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SAPコンサルタントに必要な知識やスキルとは?今後の将来性についても解説します

こんにちは。今回の記事では、SAPコンサルタントに必要な知識やスキルについてご紹介します。また、SAPコンサルタントの将来性についても言及しました。

SAPコンサルタントとは

・SAPとは
SAPとは、ドイツを拠点とした世界最大級のソフトウェアメーカー「Systemanalyse und Programmentwicklung」の略称であり、そのSAP社が提供するERPパッケージの商品名です。ERPパッケージはオラクルやマイクロソフトなど有名なソフトウェアメーカーでも開発されていますが、その中でもSAPは世界中で圧倒的な人気を誇っています。導入企業数は、世界で25000社以上(57%)、日本では1300社以上(49%)にのぼります。

・SAPコンサルタントとは
SAPコンサルタントとは、ERPパッケージを活用して経営課題を解決するITコンサルタントのことを呼びます。
主な仕事は大きく2つあります。
1つ目は、SAPシステムの導入コンサルティングです。プロジェクトによって多少違いがありますが、導入前の業務分析・改善提案から導入支援コンサルティング、導入後の業務改善を一貫して行うことが多いです。
2つ目が、システムのカスタマイズです。SAPは、一般的な業務処理や管理に必要な機能が充実していますが、クライアントの業務内容に応じて必要なカスタマイズを行います。そのまま導入するのでなく、どの機能が足りないかを把握したうえで開発が必要かを判断することもSAPコンサルタントの役割となっています。
また一口にSAPコンサルタントと言っても、SAPコンサルタントを職業とする方法は大きく3つあります。

①ITコンサルティング会社に就職
有名な大手ITコンサルティング会社としてはIBMやアクセンチュアなどが挙げられます。ただし、入社の難易度はかなり高いです。
②SAPを導入する企業のIT部門に就職
主な仕事は、社内のSAP導入プロジェクト管理、導入後の保守・サポートデスク業務
社内ユーザーへの指導などです。
③フリーランスとして活動

SAPコンサルタントになるには

SAPコンサルタントを名乗る以上、SAP関連の知識や技術が必要であることは言うまでもありません。それに加えて以下の知識やスキルが必要となります。

・SAPコンサルタントに必要な知識
①業務知識
SAPコンサルタントはクライアントにとって最も効率的な業務フローを提案することが求められます。そのため、クライアントの業務に対する知識が必須です。クライアント業務全体を理解していると「パッケージの機能を使ってどのような業務をどうシステム化するべきか」を素早く見極めることができます。
②業界知識
また、業務知識の他にクライアント業界の一般的な業務フローや業務改善における優良事例を把握しておくことも重要となります。というのも、それら業界知識を有していると、優良事例と本プロジェクトの共通項を見出し参考にすることができたりとクライアントの業務フロ―改善に役立つためです。
③経理・財務・会計等の知識
SAPで使用されるデータは、最終的に会計データに結びつきます。そのため受発注をはじめ流通やプロジェクト管理などの機能構築において、単に記録するだけでなく会計的な整合性を図る必要があります。
④経営全般の知識
SAPコンサルタントは、クライアントの経営状況の把握をしたうえで業務フロー改善などを通じて課題改善を目指します。そのため、企業のお金に関する知識だけでなく経営全般の知識を有していることも求められます。具体的には、人事・サプライチェーンなどの経験や知識が求められる局面が多々あります。

・SAPコンサルタントに必要なスキル
①問題解決能力
現在、ビジネスを取り巻く環境が目まぐるしく変化し複雑化するにつれ、企業が抱える問題の要因も複雑化し解決の糸口は見えずらくなっています。そのような状況下において、企業はコンサルタントに問題の明確化と解決策の提示を求めています。要するに、SAPコンサルタントは、問題解決のシナリオを基盤から構築可能な高度な問題解決能力が求められていると言えます。

問題解決に必要な要素としては以下が挙げられます。
(1)問題発見:問題を発見する
(2)論理的思考:物事を因果関係に基づいて考える
(3)要因分析:問題の真の要因を洗い出す

