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TRADE

待つのはくるしくはない。むしろ人をせかしたくない。

こんな経験がある。離れた土地に知人がいて、マイペースを守る人だった。彼女にEメールを送った。三月以上経って返信が届いた。返事が遅れました、とあり、相手の顔も浮かび、笑いそうになった。送信は、一方的に気持ちや出来事を伝え、投げかけるので、私は返信も時間の開きも気にはしない。
メッセージアプリでは、既読はすぐにつけるようにしているが、答えられない内容には返信はしない。例えば、元首相が銃撃された知らせに、何と言えばいいのだろう。実行した彼が、宗教団体とそれに傾倒した親に辛酸をなめさせられていた事実と、彼の手製の銃弾に倒れた人と宗教団体とのつながりをそのとき知らない。
私から送信する場合、末尾に、既読をつけるだけでいいと付ける。そうしなくても古い友だちは知っている。

note株式会社(以下note)の上場後、私は株式投資を始めた。
投資に興味があったのではない。すでに健康な身体と思想はあり、それに円はいらない。
2022年末、円は1ドル150円から下がってはいたが為替相場にはまだ不安はあった。
日銀の総裁が来春交代するのを待たずに上場したnoteが、少年ジャンプに掲載される作品みたいに面白く、意気にも感じて証券会社に口座を開設した。

明けた正月19日に株価443円で2単元(100株1単元)、翌20日、434円で5単元購入した。他にジモティーを株価1702円で1単元、基盤として本田技研工業を1株だけ3,064円で購入した。どれも私が知り、生活に関わる銘柄だ。

noteの株価は2月8日から急騰して、9日09時41分に643円となり上場日以来となる高値を更新した。
私は株価の急激な変動に平静さを失くした。13日に650円で6単元、654円で1単元、すべての株式を売却した。翌14日も株価は上昇し09時12分796円で上場日以来の高値を更新した。
株式投資を始めて1月も経たずに買値から49 %―(650÷436)−1×100%ー上昇し、株式の譲渡益は148,426円だった。不思議に、私はそれを少ないと思ってしまった。のちに気づくのだが、投資のおそろしさを始めたばかりで体験したのだった。
競馬で考えればー私はしないがー26日間で万馬券を14回当てたことになるのだが、株式投資と違うのは1万円の配当金を得るのに払うお金は100円でよかった。私が株式投資の利益を低いと感じたのはそれと関連しているんだろう。

14日私は720円でnote株を1単元買い戻した。15日、728円(平均約定価格)で3単元、717.6円で1単元、700円で1単元買った。

16日信用規制となる委託保証金率の引き上げを受けー増担保(ましたんぽ)規制。信用取引(自己資産で行うのは現物取引)の利用が過度となった場合、新規の信用取引の利用を抑制するために委託保証金率の引き上げなどを行うことで相場の過熱感を冷ますー、利益確定の売りが出てnoteの株価は大幅に反落した。

委託保証金とは投資家が信用取引を行うときに、証券会社に預託する保証金(担保)のこと。 信用取引は、資金や株を借りて取引を行うため、投資家は借りた資金や株式を返す保証として、約定日ー株式の注文が執行され売買が成立した日ーの翌々日の正午までに証券会社に差し入れる必要があり、保証金の必要金額は、証券会社が定める。
✶ 株式投資を知らない一般人におかしく映るのは、「資金や株を借りて」トレードするのに信用取引という点である。
英語ではmargin  tradingと言い、marginは株式用語の意味では委託証拠(保証)金である。
公害病の名称で、土地名を冠にして〇〇病と表している。そのように固有名詞を出すのであれば公害を起こした企業の名をあてねばならない。元素名をあてるなら、見るものは毒性がわかり危険性を想うようになる。
私感であるが、資金や株を借りて行う取引に信用という言葉はそぐわない。そこには別な言葉を当てはめたいがそれは書かない。

話を戻す。
私は株式を手放したことを後悔したが、私自身ユーザーとして魅力を感じる企業であり、持っていたい株式で、もう放したくはなかった。

2月27日、noteの株価は599円で反発し、3月1日の高値は667円で、2日、取引の信用規制が解除されると725円の高値をつけ、7日には、927円で上場日以来の高値を更新した。
8日、東京証券取引所がnote株に信用取引の規制措置強化ー増担保規制ーを9日より行う発表をし、当日は利益確定の売りが出て、12時37分、前日比で4%超株価は反落し、10日金曜日は772円で取引を終えた。

