フリーコンサルタントの実態と必要なスキルとは
こんにちは
近年、「フリーランス」という働き方に注目が集まる中、コンサルタントとして働いた経験をお持ちの方であれば、「フリーコンサルタント」という選択肢を考えたことがあるのではないでしょうか。そこで今回は、フリーコンサルタントの実態と求められるスキルについてご紹介します。
フリーコンサルタントとは
「フリーコンサルタント」と一口に言っても、様々な分類が存在します。コンサルティング企業に正社員として属さず、個人事業主、小規模(約1人~10人)の企業、フリーランス、インディペンデントコンストラクター(IC)等の形態で、コンサルティングサービスを提供するコンサルタントのことです。
※インディペンデントコンストラクター:専門知識を有しており、プロジェクト単位での契約を複数の企業と結んで働く「個人事業主」のことを指します。「Independent Contractor(IC)」と読んだり、その他にも、直訳して「独立業務請負人」や「プロワーカ」等と言われ、呼称は様々です。「雇わない、雇われない」フリーランスとしての比較的新しいスタイルです。
フリーコンサルタントの働き方
フリーコンサルタントにおける契約形態は、「業務委託」「顧問契約」「SO付与」の大きく3つ存在します。
①「業務委託」:最も一般的な契約形態となっており、対象案件に対して、決められた成果物を納品する契約を指します。
②「顧問契約」:クライアントに対し、一定期間の顧問料を定めて、継続的に経営における意思決定を支援する雇用契約を指します。例えば、週1で出社し、アドバイスを行ったり、オンライン上でのQ&Aなどを行うことを契約します。
③「SO(ストックオプション)付与」:この雇用形態は、クライアントがベンチャーなどで、キャッシュに余裕がない場合などに結ばれる場合が多いです。ただし、「知見・経験共にハイレベル」で、かつ、「クライアントとの深い関係性が構築済み」の場合にのみ成り立たつ契約形態であり、非常に稀なケースです。
以上の契約形態において、「常駐」か「非常駐」、「フル稼働」か「部分稼働」を組み合わせて働き方を案件ごとにカスタマイズします。
フリーコンサルタントの案件とコンサルフィーの相場
コンサルティングと一口に言っても、業務領域は非常に広いです。同様に、フリーコンサルタントの案件領域についても、「戦略系」「業務系」「IT系」「PM/PMO」などの様々な種類があります。
コンサルフィーの相場については「案件領域」、「フリーコンサルタントのレベルや契約形態」などによって大きく異なりますが、月額70万~120万程度の案件が多いです。クライアントと直接契約できる人脈やスキルを有していれば、150万~200万又はそれ以上の報酬を獲得することも少なくありません。
必ずしも一定の相場があるわけではありませんが、以下事例(マッチングサービスより抜粋)を参考にしてみてください。
※提示予算は、マージン分の差し引きなし。(一般的に、マージン料は、予算の20~30%)
【戦略系】
戦略系コンサルティング領域には、「M&A」「マーケティング」「ブランディング」「事業戦略」「組織戦略」などが含まれます。いずれも、経営全般ではなく経営戦略における課題の解決を目的とします。
■事例1:事業戦略
□案件概要
・外資系事業会社の事業計画作成支援
□求められる人材
・戦略系コンサルファームでの経験
・事業計画書の作成経験
・英語ビジネスレベル
□予算
・~130万/月
■事例2:M&A
□案件概要
・中堅ゼネコンメンバーの一員として、英文資料作成
・コンサルタントとのやり取り
□求められる人材
・コンサルファームでの海外M&A経験
・事業計画書作成の経験
・英語ビジネスレベル
□予算
・~130万/月
【業務系】
業務コンサルティングでは、企業活動において発生する全業務プロセスの効率を見直します。主なサービスとしては、ERP・SCM・BPR・BPM等があります。
■事例1:業務改革(BPR)
□案件概要
・業務効率化のためのBPR活動を行う。
・現状業務調査の実施課題分析、改善策検討ののちBPR活動実践
□求められる人材
・業務効率化を目的とするBPRプロジェクト経験
・高い対人能力、分析能力
□予算
・ 120万~/月
【IT系】
IT系コンサルティングでは、ITを活用してクライアントの経営課題を解決します。主なサービス内容は、ERP・SCM・CRM等の企業の経営戦略に基づくIT戦略策定です。
■事例1:グランドデザイン
□案件概要
・製造業におけるシステム構築の要件定義
□求められる人材
・システムの要件定義、基本設計、開発の経験
・テスト計画書・移行計画書の作成経験
□予算
・~100万/月
■事例2:ERP導入
□案件概要
