「野外には壁がない。どこまでも虚構で、どこまでも曖昧で、どこまでも面白い。」ロロ インタビュー
ボーイ・ミーツ・ガール・シズオカ
天野 まず、三浦さんの自己紹介をお願いしてもいいでしょうか。
三浦直之 はい。ロロという劇団で脚本と演出を務めている三浦です。旗揚げして15年で東京を中心に活動している劇団です。
天野 ホームページを見ると、ロロさんの綴りは「LOLO」なんですね。ロロという団体名は、どういった経緯でつけられたんですか?
三浦 そもそも最初は、団体を長く続けようってあんまり思ってなかったんですよ。1回公演をやったらやめようと思って。でもユニット名が必要だなと。なんか「記号っぽいのがいいな」とか、「(言葉を)繰り返す感じの名前がいいな」と思って、”ロロ”ってつけた感じです。だからそんなに深い意味がなくて。
天野 「ロロ」っていう単語を調べた時に、”青年、若者、ティーンズ、少年少女”っていう意味が出てきたんですけど…。
三浦 そうなんですか!僕、初期は「ボーイ・ミーツ・ガール」って銘打ってやってたんで、そういうことにしましょう!(笑)
天野 「LOLO」がこういった意味合いだから、「ボーイ・ミーツ・ガール」にしたのかと思ってました。
三浦 そうなんですね…。15年活動してたけど、調べた事はなかったですね。まさかですね。じゃあもう、そこから取ったよっていうことにしましょう。
天野 そうしましょう!今回の作品が『パレードとレモネード』というタイトルですが、プレス発表会の時に「パレードとレモネード」という言葉が発語されて初めて、「もしかして韻を踏んでいる…!?」って思いました。
三浦 そうですね。
天野 それは、あえてですか?
三浦 そうですね。僕タイトルは、音の響きを考えることが多いので。今回の作品は、”50人のキャラクターのプロフィールから物語を立ち上げる”という内容なんですが、その中の登場人物の1人に、「砂川レモン」っていうキャラクターがいて。
天野 はい。
三浦 そのキャラクターが近所の喫茶店に行くと、レモネードがあるんです。で、そのレモネードがすごい飲みたいんだけど、「レモンっていう名前でレモネード頼んでる」って思われるのが恥ずかしくて、ずっと頼めないっていうキャラクターの案があるんです。なので、レモンっていうキャラクターに焦点を当てて、レモネードっていう単語がまず出てきました。
「パレード」の方は、今回は市民の方も参加してくれるから、お祭りみたいなシーンを作りたいなと思って。なので、パレード。この二つを重ねて、『パレードとレモネード』っていうタイトルになりました。音の響きもいいし。
音やモチーフから色づくタイトルたち
天野 三浦さんが作品を作られる時って、脚本タイトルから先に思い浮かぶのか、それともお話の中身を作ってからタイトルを考えるのか、どちらですか?
三浦 タイトルですね。タイトルつけないと書けないかな。まだお話も何も決まってなくても、まずタイトルを出さなくちゃいけない、そういう事情もあるんですけど…
天野 ありますね。
三浦 それもありつつ、でもやっぱりタイトルから考えていくことが多いですね。タイトルが最後についたことは今までないかもしれない。
天野 他の作品タイトルを見ていると、セリフっぽかったり、小説の一文みたいだなって思いました。先程、タイトルは音を気にされてるっていうことでしたが、やっぱり音の響き先行でタイトルをつけますか?
三浦 ですね。あとは、「こういうモチーフの作品にしたいな」みたいなところから考えていったりとか。
天野 今回の『パレードとレモネード』ですが、三浦さんのクレジットが「脚本・演出」ではなく「テキスト・演出」になっていたんですけど、これはどういう違いですか?
三浦 すごく短いテキストなので、”戯曲”とか”脚本”って言うとちょっと違うなっていうのと、あとは僕の書いた(登場人物の)プロフィールも込みで作品だから、そういうの全部ひっくるめた時に、”脚本”だけだとそこに収まんなくなっちゃう。だから「テキスト」ですね。
天野 プロフィールではなくて、あくまでテキストという事なんですね。
駐輪場の軌跡。野外の奇跡。
天野 静岡には以前もストレンジシード静岡で来てくださいましたが、どういう印象ですか?