私はこの短い一連の投資に関わり、少なくとも私のする投資とは、私が企業の理念、代表の資質ー動画配信で確かめる顔つきと目、声音と言葉、聞き手の質問に対する身体の反応ー、運営の信ぴょう性で購入した銘柄は長期で保有する。株式を購入する前には、ウィキペディアでおおまかな(御存知の通り、不確実性もそこにはある)社史を調べ、企業のホームページで代表のメッセージを読むのだが、言葉はどこか形式的で、響いてこない。思想がみえない。ツーリングの宿泊先で私が観るTikTokの人びとはどこか一途で、あるいは素直で、それでいてアピールの方法を考えている。だから視聴者の気持ちを和ませたり楽しませたりできる。
上場の志が、市井の人びとのくらしを良くしたい、役立ちたいというものに変わりなく、それとまた、代表者に、仲間への敬愛があれば、企業は成長するはずである。クローズする可能性は低いのではないか。

スマートな投資とは、配当金だけの目的ではなく、以上に述べた企業の発展をたすけるためであると私は思う。証券会社や機関投資家が、どんなにふざけた行いやらんぼうをしても、新規上場企業はぶれない信条を持ち続け、目標への向かい方をボヤけなければ、企業の将来性を感じ取り株式を購入した投資家は、真価があらわれるまで待つ。 

仕事の休みが平日の朝、証券の取引が始まるまえに、紙にペンで縁と書き、テーブルに置く。欲に捕えられないために。そうすると怪我をする可能性も減るように思う。金曜の取引終了後、大幅の増収増益で業績予想の修正報告をした企業がある。この企業の表記をNとする。本記事の投稿後のNの株価の流れを追って記した。
Nの株価は上昇しそうだが、そうはならない。発表が取引中であれば上昇していた。私は週明けの取引前買いをつけず様子を見て、取引開始、前週末終値から19円下がった値で1単元買い、2日後の水曜日の取引終了半刻前には、金曜終値から39円下がり、底を打ち、2円上がったところで5単元、7円の上り値で1単元買う。 
Nの株価が右肩に上がったのは、業績予想の修正報告から証券取引の休業日をのぞいて3日後の取引終了前の半時間であり、まだ前週末終値より下である。
翌日、取引の開始からNの株価は上昇し、また5円落ち、翌日も上昇して5円落ち、金曜日は2日前の底値から19円上っていた。姿のない群れの横槍がなければ、上昇していくだけだ。
その日欲しくなる銘柄があったとして、自分の決めた値の1円上に株価が下がっても、取引終了まで動かないという気持ちでいる。株価が指値につかなければ、銘柄と縁がなかったわけで、「買わない」という取引で終えていい。経験するのであれば、正の記憶を残さなければならない。

末尾にお断りするが、株式投資は私の資産の一部を使いゲーム感覚でやっている。私は博打はしない。待つことを投資の方法にする。
いちばんに、自分の身体のケアと心の落ち着きを優先にしないひとが、投資を行うのは危険であり、大袈裟な言い方ではなく、暮らしの破綻を招きかねない。自戒の意味を込めてここに記す。  

投資の方法には別に、基幹としてブロックチェーンがありーデータが改竄されず、ユーザー同士でシステムを管理できる点に期待する。利用者側から問題を生み出してはいるが、基幹としての仕組みは素晴らしいー、この国の暗号資産への税制が変わるのであれば、そこで取引をしたい。

記事投稿後、企業Nの株価はまた下落した。底を打ったと思った値から1円落とし、反発した。株価は上昇していくだけだと私は書いた。底を打ったと見たのは私の目だけである。
このさらなる株価の下降前の3月10日、12日にアメリカの銀行が続けて破綻した。
Nは金融関連の会社ではない。株価の動きの理由をアメリカの銀行の破綻に結びつけるのであればわかりやすいのであるが、それだけではなさそうなので、やはり人間の欲望ーその中に私もいるーがそこには映り、株価の底打ち値とは、その日だけに終わらないのが今回わかった。よってNの株価は底をまた破るのを想定している。






 


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