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自動車業界って、具体視点が多いかも
私は、インフラ業界、IT業界、自動車業界といくつかの業界を渡り歩いてきました。その経験から感じるのがタイトル。「自動車業界の人たちは、具体視点でものを考えていることが多い」です。今回は、そのあたりのお話。
Recap:具体と抽象
関連記事をいくつか書いております。
Google検索から引用すると、
抽象とは、「多くの物や事柄や具体的な概念から、それらの範囲の全部に共通な属性を抜き出し、これを一般的な概念としてとらえること」
具体とは、「形・姿を備えること。具象」
です。
具体的に考えるとは
具体とは「形・姿を備えること」なので、具体的に考えるとは「形・姿を備えたものをベースに考える」ことになります。現実の延長線上で考えるイメージですね。
自動車業界では、現在自動運転の開発が盛んにおこなわれています。かつて車は完全に人が運転していました。そこから運転支援機能が追加されて非常ブレーキやクルーズコントロールのような機能が実装されています。
これをさらに発展させる形で、車がドライバーの代わりに車自身を動かすように機能を拡張していっています。
そう、「ドライバー」という姿あるものの代わりを自動車に実装しているんですよね。ここが「自動車業界は、具体視点」と感じるところです。
抽象的に考えると
なぜ、そう感じるかというと、インフラ業界との比較です。インフラ業界では、「社会として必要なものを、まだ世の中にない状態から作り出す」ことがあります。(もちろん、従来のモノの改良もある)
「世の中にない状態から」なわけですので、抽象的な概念設計から始まります。姿かたちがありませんので、想像です。空想です。下手すると妄想から始まります。そこから、徐々に現実に近づけていくというアプローチがとられます。
私は、インフラ業界にいたので自動運転を抽象的な概念から考えることがあります。ゼロから考えなくても、自動運転は、すでに航空機や物流倉庫など分野で実現されています。これらの既存の仕組みを抽象的に把握して、それを自動車に適用するには、どうしたよいかという視点で考えています。
そうすると、車にドライバーの代わりをさせるよりも簡単に、自動で車両を走行させる方法がいくつかあることが分かります。
例えば、ライントレース。これは、永平寺町で実際に使われている方法です。インフラ側、この場合は道路になりますが、道路に仕組みを入れる必要があります。この仕組みを入れるのは少し大変ですが、一度入れてしまえば、その上を走らせるのは簡単です。今のドライバーの代わり方式では、道路上を走らせるには、常に演算をしていなければなりません。あとは、導入時の大変さをとるか、運用時の大変さをとるか、ですね。
どちらがより良い考え方というわけではなく、ケースバイケース
どちらの考え方がより良いかは、ケースバイケースですね。
具体的に考える方はスピードがあります。けど、大きな変化は起こりにくいです。抽象的に考えるのは、時間がかかります。けど、イノベイティブなアイデアが出てきます。
場面場面で、どちらがより好まれるかによるでしょう。
もし、時間やお金に余裕があるなら、両方のアプローチをとって競い合わせるという手もあるでしょう。