問題解決力を身に着けるには、日々思考・分析を重ねることが重要です。日常の中で内容問わずある物事について本質的に見抜く訓練をし問題解決能力を向上させることで、コンサルティングワークにおいてもそのスキルを活かすことができるでしょう。
②コミュニケーションスキル
数多くあるコンサルタント職ですが、いずれの職種においても高度なコミュニケーションスキルを有している必要があります。SAPコンサルタントの場合、クライアントや社内チームメンバーとのコミュニケーションは勿論のこと、開発担当のベンダーやあらゆる立場のインタビュイーを相手に円滑にコミュニケーションを取らねばならない局面が多々あります。その際、論理的に道筋立っていることだけを重視するのでなく、相手の立場や状況を踏まえて「どう伝えるべきか」「どう聞き出すべきか」といった相手の感情面にも考慮したコミュニケーションを取ることが重要です。
③マネジメントスキル
SAPコンサルタントは、クライアントへの説明資料やシステム要件の定義書作成などをこなせばならないため作業量がとても膨大な職種です。特に、マネージャー職以上の場合はプロジェクト全体の進捗管理なども求められます。これら膨大な業務を問題なくこなせるようセルフマネジメントが、そしてチーム全体の進捗が遅れぬようチームをマネジメントするスキルが必要となります。タスクの優先付けをし自身でなければこなせない仕事以外は周囲のメンバーに依頼する、メンバーのタスク進捗状況が良くない場合には力を貸すといったことが重要となります。それらを蔑ろにしてしまうと日々積み重なる膨大な仕事量にのまれてしまいます。
③英語力(あれば尚可)
SAPは国内外問わず需要があり、英語の話せるSAPコンサルタントは多くのプロジェクトで必要とされています。

日々の多忙な業務の中、英語の勉強に時間を割くことははなかなか難しいですが、SAPコンサルタントとしてキャリアを積むのであれば英語の習得には目を向けておくほうが良いでしょう。

・SAPコンサルタントに必要な資格
結論から言うとSAPコンサルタントになるために持っていなければならない資格はありません。実際の業務を通じて知識さえ身に着けていれば誰でもSAPコンサルタントになることができます。
とはいえ、SAP社が設けている「SAP認定コンサルタント資格」は、SAPコンサルタント志望者が初めのステップとして取得する事が多いです。なぜなら「SAP認定コンサルタント資格」の取得は、自身がSAPコンサルタントとして知識を有することを証明するという目的において有効であり、転職・起業・独立をする際に役立つことが見込めるためです。実際に、コンサルタントの求人募集の中には「SAP認定コンサルタント資格保有者のみ応募可能」という案件があるので取得しておいた方が良いでしょう。
取得するためには、SAPやSAPのパートナー企業が提供してるトレーニング研修を受講し、試験合格しなければなりません。ただしトレーニングを受けるにはおよそ100万円ほど費用がかかります。(実際にトレーニングを受ける場合は、企業が支援するケースが殆どです)
2019年9月時点のSAP公式サイトの「パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得数」によれば、資格取得者数は約13,300人となっています。

SAPコンサルタントの将来性

ERPパッケージの中でもSAPは業界NO.1のシェアをキープし続けています。
2020年第1四半期(2020年1月~3月)のSAPのグローバル業績は、クラウドの売上高が国際財務報告基準で前年同期比29%増と大幅に伸びており、総売り上げ高も7%増となっています。これは今年の3月時点の結果ですので、社会に大きな影響を与えた型コロナウイルス流行以前の業績となります。また、多くの方は、ご存知かと思いますが2027年問題(現在多くの企業に導入済みのSAP ERPのサポート終了)も今後待ち構えています。今後のSAP及び、SAPコンサルタントの将来性はどう捉えることができるのでしょうか。

