抽象と曖昧は別ものなんだけど、一緒にされがち
はじめに
社内で「具体と抽象」という本について、話題になりました。システム開発に携わっているという仕事上、この具体と抽象を行ったり来たりしながら考えることが多いです。
多いのですが、ときどき具体的な話ばかりで、抽象の話にならなかったり、逆に抽象的な話ばかりで、具体的なことが決まらなかったりする場面に遭遇することがあります。具体と抽象を行ったり来たりするのではなく、どちらか一方に行きっぱなしというわけです。
ということがあるので、システム開発の話をするときは、冷静な第三者に「いまは抽象(具体)の話の時間です」とファシリテーションしてもらう必要があるんじゃないかなぁ、などと思っております。この話は、また別の機会に。
で、今回は、「抽象と曖昧は別ものなのに、一緒にされがち」という話をしようと思います。
抽象と具体
「抽象とは」「具体とは」をGoogle先生に聞いてみました。
Copilotさんにも聞いてみました。
それぞれの説明を読むと、抽象とは「共通点や本質、一般的な概念や原則、法則」といったもののことだと分かります。共通点であれば生物の分類、法則であればオームの法則などが思いつきます。いずれも、分類や法則は決められており、曖昧ではありません。
ここでは数例ではありますが、これらのことからも、抽象だからと言って曖昧ではないということが分かります。
曖昧の対義語は、明瞭
辞典サイトなどで、「曖昧」の対義語を検索してみると、「明瞭」が出てきます。
ここでもGoogle先生に聞いてみました。
辞書の定義をみても、曖昧と抽象が異なることが分かります。
Copilotさんに、曖昧と抽象の違いを聞いてみました。
最後の一文が分かりやすいですね。曖昧さは「はっきりしない」ことです。抽象的なものであっても共通点や法則などは、はっきりしています。ここが曖昧と抽象が別ものであるところですね。
なぜ抽象は、曖昧と混同される?
とはいえ、抽象的な話をしていると「話が曖昧で分かりにくい」と言われてしまうことがあります。実際は、「具体的ではない=実際に姿・形があるものではないからイメージしにくい」が本当のところではないでしょうか? すなわち、「抽象=具体的でない」というわけです。「抽象」が具体的でないのは、定義からも明らかです。なので、この指摘は正しいです。
「曖昧」とは「はっきりしない」ことです。この場合も、指し示そうとしているものがイメージしにくいです。イメージという意味では、「具体的でない」と「曖昧だ」とは似ています。
これを数式的に表すと:
曖昧だ≒具体的でない=抽象
となりますね。
これが、抽象が曖昧と混同される原因のように思われます。
まとめ
実際のところは、具体であっても曖昧ということがあります。法則については、抽象であっても明瞭です。抽象と具体、曖昧と明瞭は別の軸なので、それぞれの観点で見ていく必要がありますね。図にするとこんな感じ。
いま注目している内容が、この4象限のどこなのかを意識すると、打ち合わせや議論が迷走することが少なくなるかもしれません、ね。