【グッドプラン・フロム・イメージスペース】 Episode.4 「瓦礫でひとり」(No.0043)
明け方、奇襲に出た我が分隊は作戦が裏目に出て、敵部隊と完全に正面から闘う羽目になった。
私は1人崩れた瓦礫に身を隠しながら敵の激しい攻撃に抗戦しつつ部隊と合流を考えていた。
しかし私の存在に気づいた敵兵は簡単に逃がしてはくれず、瓦礫目掛けて撃ちまくってくる。
ふと、弾幕が止んだ。
私は移動を始めようと腰を上げたとき、目の前にゴトン、と何かが転がって来た。
手榴弾だった。
私はその手榴弾の転がる動きが止まる瞬間まで、格子状の刻みに目を奪われ続けた。
とても長い時間に思えた。
なめらかに転がるその姿を目で追い続けた。
私には子供がいる。まだ小さい。
しかしもっと小さい頃、ハイハイもやっとの頃に、彼が何処かに突然消えてしまうことの無いように、まだ生え揃わない髪が右から左に揺れ戻るさままで、瞬きを忘れて見守っていた。
今も私は何処かに突然消えてしまうことの無いように、この爆弾を見守っている。
終わり
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