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【鹿児島薩摩川内】どうせお化けになる前に【お化け屋敷/怪談イベント】

はじめまして、イソノ ナツカです

「ちょっと読んでみっか」とここに入ってくださった方。
もしくは特に何も考えずこのページを表示させた方。
その方々に伝えたいので今回はまとめから入ります!

‘‘恐怖の前には取り繕うことができない‘‘
今回のイベントで感じたことのひとつです。怖いと感じれば冷静にいられないし、ましてやカッコつけるなんてできません。せいぜい強がる程度でそれすらもう取り繕えてはいない状態。
これって貴重な瞬間だなと思うんです。

怪談やお化け屋敷で怖がる、弱さが前面に出た無防備な姿。それを一緒にいる友人や家族に曝け出せる場所。こういうのって普段なかなか無いんじゃないかな。
甘えていい頼っていい存在や場所が用意されていたとしても、それを上手く使えず弱さを出せない事って多くあると思います。私自身もそういう人間です。
だから、この弱さを気兼ねなく出してお互い様だと共有できる時間。それは意外といいものなんじゃないかと思います。

怪談が直接的に何か生活を良くすることはなくても、きっと、本人の心の強さや周りとの絆の強さを高める効果があればいいな
そして今を生きているという実感に繋がれば嬉しいです。

そんな事を考える、歌う怪談おねえさんことイソノが「どうせお化けになる前に」に出演して体感したレポートをここに残します。


怪しいイベント企画

始まりはあるラジオ番組。
鹿児島県薩摩川内市のローカルラジオに「B級観光案内所」という番組がありました。川内市内の(一部の人が)面白いと感じるニッチな観光場所を案内したり河童の話なんかをし続ける番組。
その中で「地域のみんなでお化け屋敷しようよ」という呟きを聞きつけ即座にメールを送ったんです。

「その企画やりたいです、怪談させてください」 と。
企画の発案者であり、魅力的な妖しさで番組を進めていたのは山下冗談さん。

初めてコンタクトを取った際、それはそれは戸惑われていたのをよく覚えています。素性も分からない見知らぬ私が何故かグイグイ「お化け屋敷やりたい!」と来るんですからね。
なんでそこまで行動的になれたかと言うと、当時ラジオで関わっていたお仕事仲間のおかげです。
「きっと冗談さんと合うと思う」と言ってくれたあいりん。そして今回一緒に怪談やることになった楠元さん。私の「やってみたい…」をずっと後押ししてくれていた仲間たちですね。

怪談やってる身として分かりますが「お化け屋敷や怪談はウケが良くない」。好きな人はとことん好きですが、苦手な人嫌いな人も多いしイベントとしてイメージが良いとは言い難いところ。
「本当に実現するのかしら…」と段々不安になっていましたが、冗談さんはやってくれます。

怪談、おもしろいじゃん

旧鳥丸小学校

そんなこんなで月日は流れ、その間に鹿児島市天文館で初めて怪談イベントもやってみたりしました。

鹿児島県内で怪談好きが思ったよりいる手ごたえも感じ、また楽しいことしたいな…と考えている時に一報が。
「お化け屋敷の打ち合わせするよ!!」

思わず私は
キターーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
とガッツポーズしました。

未知の事をやってみるって、流れてしまうことも多くあります。自分主導じゃなければそれは仕方がないことだし縁やタイミングだからしょうがない。
でもやっぱりここはやってくれた
実はこの打ち合わせが冗談さんとは初めましての顔合わせ。内容詰めは少々、怪談話なんかをたっぷりと話した打ち合わせを終えます。
今回はあくまでもお化け屋敷企画がメインであるため、その導入として怪談をしようというものでした。だけど打ち合わせを終えて「怪談もガッツリ楽しんでもらおうよ」と進めていただくことに。素直に嬉しいですね。

「どうせお化けになる前に」

そしてとうとう、2024年11月3日(日)にイベント開催となります。

「どうせお化けになる前に」
私たちはいずれこの世から去りお化けと言われている存在になる。だったらその前にお化けに扮して子ども達を驚かしたりなんかして楽しもうぜ~!ってユーモアたっぷりな内容。

ひとまず怪談のみ任していただいた私。
本当に人は来るんだろうか…。台風も来るんだろうか…。とふわふわソワソワしている中で当日を迎えます。

子ども達に怪談を語るイソノ

開演時間が近づいてびっくり。集まり続けるんですよ、子ども達が。
第一部第二部と分かれて行われましたが、それぞれの回に3.40名程の子どもたちとその保護者の方々が来てくださいました
こんなキワキワなイベントにたくさん人が集まるなんてすごいな…。田舎だからとか都会だからとか関係ないんだな…。と始まる前から感慨深くなっているわけですが切り替えて真剣に怪談を語ります。

