「シンプル・プラン:第1回;塩水発電LEDランタンを試しに使ってみた。その3」(No.0215)
「シンプル・プラン:第1回;塩水発電LEDランタンを試しに使ってみた。その3」(No.0215)
その2の続き
本来5日間、120時間で消費するはずのマグネシウム棒が、実際に放ったらかしで点け続けたところ、何と約16日間連続で点灯した。
時間にして約368時間。本来の約3.2倍点灯し続けたのだ。
もちろん途中から暗くなり、ただでさえ暗かった光量がほぼ使い物にならないくらいにまで下がったものの、この結果には驚いた。
今回はその後の処理と感想などを書いている。
ただ残念ながら撮影したはずの画像が消えているため、ほぼ画像は無いが一応追加で撮影した画像を使った。あまり参考にはならないかもしれないが。
このあとは、今現在も継続してテストしているもう一台の塩水発電LEDランタンである「マクセル ミズシオン」のテスト経過を出していく。
こっちの方では詳細な画像が撮れているし、使ったことでより分かったが、今回の「アクパ」も「ミズシオン」も、構造は全く変わらないので、今回不足している画像などは今後の記事で補完していただく。特に洗浄は今後も何度となく行うため排出されたカスの画像などは十分間に合うものだと思う。
ただ、今回はその洗浄よりもこの製品についてわかったことや思ったことをまとめた部分の方が役に立つ内容だと思う。
こここそ、実際に使用してでないとわからないことだから。
〜洗浄開始〜
2021/03/05
23時00分
ついに消灯した塩水LEDを開けて確認、洗浄する。
いざ開けてみると、中には水を含んだ青白い粉がドロっと詰まっていた。
コップへ排水する。かなりの量のカスが出てくる。
例えるなら洗濯用の粉石けんが溶け切らずに残っているような感じである。
排出したカスを割り箸で砕くと案外簡単にほぐれるが、マグネシウム棒を入れる穴から中を確認すると、そのマグネシウム棒が化学変化して残ったカスが内部にビッシリと詰まっていた。
なんと恐ろしいことに、これを早めに洗浄しないとならないそうだ。
長くほっておくと固まって取れなくなると説明書に警告があった。
穴から割り箸で突っつきほぐしていくが手応えは薄く埒が明かない様子。
一旦マグネシウム棒の蓋を締め、上から水を入れよく振る。
真ん中の砂時計上の管から振るたびに白く濁った水が上がってくるのが見える。
コップに中の水を出す。
白く濁った水が出る。時折粉の塊も出てくる。
もう一度中を確認するが、まだまだ全然ある。様子が確認できないほどに汚れている。
結局、これを何度と繰り返す。
はじめ、利用するときにも水を入れるが、その時の水量は本体下を取り外したカップに2杯分(約300ml)である。
そして今、洗浄を繰り返し、だいたいきれいになったと納得できる程度に使った水の量は、約800ml程度だ。
つまり使い始めから片付けの洗浄までに約1リットルの水が必要である。
これは問題である。
緊急時にこれだけの水が手に入るだろうか?
また、この程度の明るさしか発光しないLEDランタンのために、大切な水を使い、しかもきれいに洗ったりと手間暇をかけるだろうか?
その価値があるだろうか?
