Episode 042 「”熊猫深山”をめぐる冒険」
さて、Episode 027より開始した「オーストラリアにいた時(1996〜2010年)によく聴いたアーティストおよびバンドの曲」(併せて、「よく聴いた訳では無いが印象が強く残っているアーティスト及び曲」も含む)、という括りで当時を振り返る試み、今回はアルファベットの「P」から始まるアーティストおよびバンド。
Pennywise(アメリカ)
どのタイミングで聴き始めたかは不明であるが、恐らく、2000年あたりだと思われる。街の図書館で、2000年に発売された「Live @ the Key Club」(ライブアルバム)を借りたのを憶えている。1988年にカルフォルニアで結成されたの事である。キャリア36年を超えた今(2024年時点)でも相変わらずパンクロック全開な活動を続けている。過去のアルバムを比較的最近聴く形になったのだが、「Reason To Believe」(2008年)というアルバムも非常にPennywise節が炸裂したかっこいい曲が多かった。このバンドの「Land Of the Free」(2001年)というアルバム及び「About Time」(1995年)は個人的に(このバンドの作品の中で)最も好きなアルバムの二枚である。2021年12月の暮れ、たかひろから貸してもらったRickenbacker(リッケンバッカー、というブランド)のギターで「Land Of the Free」(2001年)のアルバムに収録されている「Fuck Authority」を弾いてみた。
The Police(イギリス)
もちろんバンドの存在は知っていたが、自分の世代の音楽でない、という事から特にそんなに気にはしていなかったが、さすがにこの曲はどんなに時代が経ようとも、圧倒的なまでな名曲である。尚、グレイテストヒッツ(ベストアルバム)も持ってはいるが、正直、他の曲には(2024年の時点では)あまり共感できない。しかしながら、今後、「Police最高だ!」と思う日が来ないとも限らない。
Powderfinger(オーストラリア)
特に進んで聴いていたバンドではなかったのだが、当時(2000年頃)これらの曲をテレビの音楽番組などでよく聴いた記憶がある。尚、「My Happiness」に関しては思い出が一つある。友達である予志也くんの結婚式が、彼が生まれた(彼は小学低学年で家族でアデレードに引っ越し、それからずっとアデレードである)広島で2016年5月
27日に行われた。式の中で、様々な写真がプロジェクターを使って映し出されたシーンがあった。彼の過去を振り返る様々な写真が映し出されている後ろで流れていたのは(つまり彼が、それまで(結婚するまでの)人生を振り返るにあたり、それに相応しいと感じ選曲した曲)この曲、「My Happiness」だった。素晴らしい選曲だ。尚、このバンド名であるPowderfingerだが、Neil Youngの曲名から拝借しているのか、と思う今日この頃。
Potshot(日本)
明確ではないのだが、恐らく、友達であるカズに教えてもらったバンド、のはず、である。英語で歌う彼らの発音は「どうやったらそんな発音になるのだ」と首を傾げたくなる程(下手)なのだが、そんな事は或いはどうでもよいくらい曲そのものは軽快でかっこいいと当時は感じた。最近は全く聴かなくなってしまったが、当時は相当聴いていた。恐らく、2003年頃の事である。ただ、先日とあることがきっかけで聴いてみたが、かっこよかった。
PUFFY(日本)
奥田民生プロデュースのこの二人組。1996年にデビュー。ビートルズを愛してやまない奥田民生の嗜好が、特に「これが私の生きる道」という曲の至る部分に盛りだくさん組み込まれている。尚、「アジアの純真」というタイトルになる前の仮の曲名は「熊猫深山」だった、と井上陽水と奥田民生がHEY!HEY!HEY!のトークでダウンタウンと話しているのを、YouTubeで見た。この曲の歌詞は井上陽水が担当し、曲を奥田民生が作り上げた。尚、奥田民生曰く、「アジアの純真」が爆発的なヒットをした要因としては、「何も知らない小娘(つまりPuffyの二人)に歌わせたのが一番でかい」と語っている。つまり、「“誰が責任取るんだ?”って誰も(責任)取らないパワーがあった」と、当時の奥田民生と井上陽水の勢いが化学反応をもたらした作品だ、と明かした。また、「渚にまつわるエトセトラ」でも井上陽水が歌詞を担当。何はともあれ、井上陽水、奥田民生、ダウンタウンの、この3者が繰り広げるトークは超絶に面白い。尚、Puffyが歌う曲に「海へと」という曲があるのだが、この曲が相当素晴らしい曲で、とある番組でキムタクが奥田民生本人に対し「この曲、なんでPuffyに提供したんですか?奥田さんが歌った方が良かったんじゃないですか?もったいないです」という発言に対し、数秒の間を置いて奥田民生は、「…そう、多分ね、僕が歌った方が良かったんですよ。ただね…(Puffyに対する楽曲提供の)締め切りがあって…」と言っていた。つまり、締め切るがあるからというだけで、これまでの名曲(もちろん奥田民生が作詞作曲した曲)を人(自分でない誰か、つまりPuffy)に提供してしまうという、なんとも漢らしい人なのだ、と思った。
