Nシリーズ『すべての見えない光』に感動
2023年11月11日記録
Netflix海外ドラマ、2023リミテッドシリーズ『すべての見えない光』の配信が始まり、1シーズン4エピソードを観て驚く。これは凄い。
配信が始まったばかりなのでストーリは追わないが、とにかく精緻に作られている。脚本、映像、音声、展開、演技、俳優、エピソードの区切りなど、1ミリの隙がない。
もし、あなたがNetflixを観られる環境にあるのであれば、是非、観ていただきたい。
1 原作と脚本
まだ1シーズンだけの配信なので今後の展開が判らないが、1シーズン4エピソードの約4時間を観ただけでもこの脚本が秀逸であることが体感できる。
会話では、無駄な単語を排除され、研ぎ澄まされ、そして美しい。こんなドラマを観られることの幸せを感じる。
一瞬たりとも見逃したくない、至極の時を過ごした。
でも、それも当たり前かもしれない。原作は、アンソニー・ドーアの奇跡の小説でピューリッツァー賞を受賞している。
翻訳されものが新潮社から出版がされている。ドラマを観終わったら(4シーズンで完結)読んでみよう。
2 映像と音声
1944年、ナチスドイツが進軍してきたフランスの港町サン・マロが舞台。米軍の空爆があるので、灯火管制がされた街の薄暗さが物語の厳しさをひしひしと感じる。
主人公は盲目の女性。映像からは無駄な音声が排除され、必要な音しか聴こえない。それは、音の強弱だけではなく、恐怖や安心、僅かな希望などが音で表現される瞬間だ。
映像と音声が相まって、登場人物の感情が伝わる。静と動に触れる表現力が素晴らしい。
3 キャスト
このドラマの製作の背景とかはあまり事前調査せず観ているが、特に、主役の盲目の女性が素晴らしい。視覚障害があり演技経験もない女性だが、世界規模のオーディションで選ばれたとのこと。
視覚障害があるということは、相手の俳優の表情や撮影の状況が見えていないわけで、更に撮影された映像も見ることが出来ない中で、あの複雑なストーリとそこに複雑な感情が織り交ぜて演じている。マジ、凄い。落ち着いた会話と気品のある立ち姿、繊細な動き、ステキ過ぎる。
この女性の子供時代を演じている子役も凄い。やはり視覚障害がある子であるが、愛らしい表情や動き、それでもってストーリからも違和感ない演技をされている。
更に、凄まじい狂気を感じさせるドイツ軍将校、優しさにあふれる父、叔父と叔母役など、登場人物すべてが魅了的だ。このドラマをチームで製作している感がいっぱいだ。
4 雑記
残り3シーズンが控えているが観れるのがいつになるのかわからないので、1シーズンを観た覚えを記録しておく。
シーズン1の舞台は、フランスでフランス人とドイツ人が登場するが、会話は英語のみ。
フランス郊外の小さな町、サン・マロの街並みと海岸が美しい。牡蠣にびっしりと覆われた海岸の水路が印象的。Google Earthで見てみたら同じ雰囲気(当たり前)。行ってみたい。
ワルサーPPK、ルガーP08、シュマイザーなど、定番の武器が出てくるので嬉しい。
戦争の形態が80年経っても、今のパレスチナガザ地区やウクライナ戦争と同じ。街を閉鎖し、空爆し、廃墟とし、その下で人々が死んでいく。「理性を語れば戦争は終わらせることができる」という言葉を信じたい。
若い頃、アマチュア無線でフォックスハンティングをやったことがある。あれも戦争でやれば強固な兵器になる。ドローンも同じ性格だよね。ドローンが出た時には夢のデバイスだと思ったのに、今は、主力の兵器となっている。技術の進展と軍事利用、平和ってなんだ?
やっぱり、Netflix最強。シーズン2が楽しみ。