結論から申し上げると、以下3つの視点で分析した結果、今後もSAPコンサルタントの将来性は期待できる(需要は継続)と見ています。

(1)COVID-19流行による影響
SAPジャパンでは、急事態宣言(4月7日発令)後、業績がマイナスになると予想可能な問題が起きていました。従来通りクライアント先に常駐してプロジェクトを進めることが難しくなり殆どの社員がテレワークとなったことで一部遅れが見られたり、クライアントがCOVID-19流行の影響を注視したいとの意向の元予定していた投資を見送りにしたりといったことです。しかしながら、結果的に営業利益と営業利益率が大幅に増加しました。この結果についてSAPCEOのクリスチャン・クラインは次の様に述べています。「この非常に困難な状況を無事に切り抜け、予想を上回る四半期業績を上げたSAPの各チームに心からの賞賛を送ります。お客様が、回復力、収益性、サステナビリティを促進するためにSAPのインテリジェントエンタープライズに注目していることは明らかです。」

そして、SAP CEOのクリスチャン・クラインの発言通り、COVID-19流行により企業の価値観も大きく変わりDX実現に前向きな姿勢を示しています。社会生活のあり方が変われば、消費者やクライアントとの関係性構築の手法やあり方を変える必要があり、全業界において、企業永続のためには、DXの推進が急務となっているのです。

COVID-19の流行がDXコンサルティングの需要に与えた影響については以下記事で詳しく説明しておりますのでぜひご覧になってください。
DXトレンドが後押しする総合系コンサルティングファームの成長に対し、COVID-19が及ぼす影響とは?

以上のことから、COVID-19流行がSAPの需要に大きなマイナス影響を与えると考える必要はないでしょう。
参照:)SAP、COVID-19危機下で力強い第2四半期の業績を事前発表
    SAPジャパンの鈴木社長に聞く、アフターコロナの世界とDXの行方

(2)SAPジャパンが中小企業向けパートナービジネスに注力
2017年からSAPジャパンは、中小企業向け市場に新たなビジネス戦略を打ち出しており、特に、中小企業向けのパートナービジネスに力を入れています。その背景には、クラウド化によりパッケージ導入の初期投資額が従来よりも低く抑えられるようになったことが挙げられます。それにより、中小企業向けのサービスを展開できるようになりました。つまり、SAPコンサルタントにとっては、クライアントが大企業のプロジェクトに加えて中小企業向けプロジェクトが増える算段となります。

(3)2027年問題
現在非常に多くの企業が導入しているSAP ERPのサポートが2027年に終了します。そのため現在SAP ERPを導入している企業は、期日までに「SAP S/4HANA」に移行するか、他社ERPへ乗り換える必要があります。これにより、他社ERPへ乗り換える企業が増加し将来的に国内シェアが下がるのではという懸念をされるSAPコンサルタントの方が多くいらっしゃると思いますが、SAP本社が2018年9月にSAP S/4HANAユーザーが41%増加し600社近くの新規契約を結んだことを公式に発表していることから、大きなシェア変動があるとは考えにくい状況です。
※欧州SAPは2020年2月4日に「SAP ERP(ECC6.0)」のサポート期限を「2025年末から2027年末に変更する」と発表しました。
また、2027年までにサポートを延長したことでDXの動きが鈍化する可能性も考えられますが、世界中のユーザーから「2025年までに移行が間に合わない」という声を受けて2年サポートを延長しただけのことで、延長によりDXの動きが鈍化することがないとSAPは想定しています。そのため、DX需要と「SAP S/4HANA」の需要が相まってSAPコンサルタントが必要とされる案件は増加していくでしょう。
SAPのコンサル案件需要が増えている一方、SAPに関する知識を持つ人材の育成が中々進まないという課題が生じています。実際にSAPジャパンは「今後、数年間のうちに数千人規模でSAPコンサルタントの人材不足が顕在化する」と発表しており、SAP導入を手掛けるITベンダー側からも人手不足により案件を断っているという声が出ています。そのため、SAPコンサルタントへの需要は今後も高く、SAPコンサルタントをこれから目指す方にとってはキャリアチェンジしやすいと言えるでしょう。
参照:)コンサル大増員で「2025年問題」に挑む、SAPジャパンが新戦略
   SAPに聞く、成功するDXの共通点--コロナ禍時代にどう進めるか

・フリーランスという働き方
様々存在するコンサルタント職の中でも、SAPに関連する仕事ではフリーランスコンサルタントが数多く活躍していることも特徴です。弊社では、フリーランスのSAPコンサルタントの方向けに案件紹介サービスを提供していますので、ご興味のある方はぜひご登録ください。
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