・経理システムの構築
・ERP導入プロジェクトのアセスメント
□求められる人材
・大規模プロジェクトのPM経験
・会計プロジェクトの経験
□予算
・130万~/月
【PM/PMO系】
PM/PMO系コンサルティングでは、その名の通り、フリーコンサルタントが「PM」又は「PMO」としてプロジェクトのマネジメントを行います。
■事例1:プロジェクト推進
□案件概要
・大手保険会社プロジェクトPMOを支援
□求められる人材
・コンサルファームでのPMO経験
・要件定義、大規模なシステムの構築経験
・保険関係の知識(尚良し)
□報酬
・120万~150万/月
コンサルタントに求められるスキル
以下では、フリーコンサルタントに求められるスキルについて説明します。
・高度な専門知識・技術
専門知識が必要な領域のプロジェクトでは、その領域における高い専門性を有していなければ、案件獲得ができません。戦略コンサルタントであれば経営全般の他にM&Aの知識、ITコンサルタントであれば情報システム領域の知識やスキル、財務コンサルタントであれば会計関連の知識が求めらます。
とはいえ、ある領域におけるプロフェッショナルレベルのコンサルタントであっても、常に自身の現状の知識及び得意領域のみで戦えるわけではありません。あまり知見のない領域に関わる案件も多くあるでしょう。そうした際には、自身で関連論文や業界紙に片っ端から目を通し、プロジェクト開始以前の限られた時間の中で知識を蓄える必要があります。そういった意味では、必要な知識を素早く収集する姿勢及び情報を適切に吸収する能力が重要と言えるでしょう。
・高度な分析能力
コンサルタントの仕事内容は、エンドクライアントの問題点を整理し、解決策とその費用対効果を明らかにすることです。そのため、コンサルタントは、「ファームに在籍している・していない」を問わず「分析能力」が重要です。
とはいえ、後者の方が、案件獲得を図る上で自身の「分析能力」が強く関係します。というのも、コンサルティング会社など企業の一員としてプロジェクトに参加するケースでは、インハウスでは得られない角度からの気づきや問題発見を期待しいるため、高度な分析力を持ち合わせている必要があるからです。
また、独立した場合には、ファームのネームバリューがバックにないため、ファーム在籍時以上に分析能力を持ったうえで個人のスキルを高める必要があると言えます。
・高いオンラインリテラシー
コンサルタントによって専門領域は各々あると思いますが、「高いオンラインリテラシー」は、全てのコンサルタントに必須なスキルと言えます。なぜなら、この時代にクライアントに発展をもたらすためには、ITの活用が不可避である場合が多いからです。
また、オンラインツールを使いこなせるスキルを有しておくことで、クライアント企業の幅広いニーズに対しても答える事が可能となります。
さらに、「クライアント企業や業界への深い知見を得る」という目的においては、常に情報を集める中で「自身の求める情報を探し出し、精査する能力」を身に着けておく必要があります。
・プレゼンテーション能力とドキュメンテーション能力
「プレゼンテーション能力」とは、最終的に聴き手である相手に対して、何らかの行動を起こしてもらうことを最終目的としたうえで、自らの考えを適確に伝える能力を指します。「ドキュメンテーション能力」とは、自身の考えをクライアントに適確に伝える事の出来る資料を作成する能力を指します。
これらの能力は、フリーランスとして案件獲得を図る際に、自己アピールの段階で重要となります。また、仕事をする上でも、分かりやすいプレゼンテーションを行うことで、優秀な人材として注目され、再び案件を獲得したり、報酬が上がる場合があります。
実力をアピールすることができる能力を有する事ができれば、案件獲得の障壁が低くなり、現場でも活躍しやすくなります。
フリーランスコンサルタントに必要な姿勢
求められるスキルに続いて、フリーコンサルタントとして活動を継続していくために必要な姿勢をご紹介します。
・セルフブランディングをする
自己アピールの段階で前述した2つの能力を発揮する際に「セルフブランディング」が重要となります。コンサルタントは人そのものが商材です。独立すれば、企業在籍時以上に自身の市場価値が報酬に反映されます。その点を考慮すると、自身という商品を強く売り出す事が重要であることは言うまでもありません。そのためには、自身の得意分野や強みを分析し、その強みをどのクライアントにどのような価値を提供できるかをアピールするスキル=「セルフブランディング」が必要となって聞きます。
セルフブランディングが上手にできていると、「○○の領域で困った際には、○○さん」という印象をクライアントに強く持たせる事が可能となり、案件の依頼回数が必然的に増えます。
