【Netflix】STRANGER = "日常の中の非日常を現実的に描いて"
流行りのものには手を出さない。天邪鬼な女。
こんばんは。あきるです。
そう、天邪鬼なので、「今更?」っていうタイミングで見始めました。
もちろん、これを書いているからには見終わっています。
あっという間。1週間強あれば見終わっちゃう。
そんくらい面白かったんです、ストレンジャーシングス。
ネタバレ含む内容なので、まだ見ていないよ、とか、これから見ようと思うよ!っていう人は、スキだけ押してページを閉じてくれるといいかもしれないよ!(やかましい
ちなみに、ネタバレそんなに気にしないよっていう人は是非。
それか、あなたの感想を聞かせて!
*
Netflixでストレンジャーシングス(以下ST)が封切されてから、早4年。
その間、わたしのマイリストでずっと眠っていたわけなのですが、なるほど、一大ブームになるわけだわ。ストーリーが素敵。
NetflixでのSTのジャンルは「SF」「サスペンス」「ホラー」に分類されています。が、プレビューを見る限り、ホラー好きな人間からしたら、「いや、なぜ、ホラー分類にされている?」という印象でした。
文字通り未知の(グロテスクな)モンスターがアメリカのとある田舎町で猛威を振るっていて、それとセットで現れた超能力少女が、オタッキーな田舎っ子たちと共闘して、モンスターをやっつけるお話。
あらすじを平たく言うとこうなります。
なんてチープな響き。いや、それを意図して書いたのですが。
いや、けど、違うんです。
わたしが思うに、STのジャンルは「SF」「サスペンス」「ヒューマンドラマ」だと思うんですよね。
「ホラー」ではないと思う。
STの時代設定は1980年代。
作りこみが素晴らしかったので、みんな服装がダサいことこの上ない!
いや、マイクのお姉さんのナンシーはおしゃれだったけど、その当時のおしゃれさん。おしゃれな女性陣はみんな髪の毛巻き巻きのがっちりセットしてて、「あー!昔のアメリカ映画じゃん!」と感動しました。
そんな時代の田舎町が舞台なので、人間模様もシンプルだけど、丁寧に描かれていました。
一番フォーカスされているのは、4人のオタクっ子。
リーダー的なマイク。
人懐っこい常識人ダスティン。
繊細でちょっと排他的なルーカス。
そしておおらかなウィル。
彼らを軸に、人間模様が枝となり描き出されています。
そしてこの4人に絡まるように、ウィルの母ジョイス、彼の兄ジョナサン、マイクの姉ステイシー、ステイシーに恋するスティーヴ、そして警察署長のジムのストーリーが並行していきます。
まず何よりも素敵だったのが、"Friends don't lie!"を軸にした、友情。
シーズンを追うごとに、みんな成長していくので、友情の形も変わっていきます。
シーズン1では、モンスターと共に現れた超能力少女イレヴンことエルに夢中なマイクに対して、もどかしさと寂しさを感じていたダスティンとルーカス。マイクとは付き合いが長いルーカスがやきもきして、エルに対して強く当たってしまい、それが原因で、鈍感なマイクとは、衝突を繰り返します。そしてしまいには、別行動に。
それでも、お互いに危機が迫った時に駆け付けたり、みんなを守ってくれるエルに対して少しずつ、ルーカスが心を開いていく場面は感動しました。
もうね、隣の家のおばさんみたいに、見守ってる気分でしたね。
シーズン2と3ではオタク集団に恋模様が持ち込まれてくるので、みんな成長してるね!と思う反面、それぞれの性格の違いで不和が少しずつ生まれていく過程を見ているのは、なんだかつらかったです。
特にシーズン3でウィルだけ彼女を作らず、男の友情を信じていた場面には、心が苦しくなりました。
1,2年前まではあんなに仲良かったのに、どうして今こうなっちゃったんだろうとか、気が付いたらお互い全然違う方向を向いちゃってたって、「子供」からもう少し成長したとき、ふと感じることがありました。まさにあの感じ。
あの頃はあんなに一緒に遊んでたのに、ちょっとの変化でどうしてこうなっちゃったんだっけ?みたいな。
子供たちの成長もさることながら、親の愛情も同時に描いているのもまた素敵でした。
特にウィノナ・ライダーのあのヒステリックな母親の演技はもう筆舌に尽くしがたいです。凄い。ただただ凄い。そして元は凄い奇麗な人なのに、役であんなにやぼったくてノイローゼな感じを出しているのが更に凄い。ていうか、恐ろしい。
ジョイスの息子への愛(というか執着)がだいぶ、目立ちますが、個人的には、警察署長ジム・ホッパーの、徐々に日の目を見始める父性愛には泣きました。ていうか、じーんと来るところでは基本、泣いてるんですけどね。
ジムは娘を病気で亡くしており、以来「仕事をする廃人」と化しています。
それでも、エルに出会い、エルを守り、エルと生活を共にする中で、閉ざしていた感情を徐々に取り戻していく過程は感動します。
特にシーズン3の最後。不器用全開で、ジョイスをデートに誘ったり、エルとマイクの恋模様に不服を垂れながらも、自分の気持ちを紙に認めたりしてみたりしたところが、もう、泣。良いキャラクターです。そしてデヴィッド・ハーバーがまた良い味を出してくれていること。
ちなみに、報われない恋をしたスティーヴの人となりも、凄く好きです。
シーズン1と2の中盤まではとにかく、かっこつけのやなやつな印象でした。
いるよね、こういうやつ。クラスに一人や二人。
けれど、性根は凄くいいやつで兄貴気質なスティーヴ。
ちゃんと自身の感情と向き合い、そして相手へも思いやりを持ち始めていくスティーヴの緩やかな変化が素敵でした。
やるときゃやるスティーヴのかっこよさは、半端ないんだぜ。
SFチックなストーリーの根底に流れる、ヒューマンドラマはとてもコントラストが効いていたにも関わらず、全体的に至極マッチしていました。
Strangeな物が日常を闊歩する非日常を描いているにも関わらず、なんだかとても、現実味と人間性がある物語。だからこその"Stranger"なのかな。
さて、ストーリーはとてつもなく良かったのですが、さらに良かったのが、時代を踏まえた演出と音楽!
1980年代のポップカルチャーをオマージュしているって書かれるだけはあって、もうね、曲使いのセンスがぴかいちでした。
そしてシーズン3での映画館で上映されていた映画たちよ。
陰謀論とか、冷戦時代のソ連の秘密研究所とか、一歩間違えれば、とてつもなくチープな話しになりそうな題材ですが、深みのあるストーリーと、秀逸な演出と音楽が、類稀なるヒューマンドラマを作ってくれました。
個人的には、緊張感があるシーンとそうでないシーンの織り交ぜ方が秀逸な、シーズン3が一番好きです。
久々に長く綴っちゃったけど、多分これ、見返したらまた新しい発見があるんだろうな。
とりあえず、シーズン1と3で2回も使用されていたピーター・ゲイブリエルの曲が良すぎたので備忘録までに。
"But please, if you don't mind, for the sake of your poor old dad, keep the door open three inches!"
おしまい