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Episode 006 「休み時間が苦痛な理由」
年の終わりも近づく12月のある日、とある図工の授業にてクリスマスツリーに飾る球状の飾りを作ることになったことがあった。具体的には発泡スチロールを用いて(その飾りを)作る、という内容の授業であった。各自、直径6、7cmほどの白い発泡スチロールの玉を一つずつ配られた。併せて、緑と赤をベースにした、いかにもクリスマスを意識したと思われる柄の布と、銀色のリボンも配られた。
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そうこうしている内に昼休みのチャイムが鳴り、よく分からず、とりあえずみんなを追いかける形で教室を出た。尚、当時の私は兎にも角にも、英語が理解できないことから、常に状況を把握できていなかった。従って、常に「よく分からず・・・とりあえず」(Episode005参照)という形で行動していた記憶がある。
尚、授業中に関しては、別に友達がいなくても、言葉が喋れなくても特には気にならないのだが、休み時間が苦痛で仕方なかった。授業中は、極端な話、黙って座っていれば時間は(我々の意を無視する形で)過ぎていく。しかし、苦痛はやはり休み時間。それぞれの生徒たちが仲良く芝生の校庭を走り回っている中、私は一人だった。
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しかし、考えてみれば別に驚く様なことでもない。大して(いや、寧ろ、控えめに言っても、全く、に近い)周りと口をきいておらず、友達なんてできる訳がなかった。寧ろ、できる理由がそこに一つもないのだ。また、こちらが英語を喋れないからといって、あちらから気を遣って話しかけてくれる程まだみんな大人ではなかった。尚、バディーのルーク(Episode 004を参照 )が面倒を見てくれるようになったのは、おそらく学校に入って少し時間が経ってからだろうか。正直、詳細は憶えていないが、入学した初日ではなかったと記憶する。
兎にも角にも、休み時間が苦痛で仕方がなかった。そんな休み時間を終え、教室に戻り自分の席に戻ると私の発泡スチロールの玉が何者かによりズタズタにされていた。しかし、特に悲しくなった訳でもなく、また怒った記憶もない。寧ろ冷静に「なるほど、これがイジメというやつか・・・」と幼いながらにそう思った。しかし良く考えてみると、それもそうである。突然ある日、たった一人、黒髪で黒い目の男の子が、金髪または赤髪、または茶色の髪の毛の子供達に混じりクラスに入ってきて、特に何か喋る訳でもなく教室にいる(そう、ただそこに、存在する、だけである)のである、ちょっかいの一つや二つ出したくなるのは正常な子供の意識だろう。ただ、幸いなことに嫌がらせ、イジメ、と呼べるものはこれ以外なかった。少なくとも、自分が把握する限りでは。
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例外なく、学校に行く日は(漏れなく)苦痛の休み時間があり、休み時間が終わるまでは「なんとなく時間を過ごす」、という事が続いていたのだが、ある日、変化が訪れた・・・。