・自身の市場価値を把握する
企業在籍時は、自分自身のみが市場にさらされる機会がないため、自らの市場価値を把握する機会が多くないかと思いますが、フリーランスの場合は、市場における需要と供給によって報酬が決定されます。
自身の市場価値と相場をあらかじめ把握しておくことで、自身にとって過度に低い単位の案件を避けることが可能となります。また、避けるだけでなく、自身を持って、報酬の上乗せなども要求できるようになるため、市場価値の把握は重要ポイントとなります。
・クライアント及び案件を適切に選定する
フリーランスとして働いていくには、どうしても馬が合わなかったり、過度な要求を提示するクライアントとは付き合わないということも大事なポイントです。独立後間もないうちは、「獲得した案件を全てやり切る姿勢」は勿論必要ですが、真摯に向き合えば向き合うほど、気持ちも体力も消耗してしまいます。
また、報酬が低すぎる仕事や無駄に工数を取られる仕事は、大きな負担になり、他の案件に悪影響を及ぼす可能性もあります。
あらかじめ、「自分はフリーランスとしてどのように働いていていたいか?」を軸に、自身が受ける案件と付き合うべきクライアントの最低基準を考えておく必要があります。
・自己管理
フリーランスは、自営業者なので、案件ごとに1人のコンサルタントとして実力を発揮することは勿論のこと、自営業者としての煩わしい業務、例えば確定申告などの税金対応も行わねばならないため、それら業務を視野に入れた自己管理が必須となります。
フリーコンサルタントのクライアントと案件獲得手法
フリーコンサルタントとして活動する際に、クライアントとなるのは、主に「コンサルティングファーム」と「事業会社」です。
「コンサルティングファーム」の場合、ファームの一員としてもしくは1人でデリバリーします。エンドクライアントとのコミュニケーションを担うか、対面せず作業のみ担うかは、ファームの意向次第で決まります。
一方で、「事業会社」の場合は、事業会社の検討メンバー、あるいは、プロジェクト担当者として案件をデリバリーします。前者の場合には、コンサルティングファームに依頼するほどの予算がない、後者の場合には、権限を持ち、一員として並走して欲しいといった事業会社側のニーズがあります。
その他に、エンドクライアントとの直請案件(仲介が入る)や、エンドクライアントとの直接契約等があります。
案件獲得方法は、大まかに以下5つに分かれます。
①営業(既存クライアント):既存クライアントへの営業は、双方が互いのスキルや仕事の進め方を把握しているため、スムーズにプロジェクトを進捗し易いと言えます。ただし、既存クライアントから案件を獲得するためには、常に近い関係性を保っておくことが重要です。種を捲くつもりで、定期的に営業や営業以外のコミュニケーションを取る機会を持つ事で、クライアント担当者に「思い出してもらえる」確率が高くなり、案件獲得につながります。また、案件の終了時に、次に繋がるような提案をしておくことも効果的です。
②営業(新規クライアント):新規案件の獲得はフリーランスとしての存続に関わるため、とても重要ですが、最も難易度の高い案件獲得方法と言えます。過度に気負いしない程度で営業をかけることが大切です。案件獲得に至らなかったとしても、相手に自身を印象付けることができれば、後々の案件に繋がる可能性があります。
③知人からの紹介:常日ごろから、仕事上の繋がりを持たない知人・友人に「自身の仕事」を発信し続けると、意外な形で仕事や案件が舞い込むこともあります。また、SNSなどで自身の仕事を発信し続けることで案件獲得につながることもあります。仕事場や仕事相手とのコミュニケーション以外においても案件獲得のチャンスは常に潜んでいるのです。
④マッチングサービス登録:マッチングサービスとは、案件を依頼したい企業と獲得したい個人をマッチングさせるWEB上サービスを指します。自身の営業や人脈に頼らずとも、サービスへの登録のみで案件獲得が可能です。後述のエージェントと比較して、マッチングサービスは案件の掲載とクライアントとのマッチングに限定されているという特徴があります。
⑤エージェントの活用:エージェントとは、フリーランスをサポートしつつ、クライアント企業をマッチングさせるサービスを実施している企業を指します。実際に、「フリーランサーとの面談実施」から「クライアント企業との面談や契約の同席」といった案件獲得のフローを一貫して並走します。
また、エージェントによっては、その他においても、確定申告に関わる事務作業の代行などの幅広いサポートを行っている場合があります。
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