【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」 第3章  (No.0053)


新シリーズ【グッドプラン・フロム・イメージスペース】の企画説明(No.0035)


 しかしそもそも働かなくても生きていけました。

新しい政府は今までの自民党と違うので生活保護などの人を助ける為の制度を本気で行うので、誰一人として飢えていませんでした。
無いに等しい金額だった年金も使い切れない程に振り込まれました。

もちろん身体に不自由がある人も、ブラック企業や悪魔に魂を売った者達のせいでうまく働く事が出来ない人達も誰一人飢えず安心して生活が出来ました。

当たり前ですが家の無い人は居ませんでした。
みんなに屋根のある部屋や家が与えられました。
元々ある建屋を利用したり、3Dプリンタを利用した最新の家を作って分けたりしました。

なかには生活に不便で意味のないタワーマンションの高層階を与えられる人もいましたが、足腰の強い者達がワガママを言わずに使いました。歳をとった人は平屋などの方が好きでした。

多くの人が賢くなっていました。
ブラック企業や政府による狂った統治が無くなり、天皇などの身分制度も徹底的に廃止禁止された事で、思考回路に作られていた天井が無くなり、嘘と捏造しか報道しなかったテレビも新聞もラジオも雑誌もユーチューバーも全部逮捕されて死んでしまったので、皆が真実をたくさん知る事が当たり前になっていたのです。
命の危険が全く無く、人格の否定や尊厳のき損も無いのです。

皆が穏やかになり賢くなりました。
皆して痩せました。
賢くなりストレスが大幅に減った為に痩せました。

今までは食べる事で日々の苦しみを癒やすだけの毎日を送るしか無かった人達が、もう食べなくても良くなったのです。
食べないうえに毎日真実を学んだので、あっという間に皆が賢くなりました。だからますますグルメから遠ざかりました。昔なら粗末に思った食べ物も有り難く食べて満足しました。


都心部は古い建物や雑居ビルなどを徹底的に破壊して綺麗にしました。
持ち主たちは悪人ばかりだったので、全員逮捕されて死んでしまったのです。

新しい政府は都心部の土地を緑地化しました。
ただの緑地化ではなく、畑、河川、田んぼ、果樹園、森、林、そして整備をあまりしない草の生えた空き地、見晴らしがよくボール投げも犬の放し飼いも何でも好きなだけ出来るとてもとても広い公園やプール、音楽やお芝居も出来る会場、ナイター設備のあるスポーツ広場、乗馬も乳搾りも出来る牧場などに作り変えました。

もはやかつての原型を留めないほどに街を改善しました。
そしてこれらはもちろん無料で利用できました。
でもただ開放されているだけではなく、設備によってはきちんと登録が必要だったりしました。
さらに安全や犯罪防止のためのサポートスタッフも24時間体制で常駐していましたので何も不安はありませんでした。それにそもそも利用者がみんな賢くて真面目だったので、皆がきちんと助けあっていました。

あらゆるギャンブルも全て逮捕され死んでしまいました。

かつては病院や図書館よりも遥かに多かったパチンコ店が、カラになった店舗を日本全国に残しました。

始めは全てを破壊しようと考えましたが、あまりにも数も多くこんなものに人員を割くのも抵抗を感じた政府は、何か良い使い道は無いかと考え、国民にアイデアを募りました。

そのときに、かつてパチンコ店で働いていたタモツ青年は政府にアイデアを出し、優れたアイデアとしてさっそく全国に採用されました。

タモツのアイデアは、台と椅子を改造し仕切りなどを設けたり内装を大幅に変え、汚らしい飾りや不快な匂いを全て消し去った後に、その各台をひとりひとりが使える机と椅子に変えて、みんなが使える新しい図書館にすることでした。

どんな人も無料で24時間使える施設に変えました。
一席ごとにPCや電子書籍端末も用意され、心ゆくまで学び、読書が出来ました。
飲食も出来ました。24時間常駐のスタッフがいるために、たった一人で女性が利用していても、何ひとつ不安を抱く瞬間はありませんでした。もちろん子供も安心でした。

タモツ青年は、かつて働いていたパチンコ店で、今度はサポートスタッフとして働いていました。

タモツ青年は涙を流しました。

「私はかつて、生活のためにこのギャンブル場で働いていました。本当はもっとマトモな仕事に就きたかったのですが、いろいろあってギャンブル場で働くことになっていました。
その生活たるやとても辛かったです。
乱暴な言葉で罵られ、常に気が狂うほどの音量に晒され、その音もとても不快なものばかりでした。
悪臭がつきまといました。何よりもギャンブルのために働くこと自体が、私の人間としての魂を苦しめました。」

青年は涙を拭いました。
そして、晴れやかな笑顔で言いました。

「しかし、今は違うのです。
今は、毎日真面目な方たちのために働けるのです。
勉強して世の中の為に働きたいと願う老若男女の方々、心ゆくまで安らかに読書や音楽を楽しみたい方々、雨露をしのぐ為に屋根を求める方々、人々の為の仕事にPCやネットを利用したい方々。
私はこのような尊敬できる方々の為に毎日働くことが出来るのです。
ああ、何という喜びでしょう。」

【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5

「今から数年後・・・」 第3章  (No.0053)

おわり


第4章につづく

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