【獣人処方箋】Case.13「そして今日も獣人が湧く:後編」(No.0086)
前編のつづき
彼らに義や愛を説いても必ず同じように鼻で笑い、悪辣な笑みを浮かべてきます。
これらのワードは、彼らに自分と向き合うことを強要するものなので、彼らには大変に煩わしくて嫌なのです。
先ほど彼らも一応「人間」と書きました。
実はこれが獣人の弱点の一つなのです。
ケモノは裸で歩きまわり、その辺で用を足しても、寝転がっても、生肉を素手で食らっても許されます。
しかし、人間には許されません。
人間には、大人の個人には、それぞれの社会的な役割や絶対必要な義務、日々の洗濯や歯磨きなどの最低限の作業などがあります。
そして、獣人にも必ず親がいるのです。
なかには、兄弟、友人、知人、職場の同僚、恋人、片思いしている相手、家族、上司などがいるケースもあります。
彼らは小さく、虫のようなもので集団で群れて悪辣で愚かな行動を起こします。
もしこれが虫やケモノであれば、何を言っても無駄です。
虫は所詮虫です。虫以上には成れません。ケモノも同様です。
しかし、虫みたいな「人間」は、ケモノみたいな「人間」は、ささやかな理由ですぐに「虫からニンゲン」へ進化するのです。引き戻されるのです。
いくらケモノを真似しても、ケモノには成れないのです。
いや、人間には虫やケモノの振る舞いをすることは許されてはいないのです。
これが、彼らの弱点です。
獣人は一生懸命に見た目や仕草、振る舞いをケモノの「モノマネ」をして周りにアピールします。
これは、こうしてケモノに「成る」ことで、人間としての義務を放棄することが出来ると考えているためにしているのです。
つまり、自分がケモノの力を手にすることが出来る=人間の煩わしい精神的な義務などから解放される、と考えて日々努力をしているのです。
マンガでも映画でもケモノの姿に変身して強くなる、または暴走するという設定が良くあります。
人間の状態だと弱いと考えるわけです。
ですから、彼ら獣人を「ニンゲン」にしてしまえば良いのです。
彼らの親について聞いてみましょう。
彼らの子供時代についてはどうでしょうか?
平日は何をしてますか?
休日は何をしてますか?
誰と過ごしていますか?
誰を愛していますか?
どうしていつも興奮しているのですか?
どうしていつも声が大きいのですか?
なんでそんなに食べるのですか?
楽しみはなんですか?
家族に会わせてください。
友人を紹介してください。
地元はどちらですか?
近所の様子はいかがですか?
そんなことしたら可哀想だと思いませんか?
それでは人から嫌われてしまいますよ?
みんなから、どう思われるでしょうか?
他の方が気の毒だと思いませんか?
それは本当に他人のせいですか? etc...
彼らの肩には、人間としての絶対の義務がしっかりと乗っております。
彼らに一個人として自分の頭で、心で、考え想わせてあげましょう。
「自分」にさせてあげるのです。
集団の群れから引き剥がし、一人の「人間」として扱うことで、個人の義務や責任の重さをキチンと思い出させてあげると良いと思います。
お気をつけください。
【獣人処方箋】Case.13
「そして今日も獣人が湧く:後編」(No.0086)
おわり
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