「零れ落ち怪談」曝け出し~瞬殺怪談全落ちしました~
竹書房さま企画、「瞬殺怪談」に全落ちしました。
毎月行われている、実話怪談の投稿コンテスト。今回は‘‘超短編‘‘という定められた字数制限の中で実話怪談を書く決まりです。2023年12月に募集開始され、2024年1月16日に一次発表が行われたのですが………全落ち!!
今回初めて怪談を「書く」という事を実践し、11話投稿してみました。が、全て零れ落ちた結果となります。こういう結果になった時はやっぱりショックです。私が書くもの面白くないし恐くないんやな、と自分を否定的に捉えますし落ち込みます。
落ちた人の名前が挙がる事はないので黙ってれば全落ちした事実すら誰にも知られません。だけど「体験した事、挑戦した事を感想文として昇華する」のが私なので今回も書いてみます。
落ちた怪談も載せるのでお読みいただけたら嬉しいです。
「怪談を書く」に至った理由
実は去年の秋過ぎから怪談の音声配信(Xでやっていたもの)が出来ていません。と言うのも、発声が下手くそがゆえにすぐ喉を痛めるようになっていたんです。1時間も配信すると声が枯れていました。
11月頃には配信した翌日声がれから発熱した事もあり、以前のように思い立って始めることに怖気づくようになってしまったんです。YouTubeでも始めた‘‘怪談を歌う‘‘に関してもやはり発声が上手くいかず思うようにはいっていません。スタジオに入って練習したりもしてましたが、結局声がれして終わる…という悪循環…。
産後の身体の変化、オン状態での発声を暫くやっていなかったブランク、そして年を重ねた事による喉の老化…。そういったのが原因だろうと指摘を受け、年明けからボイトレに通う事にしました。喉声になっているので、お腹から声を出す事を習得し喉への負担を減らしたいという思いです。
怪談だけでなく、仕事でも声を使いますしこれからの長い人生で今の状態は結構致命的なので一から基礎を叩き込みます。
ということで、せっかく溜めてる怪談を披露する場がないため今回の「瞬殺怪談」に応募したという経緯です。
あとは単純に怪談作家さん達への憧れもあります。T先生とかA先生とかW先生とかHKさんとか…。喋っても書いても面白恐くてキレキレですからね。
「零れ落ち怪談」曝け出し」
今回初めて実話怪談を「書く」ことに挑戦しました。過去に創作短編ホラーは書いてみたことはあるんですが…(旧Twitterで古くから私を知る人は読んだ事あるかもですね…)。まあ「こりゃクソつまらん文章だ」と自分でも思う程で、それ以来レポートや感想文以外での「書く行為」はしていませんでした。
今回は収集したお話や自身の体験談であるため、それをありのまま書いたものたちです。ちなみに、投稿規定の文字数や行数の数え方に不安もあったのでもしかしたらルールに則っていないという初歩的なミスもあるかもしれません。
怪談の上手いとか下手とか正直分かりません。あと相変わらず私が思う「恐い」は皆さんとズレてる気もします。でも気に入ってるお話たちです。どうぞ、零れ落ちたこの怪談たちを受け止めるなり観察するなり味わうなりして頂ければ幸いです。
「カラス避け」
新居に越した知り合いがカラスに悩まされていた。道路沿いに建つその家のベランダにいつもカラスがやってくるのだと言う。「部屋の中をじっと観察していて気味が悪いんよ」と電話越しに愚痴を聞かされる。そして早朝からひたすら鳴いているのだと。
すでに2度程私はその家に遊びに行っていた。しかしカラスの姿を見たことはなく鳴き声を耳にしたこともない。そう言うと「確かにあんたが来る時はおらんかもね…」と不思議そうにしていた。
それからも度々遊びに行く事はあったものの、やはりカラスとは遭遇しない。知人にとって私の存在がカラス避けになっている。そして先日のこと。
「少し前につがいでカラスが来たんやけど、その後一切来んくなったん」そう言う知人は何故か少し寂しそうにしている。
それから数ヶ月経ったある日、300キロも離れている私の家に異変が起こった。ゴミ収集所荒らしが起きるようになったのだ。犯人はカラスだと思った。
決まった曜日に行われるゴミ収集を見張ったところ2匹のカラスがゴミ袋を突いている。近くで見るカラスは毛並みが艶々していて綺麗だとさえ思った。しかしゴミを散らかされては困る。カラス避けをしないと。
「わん!」
何故か私はカラスに向かって犬の真似をして吠えた。ちょうど外出する様子だった向かいの方が怪訝そうにこちらを見ている。
咄嗟に出てきた犬の声を私は誇らしく思った。しかしどうしてそんな事をしたのかは分からない。
【あとがき】
これは私の話です。福岡に住んでいる知人の家の話なのですが、時間が経って私が住む鹿児島の家にカラスが現れるようになったのでした。