子どもたちの素直さ

軍神社をお借りしました

「お化けとか幽霊っていると思う?」「お化け怖い?」
そんな事を集まった小中学生に聞きながら「怪談って何が面白いのか」「私がなぜお化けや幽霊がいたらいいな、と思うのか」を自身のある話に結び付けながら導入に移りました。

怪談好きな私にとっては、怪談ってロマンの塊だと感じます。幽霊やお化けもいてくれたらいいなって思うんです。(そこら辺の話が気になる方は是非今後イソノの怪談を聞きにいらしてくださいね☆)

そんな真剣な思いも伝わったのか。
当初はザワザワしていた子ども達がシーーーンと静まる程怪談は聞き入ってくれていました。私は怖くない不思議な話や変な話も多くあるのですが、今回は肝試し前なので‘‘学校の怖い怪談‘‘を語ります。
話の盛り上がり箇所では「いやっ」「こわい…」と悲鳴が響くほど没入してくれていました。

怪談語り担当の楠元さんとイソノ

大人に話すよりも子どもに話す方が難しいと予想していました。しかもYouTubeなどの‘‘動画に慣れた社会‘‘で生きている子たち。怪談を耳で聞いて楽しんでもらう事ができるのだろうか…と結構ドキドキしていたんですよ。
でもそんな心配が一切いらないほど子ども達は集中して20~30分程怪談に聞き入ってくれていたんです。
話を聞いて想像して怖がる。この受け取り方楽しみ方に向き合えるってすごく素直で聡明な子たちだなーと感動します。

クオリティ高すぎのお化け屋敷

肝試しの順番を待つ子ども達

怪談に大きくスポットライトを当てていただきましたが、やっぱり主役はお化け屋敷!
薩摩川内市東郷町にある、今は廃校となった旧鳥丸小学校が舞台です。ただの廃校というだけで雰囲気抜群なんですが、スタッフを始めとした薩摩川内の大人たちの本気度合いがすごかった!!!!!
何日も前から打ち合わせや準備を行われており、当日も朝からお化け屋敷のセッティングが進みます。

肝試しに参加した小学生男子たち

学校内には数名ずつのグループで入っていきます。その間、順番待ちしている外にも響き渡るほどの悲鳴!

子ども向けとなっていたので大人の参加はNGですが…。特別に私は子ども達と入らせていただきました。一緒に入った小学生男子5名。入る前は余裕そうに見えたのですが、中に入った途端足が進まない!
本当に怖いんだなというのがよく伝わります

クライマックスでは先祖の墓をお参りします

今の世の中、どういった経験も画面内で完結することばかり。こういった体験型のあそびというのはある意味貴重なのかもしれません。地域の大人たちが本気でお化けに扮し、本気で怖がらせにくる。それに200パーセント応えるような子どもたちの素直な反応。
お化け屋敷を周っているはずなのに、なんだかそれらの光景に感動しそうでした

高江未来学校のスタッフさんを始めとした、関わってくださったみなさん本当にありがとうございます。こんなに素敵な大人がたくさんいる薩摩川内市の未来は明るいな…なんて感じていますよ、本当に。

鳥丸小学校から軍神社まで歩いていた帰り道、流れ星を見たんです。この日が大成功した表れだなと思いました。

未来を見つめる機会

翌日の旧鳥丸小学校

皆さんの本気度に頭が上がらず「もっと私にもやれる事があったんじゃないか…」と反省までした本番終了後。きっと見えていないところでもたくさんの準備や話し合いやなんやかんやが行われていたんだろうなと。
それと同時になんて最高な土地なんだろうと感激しています。

河童

「どうせお化けになる前に」
関わってくださったお化け役の方も肝試しを体験した子ども達も、いつか自分がお化けになる事を想像しただろうか。心の片隅にどうせお化けになるんだから、と何か気持ちが残っただろうか。
怪談や肝試しを通してお化けや幽霊に思いを馳せる時。それはこれからの自分の未来を考える機会にもなり得る時間だと思います。
どうせいつかお化けになっちゃうんだったら、今やりたい事思いっきりやっちゃおうよ。誰かがお化けになっちゃった未来の道は、自分が生きて通ることができる道なんだから

なんて事まで考えるのはめったにないと思いますが。
物理的な目の前の事ばかりに囚われがちなこの現代で、答えもなく見えもしない何かを考えたり面白がったり怖がったりするのもたまにはいいんじゃないでしょうか。

イベント翌日の軍神社

せっかくこんなに楽しくて素敵なイベントだったからこそ。それが終わってなんとなく空気に溶けて風に吹かれるだけなのはもったいないので。私はこんなイベントレポートを書きました。
この思い出も気持ちも、記録として残すことで終結だと思っています。それはある意味、当日の様々な気持ちたちが成仏するようなもの。そうすることで次に繋がると信じています。

皆さん本当にありがとうございました。
またお会いできます事を楽しみにして、私は怪談取材を続けます。


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