三浦 いや、ほんとに楽しかったですね。1番最初に呼んでもらった時『グッド・モーニング』っていう作品を駐輪場でやらせてもらいましたけど、未だに思い出しますね。自分が演劇をやってきた中でも、かなり印象に残ってる公演です。「ああ、頑張ろう」って思わせてもらえました。
天野 その理由は、プレス発表会でおっしゃっていた、「演目を観て拍手が来て、そのあとご飯を食べに行って」といった経験が大きかったですか。
三浦 そういう体験全部込みですごい感動したし、あと『グッド・モーニング』っていう作品は、何回も再演を重ねていろんな場所でやってるんですけど、野外でやった時「ああ、まだこの作品にはこういうポテンシャルがあるんだ」っていうのも発見できたから、ほんとにすごくいい、おっきい経験でした。
天野 野外でやると、照明の光量の調節とかってできないじゃないですか。雨が降ったりといったアクシデントもあると思うんですけど。
三浦 そういうのも含めて、野外でやる魅力というか、好きなところ。野外だからアクシデントもあるけど、でもそれが逆にすごい奇跡を起こしたりもするんで。『グッド・モーニング』をやった時に、「風気持ちいい」みたいなセリフを言った瞬間に、ふわっと風が吹いてきて!
天野 「風吹いたじゃん!」って感じですね!
三浦 そう!グッときちゃう。あと劇場だと空間に壁があるけど、野外は壁がないから、景色が抜けてる。今ここで演じてる人の奥に、ただうろうろ歩いてる人が見えたりとかして、その重なり方。
三浦 そこで演じている人とただそこにいる人も、重なって見えたりとか。どこまでが虚構で、どこまでが現実なのかの境目が、劇場に比べて曖昧なところがすごく面白いなと。
天野 今回はパフォーマンスをされるエリアの雰囲気が、前回の駐輪場よりも背景が多彩になるのかなって勝手に思ってるんですけど、それに関して楽しみなことはありますか?
三浦 すごい楽しみですね。たくさんの人たちが行き交う物語だから、「いろんな人たちが行き交いそうな場所でやりたい」って相談したら、(事務局の方が)”CITYエリア|おまち3(青葉シンボルロードB3)”を提案してくださって。多分、上演してる最中にも全然関係ない人が通ったりとかある
だろうなとか、そういうのをすごく楽しみにしてます。
天野 前回のストレンジシード静岡2023で言うと、とあるアーティストさんのパフォーマンスを観た時に、水道のところにずっとおじさんがいて。「あの人出演者なのかな?」って思ってたら最後まで出て来なかったので、一般人だったんだ!っていう一面を思い出しました。『パレードとレモネード』も、公募の皆さんがいるのも含めて、そういう景色が見れたらいいなって思ってます。
三浦 そうですね。
いつもさわやかな静岡
天野 静岡に何回か来られてる中で、行ってみたい場所とか、やってみたい事とか、食べてみたいものってありますか?
三浦 毎回来る度に楽しみにしてるのは、”サウナしきじ”に行くのをすごい楽しみにしてます!だから今回も絶対、しきじに行って水風呂に入るのを楽しみにしてますね。
天野 実は、私しきじの近所に住んでるんです。
三浦 え!そうなんですか。最高ですね!
天野 食べたいものはありますか?
三浦 この(インタビューの)後も行くんですけど、やっぱり”さわやか”のハンバーグも楽しみにしてますね。
天野 おいしいものに関しては、PRわたげ隊のInstagramで紹介する予定なので、ぜひ他の出演者の皆さんも参考にしてくれたら嬉しいです。
三浦 いいですね。やっぱ(ロロの)本番が終わって、しかも昼過ぎには解放されると思うから、他の芝居見ながら、おでん食いながら、お酒飲みながら、みたいな。それもすごい楽しみ。
天野 おでんもぜひ!
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