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自治体Note、成功者はどこにいる?

Noteが自治体向け法人プラン(無償)を開始したのは2020年6月3日の事だ。それから4年がたち、各自治体がNoteに参戦し、現在の一覧はこんな具合だ。この中から成功していると思われる自治体を探し出してみたい。


全数調査

数えると地方自治体のアカウントは都道府県、市区町村あわせて187アカウントあった。
(調査日2024年6月22日)

全国の市町村は1724、市町村に限ると設置自治体は162であるから、Note利用自治体は9.4%だ。ざっと、各地の人口とフォロワー数を一覧にした。

WikipediaとGoogleに頼ったので、「だいたい」の数字だ。本当は記事数もカウントしたかったが、気が遠くなったので止めた。誰かやっておいてほしい。

自治体Noteフォロワー数一覧(2024年6月22日閲覧)

思ったよりも小規模自治体が本気だしているという印象がある。
(まぁ、そりゃ、特設サイト設置と違って、設置費用がタダだし)

人口対フォロワー数で相関性があるか弾いた所、外れ値の東京を除外すれば、相関係数0.57となり、『今のところ、人口とフォロワー数には、なんの関係性もない』とわかった。

人口対フォロワー比率のトップ3を上げよう。
新潟県粟島浦村 1.20
島根県海士町 0.79
北海道下川町 0.68

これらの自治体は在住人口に対して、多数のフォロワーを得て、4位以下を大きく、つきはなした数字を出しているおり、関係人口構築に成功していると言えるだろうから、注目するべきだ。

これらの自治体がどこかぱっと分かる人はかなりレアだろう。
GoogleMapで場所を見て、それぞれのNoteを簡単に紹介したい。

新潟県粟島浦村

新潟県粟島浦村は2021年11月2日初投稿、
記事数は23本。最終更新は22年5月30日。
ランキングトップに躍り出たのは、母数となる人数の少なさゆえというのはありそうですね。フォロワーに実名登録の人が多く、担当者を中心に小さな巻き込みが出来ているおかげかも。更新がやや空いているのは気になる所。

島根県海士町

島根県海士町は2021年2月16日初投稿、
記事数は公式が約460本。最終更新は24年6月24日。

とにかく圧巻なのは、現在発行数1598本に至る海士町みんなのnoteでしょう。様々な立場の海士町の人がめいめいに書いていることで、圧倒的な投稿数です。

「舞台裏」と称したスタッフノートがこの原動力と思う。とにかく「100本記事を書く」と、エネルギッシュに投稿を続けた担当者が素直にその過程をさらけ出すことで、周囲が誘発される形で発信が発信を呼んだ。
いまや海士町にいなくても、海士町の暮らし向きが手に取るようにわかるようなnoteになっている。

北海道下川町

北海道下川町は2019年7月5日初投稿、
記事数は公式が約220本。最終更新は23年7月3日。

noteと自治体のコラボが始まる前からマガジン発行をはじめており、自治体note業界の最前線にいるといっても過言ではない下川町。
特に好きな記事はこのリスタート宣言だ。

自治体の中の人が、こんな率直にゴメンナサイして、やりなおすなんて、なかなか出来ないことだ。
「今までこういうねらいでこうやってきた。これからはこうやっていきたい」という立ち位置を明らかにして、それから発信を爆発的に増やしている。
正直なところ、Note担当者の力量がやはり大きなキーなのだな…と思わずにはいられない。

Noteという原野

過疎自治体が10年後、20年後に今の形を残せるとは、私は思っていない。少子高齢化による縮小は町を飲み込み、今日できていたことは、明日にはできなくなり、人の営みは変化し、少しづつ絶えていく。だからこそ、今ある暮らしをnoteの中に残すという営みは、とても大切だ。

その意味で、私は海士町のNoteがすごく好きだ。島の暮らしぶりがわかり、熱意ある人を迎え入れて、仕事をまかせている姿がある。
島民の投稿を暖かく内側へと向かい入れている。役所と住民の相互の信頼がこれを可能にしているのだと思う。

調査のために、自治体noteのすべてのトップページを流し見たが、非常に担当者の個性が現れていると思う。また、場合によっては公務員ではない立場の人が仕切っていることも多い。まだまだ未開拓の原野のような状態だ。

担当者の移動で更新が滞って廃れるかもしれない、あるいはnote自体の環境変化によって今後はどうなるかわからない。担当者の力量によっては、これから炎上や問題がおこるのかもしれない。

ただ、ここは熱量で勝負ができる戦場なのだ。文字を書き慣れた人間は、人口が多く教育水準の高い都市部に偏在しているのは事実だ。だから、都市の発信力は高く、田舎は弱い。

だからこそ、熱量で人をまきこみ、インターネットの原野に、「俺達はここに生きている。俺達の暮らしはここにある」と刻み込まねばならない。書かれたかったことは、ないものとして扱われるのだから。


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