより深く人体の体感に落とし込むことができていきました。
いろいろな扱いに慣れてきたら、実際に使ってみます。
↑単なる折り畳み傘が・・・必殺の兵器に!
人体には必ずひっかけられたり押されると弱い部分というのも存在します。そういう部分の緊張をうまく使って、道具に当てはめると自然と動きが完成していくように見えました。
ジャケットや装飾品もまた有効な武器になります。自分が着ているものだけではなく、相手が着ているもの、身に着けているものも同様に「武器」。単に自分の武器を相手が持ってきてくれているだけという変な状況ですね笑
北川さんが日常品を持っているか、服を着ているときはそばに近寄るのは危険かもしれません……ですが北川さんの場合、こちらが服を着ていてもそれで絞められて危険だから、結論としていつも危険です。
あらゆる状況、条件にこだわらないからこそできるシステマらしい面白い武器術の数々を教えていただき、練習していきました。
タオルで吹っ飛ばされたり、鞭のように打擲されたり、ハンガーで首を絞められたり、ネクタイで足を縛り上げられたり、スマホで目と喉をつぶされたり本当に楽しい万華鏡のような護身?武器術教室。
その詳しい様子はシステマ肥後が現在プロの動画編集社さんにお願いして映像作品化していますので、ぜひお待ちください。
あっという間の楽しいシステマ時間が終わり、思い思いの武器を手に取って記念撮影!男性女性、老いも若きもみんなで楽しめるインプロヴァイズド・ウェポンのクラスでした。
北川インストラクターのインストラクションは、武器と人間の動きの抽象的な部分、それ以上の根本的な部分からしっかり理解させていただける内容で、驚きっぱなしでした。北川さんありがとうございました。
*おまけ*
この日のワークショップ終了後だれからともなく北川さんにストライクを打ってもらう行列が……行列のできるストライク屋さんが開店していました。
ちなみにこのYoutubeのコメントで「動画を見終わるとわかるはじめのアロハおじさんのスゴさ」と書かれていましたが。ぼくがアロハ着てたのは趣味ではなく、インプロヴァイズド・ウェポンの小道具としての着衣ですからね!一応趣味であのアロハを着ていると思われるのは恥ずかしいので反論しておきます笑
そしてワークショップはついに本番、二日目、「Possibility of Movement(動きの可能性)」に突入します次回はそれについての感想後記を書かせていただきます。読んでくださってありがとうございました!
おまけ2
一日目の夜、熊本ではほとんどの店がまだ閉まっていたのですがみんなでご飯を食べに行きました。ミカエルのディープな話などを聞いて楽しかったです。