疑問である。
もちろん水が手に入ることも十分考えられる。
ちょっと極端だが、川などがあれば十分だ(ちなみに汚い話だが、尿でも点灯するようだ)。
砂漠ではないのだし、10年前の震災のときでも、水が無いと言って暴動になったようなニュースは聞いていない。
幸い水はあると考えていいだろう。
しかし、正直結構な手間だ。
だが、今回は最低限の量を測るために、かなり水をケチって洗浄をした。
でももしもっと潤沢に、そしてもっと勢いよく洗浄できるのなら、そこまで手間を感じないと思う。
面白いのは、このランタンは一応は電化製品だが水に平気で濡れる。
おまけに電気が通電する部分こそが水で濡れているので、なんというか電化製品にありがちな水濡れの危険性を意識しなくて良いところは、放ったらかしで利用できるストレスフリーな利点を後押しするだろう。
つまり、雨の中でも、濡れてもほとんど気にしなくていいのだと思う。
いずれ雨ざらしの実験もしてみたい。
なんとか洗浄も終了し、液体はすべてボトルに詰めた。
(※上の画像は、現在残っている当時の排水。
かなり見づらいが、白いなかに黒っぽい金属の粒のようなカスがところどころに見られる。また、左のカナダドライの方はカスが細かいようで上澄みと簡単に分離した。しかし右のドクター・ペッパーの方はなかなか分離しなかった。)
〜使用しての感想、わかったこと〜
洗浄してみて特に興味深かったのは、何といってもマグネシウム棒の取り付けられた「キャップ」部分だ。
実は最初からずっと気になっていたのは「この部分」だった。
はじめにも書いたが、どうしてマグネシウム棒とキャップが一体型なのかが不思議だった。
なんとなく取り外せるものだと思ってた。
そして蓋を締めるときも、どういうわけか45度程度ひねっただけで完了する仕様なのも納得が行かなかった。
だから今回、すべてのマグネシウム棒が溶けて無くなり、蓋の内側が露呈するのを待っていた。
そしてそれがようやく見えた。
マグネシウム棒で隠れている蓋の内側の部分とは、こうである。
これは内側からネジが埋め込まれていて、そのネジがマグネシウム棒を貫き固定していたのだ。
ここまで見えればもうほとんど疑問はない。
このネジはマグネシウム棒と連結しており、そしてこの内側に見える金属の板は恐らくキャップの内部でネジと接触しているのだ。
そしてこの内側の金属板は、蓋を締めることで本体の排水口に取り付けてある金属板と接触する。
そしてその金属板は本体内部を通ってLED電球に接続され、LEDの正極は本体下部の内側に取り付けられた塩水に漬かった金属板と繋がっているのだろう。
購入した当初は破壊して内部を調べようかと思っていたが、いざ蓋を手にとって見るとどうも不自然に思えたので本体よりもこの蓋に興味が湧いていた。
これはあくまで、化学も理科もまるで分からない私の想像ではあるが、ほぼ間違いないと思う。
そして、それがわかると他の疑問も解決する。
「なぜ、似たような製品が存在するのか?」
今でもアマゾンでちょっと検索するだけで、
「日本協能電子:アクパ(本製品)」
「マクセル:ミズシオン」
「ECOLA:エコラ」
と、違うメーカーで3種類も売っている。
それも形が全く同じである。
今、手元にあるアクパ用のマグネシウム棒を確認すると、何と「エコラ」でも使用可能と書いてあるのだ。
「ECOLA」と「日本協能電子」は恐らく全く別のメーカーだ。
でも同じマグネシウム棒が利用できる。
また、「アクパ」には種類が2種類あり、大と小がある。
私が今回使ったものが大の方だが、小サイズ用のマグネシウム棒も別で販売している。
まだ試してはいないが、恐らくは「マクセル ミズシオン」と「日本協能電子 アクパ」の小サイズは同じサイズで、小サイズのアクパ用のマグネシウム棒はミズシオンにも使えるのではないかと思う。
そう考える理由も、結局はこのマグネシウム棒と連結してる「キャップ」がどれも同じ形であるからだ。
そして実はこのタイプの製品はこの「キャップ」こそが要なのだと考える。
すべてはこの「キャップ付きマグネシウム棒」を使用するための構造なのだと解釈している。
それほどにこのキャップは肝なのだ。
おそらくは、このタイプの製品には何らかの「権利」、「特許」などがあるのではないかと思う。
だが、それは私達にはわからないし、私もそこまで掘り下げる気もないが恐らくはあるのだろう。
これはつまり「VHS」や「DVD」や「CD」などと同じことなのだ。
どれも様々なメーカーがプレーヤーを製造販売しているが、どれもこれも「VHS」や「DVD」や「CD」を再生する機能を共通して持っている。
メーカーが変わればそれぞれに特徴や微細な違いはある。
だが必ずそれぞれ「VHS」や「DVD」や「CD」は再生できる。
これと同じだと思う。
このマグネシウム棒付きキャップという「規格」を利用できる製品を各社が製造販売したのだ。
だからどれもこれも「形」も「仕様」も似ているのだ。
DVDプレーヤーだってそうだ。どれも見た目は大して違いは無い。
こういうことがわかるのも、やはり自分で試したからだと思う。
何でもやってみるとわかるものだなあ。
その4に続く
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