Paul McCartney(イギリス)
Dance TonightのPVはポップな作りとなっており、Ever Present Pastに関しては黒いスーツに黒い(細い、シンプルでオシャレな)ネクタイに、そこに敢えてカジュアルな(黒い)コンバースのスニーカー(オールスターのロウカット)という格好で、美女達と軽快な踊りをしているポールを見て、超絶オシャレだと思ったのを憶えている。尚、調べてわかったのだが、そのPVを見て「超絶にオシャレ」だと思ったポールは当時なんと65歳だった、との事。こんな65歳になりたい。尚、ポールマッカートニーはビートルズが解散した1970年以降は、ソロとして活動を始め、また「Wings」というバンドも結成した。個人的には2013年に発売された「NEW」というアルバムに収録されている曲、「Queenie Eye」という曲も好きである。
Paul Wellar(イギリス)
この、ビートルズの名曲をPaul McCartney及びNoel Gallagherというイギリスが生んだスーパースターの二人と演奏するPaul Wellerの格好良さは、何なのだろうか。いぶし銀、とでも言おうか。
Probot(アメリカ)
Foo FightersのリーダーであるDave Grohlによるハードロックにヘヴィメタルの要素を織り交ぜたプロジェクト。2004年にリリースされたこの曲は、MotorheadのLemmyをフィーチャーしたハードな曲。確か、友達の予志也君に教えてもらったと記憶する。
Propagandhi(カナダ)
このバンドとの出会いは、「Survival of the fattest」(1996年)という(Fat Wreck Chordsがリリースする)コンピレーションアルバムに収録されている「Nation States」という曲だった。2000年頃に聴き、非常にかっこいい曲だと思った。カナダ出身のこのバンド、Hi-Standardの横山健も好きなバンドとしてインタビューで触れていた。歌詞の内容も政治的な内容であり、真面目に世界と向き合っている熱意が伝わってくる。最近、改めて思うのだが、やはり「人生について」という漠然とした大きなトピックに対して考え始めると、どうしても世界情勢などの、政治的な話というのは避けて通れない(つまり、(政治について)好き嫌い、なんていう次元の話ではなく、関心を持つ“必要性”があるのだと改めて気付いた)ものなのだと感じている。尚、このバンドに対し久しぶり興味が湧いてきたことから最近(2021年)彼らの「How to clean everything」(1993年)と「Today’s Empires, Tomorrow’s Ashes」(2001年)の二枚のアルバムを購入した。これらに続き、「Less Talk, More Rock」(1996年)、「Potemkin City Limits」(2005年)、「Supporting Caste」(2009年)、「Victory Lap」(2017年)も購入した。Descenedentsのドラマーであり、パンクロック界のみならずラウドな音楽を奏でるバンドの多くがレジェンダリーと称賛する男、Bill Stevensonがとあるインタビューで、「Propagandhiは、世界一だよ。しかも、ギタリストのクリスはギターが超絶に上手い。僕なんて、彼の半分のスピードですら弾けないよ。しかもその上、ギターを弾くだけではなく、彼は同時に歌ってもいるわけで。ステージの彼を見ながら、“一体全体、どうやったらあんな事が出来るんだ?!”って思ったよ」と、舌を巻いていた。尚、NOFXのギター・ボーカルであり、またFat Wreck Chordsの代表でもあるFat Mikeは「Propagandhiの「How to clean everything」(1993年)は、Fat Wreck Chordsに所属する多くのバンドに大きな影響を与えたよ。あのアルバムがリリースされた以降、他のバンドも明らかに彼ら(Propagandhi)に影響された楽曲を創る事になった」と言わしめた。