何かに言わされたように突然出た犬の鳴きまね。この時夫も隣にいたのですがドン引きしていました。まあ確かに恐さがある話じゃないですね。ただただ変な話です。後日談として、最近は我が家のゴミ収集所は荒らされていません。少し離れた家のゴミ置き場が荒らされているのでカラス自体はまだこの近くにいます。
「母になる」
5歳になった双子の母であるKさん。新生児育児の最中は深刻な睡眠不足に悩まされていたと振り返る。よく''3時間おきに授乳する''と言う。しかし双子になるとその3時間の中で母親が休む暇はほとんどない。
朦朧とする意識の中、Kさんは空想の自分と会話できるようになった。もう1人自分がいる事でなんとか耐えられた気がしたそうだ。
「眠過ぎて死にたいとよぎった時にもう1人の自分が子どもを見てくれた」
そうKさんは言いながら少し照れていた。しかしある時、もう1人の自分がある事を言う。
「このまま私が見てあげるから」
「見てあげるから」に続く言葉は何だったんだろうと思い出すのだそう。「私が見てあげるから死んでもいいよ」何となくそんな意図に思えてしまったとKさんは話す。
【あとがき】
ママ友からお話を聞かせてもらう事もよくあるので、育児中の不思議な話が多くあります。その中で私が特にゾッとしたものがこちら。味方だと思わせておいて、乗っ取りに来たように感じました。
慢性的な疲れは絶望に繋がります。そうなるとこの世から消えてしまいたいと思ってしまう。私もありました。だとしても、周囲から「そのまま消えていい」なんて言われたらハッと我に返るものです。Kさんはこの事でより一層「私が守らなきゃ」と母の自覚を持てた気がすると教えてくれました。そして、ひとりでどうにかしようとするのではなく生きている周りの人間に頼るよう努めたそうです。
「引っ越し先で」
気付いたのは半年程経った時だとアサミさんは言う。この町に引っ越し、我が子と2人ぼっちで毎日を過ごしていた。
社宅の駐車場で車から荷物を降ろしていると子どもがいつも大人しい。手がかからないに越したことはない。しかしその大人しさが不自然だということに気付いたのだ。
「ふふふ」
まだ幼く小さい子どもは頭をめいっぱい後ろにもたげ、上を見上げている。時々声を漏らしながら、満面の笑みで。
何に笑っているのか気になり同じ方向を見上げてみた。5階建てとなる社宅それぞれの部屋についている換気扇の排気口。それが地上に向かって何かを吐き出す形でこちらを見ている。
「真っ黒い顔の排気口を見ていると、吸い込まれそうな錯覚に陥った」
アサミさんは不安げにそう教えてくれた。そしてその中にいるのを見つけてしまったと言う。
ヒトらしき真っ黒い顔の何か。嫌な感じがしなかったのは、毎日の育児に疲弊していたからかもしれないと話す。よく分からないものですら縋る対象だったのだと。
それから約2年後、アサミさん一家は転勤で他県へ引っ越した。同じ造り、同じ排気口がついたよく似た社宅。荷物を搬入した当日、子どもはめいっぱい後ろに頭をもたげて上を見上げ笑っていた。
【あとがき】
これも私の中では恐い話として気に入っています。だけど情景描写が書いてる最中も難しく、なんとか仕上げたもののやっぱりこれでも伝わりづらいかな…と反省点が残ります。こういう時に文章力としての上手さが試されるんですかね。
これもママ友怪談。育児中の余裕の無さから怪異を受け入れてしまった、という事により引っ越し先にまでついてきたのでは…というこちら側の選択による誤りで起こったという点がゾッとします。
正確には、引っ越し先でアサミさんはその黒い顔自体を目撃していません。でも、子どもの様子からそこに居る気がするというもの。この後は子どもが成長する中でその仕草が無くなったそうです。
私自身、怪異だからと言って排除すべきとは思わないタイプなのでこの話には共感してしまいます。この話も、ついてきたからといって何か悪い事が起こったわけではないので上手く共存できているのかもしれません。いいですね、怪異との共存。
振り返りと反省
今回は投稿した11話の中から3話公開しました。
改めて読むと「瞬殺」には程遠いですね…。恐さのパンチが足りない。そして無駄な色を足してしまっているのかもしれません。読む人に伝えたいという私の気持ちが、逆に読みにくさを出したりリアリティを欠くポイントにしている可能性も考えられます。
くあ~~~~~、浅いな、浅すぎるな、私。と反省ですね。
提供していただいたお話は本当に大事なものなので、その話自体が光るように構成や表現を練り直したいと思います。
もしここまで読んでくださった方がいるのでしたら、それだけでもう今回11話書いてみたかいがありました。本当にありがとうございます。
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