【2つめのPOV】シリーズ 第4回 「波」Part.5(No.0179)

Part.4のつづき


「誰であろうと結局そうなる。殆どの人がそうなるの。」


大きな透明のガラス瓶にぎっしりとキャンディが詰まっている
瓶が爆発し、キャンディもガラス瓶も粉々に飛散する


テレビ、アイドルグループのパフォーマンスが映っている
集中しているアリスの顔
テレビの前でジッと座っているアリスの姿


アリスの部屋にはアイドルグループのポスターや表紙を飾った雑誌などがある


学校のクラスで友人と雑誌を見せながらはしゃぐアリス


部屋に並べられたアイドルグループのDVDの背表紙


似たようなTシャツを着た女性たちばかりが並んでいる列に友人たちと並んでいるアリスたち
列は劇場に続いている


部屋には沢山のCDも並んでいる


満員の劇場、カーテンコールで絶叫のような声援が起きる場内
周りの女性陣と同じくキャアキャアと騒ぐアリスたち


砕け散ったキャンディの入ったガラス瓶の跡
砕けたガラスとキャンディの破片が混ざり、どれがどれか分からない程に砕け、キラキラと光っている
その舞い落ちた破片の中に、ところどころ黒い輝きのない破片がある
よく見ると、それは鉛筆やボールペンの破片
更にそれらの中にはボロボロと砕けた鉛筆立ても落ちている
その近くに、へしゃげてしまい煙を少し上げている、壊れたクレパスの缶ケースが落ちている
その壊れた缶ケースから覗き見えるクレパスは、ひび割れているのが見える


きれいな指輪をはめた指
やがてそれは空に向けて挙げられた右手だとわかる
右手を下げると、それまで手で遮られていた太陽の日差しが直接顔に当たる


眩しそうに目を細めるアリス


小綺麗な夏の様相を思わせる服装のアリス
アリスは大学のベンチに座っている



「ある意味では、疑わないから、素直だからそんなことになるのでしょう。」



アリスの元に、似たような姿の友人たちと同世代の男たちが数人やってくる


その中の一人の男に向かってアリスは近づき、やがてみんなと歩き出す



「でも、素直さを要求されているなかで、独自に仕組みまで考えさせるなんて矛盾している。」



人のたくさんいるプールで遊ぶアリスたち

カラオケでお酒を飲み、はしゃぐアリスたち



吹き飛んで床に散らばるキャンディの中を歩く、全身白い衣装のアリス
大きな姿見とメイクセットの置かれた台の前で止まる


姿見には、白い衣装でノーメイクのアリスが映る



ふらついた足取りで男にもたれ掛かりながら夜の街を歩くアリス



沢山の口紅が並んでいる化粧台の隣には、物騒なピストルなどが並べられた台がある
一丁のリボルバーを手に取ったアリスは、シリンダに口紅を装填していく



男の部屋で抱き合う2人



ピストルを鏡に映る自分に向かって撃つ
鏡に血しぶきのような色とりどりのメイクが飛び散る
すると鏡に映るアリスは服装も顔も髪型も変わり、着飾った姿に変わっている



真冬の街、イルミネーションが輝くなかで男と手をつなぎ歩くアリス



ピストルを更に撃ち込むアリス
撃ち込む度にメイクが飛び散り、鏡の姿は変化する


鏡の前でピストルを撃つアリスの後ろ姿を、別の誰かが見ている


砕けたキャンディを散らしたような指輪をはめた指
その指がリズミカルに揺れる


アリスはピストルを変えて更に撃つ
姿見は色とりどりのメイクでドロドロになっていく


アリスでは無い誰かの手が小さい黒いリボルバーを握り、シリンダをスライドさせる


口紅をマガジンに装填するアリス


床に散らばったキャンディやガラス片の中から、真ん中から折れた鉛筆の先端を拾い出す手



病院のベッドで上体を起こしたアリスが、大きくなったお腹の上で指輪をはめた手をリズミカルに動かしている



更にピストルを変え、銀に輝く大型のリボルバーを握り口紅を装填する
両手で構え1発、2発と撃ち込むアリス
今までに無いほどの強烈な飛沫があがる
カラフルな飛沫が収まると、そこにはウェディングドレスを着たアリスの姿が映っている
その姿を見たアリスは表情を崩す


鉛筆の先端をシリンダに装填する手



「でも、本当に私は幸せだと思う」



ウェディング姿を見て、鏡の前のアリスは笑顔になる
そして、ピストルを自分の顎の下にゆっくりと向けるアリス


鏡の中のアリスは頷きながら笑顔を見せる
顎の下に銃口を当てるアリス
鏡の中のアリスは促すように手を動かす
その姿を見たアリスはゆっくりと目を閉じ、撃鉄を起こす


小さく黒いピストルを持った手も、撃鉄を起こす


その音に気づいた銃を持ったアリスは目を開け鏡を見る
同時に鏡の中のアリスもその音に気づき、笑顔から一転、緊張した表情に変わる
銃を持ったアリスが振り返ろうとする
それを止めるように大仰な仕草で手を振る鏡の中のアリス、穏やかな表情はすでに無い


そこには小学校の入学式の姿をした、小さい頃のアリスがいた
驚いたアリスは力が抜けたように銃を下ろす



「私には、他の誰も貰えないような素晴らしいチャンスがあった」



子供のアリスはピストルを構えアリスを狙うが、すぐに狙いを鏡の中のアリスに変える


ハッとした銃を持ったアリスは鏡に向き直る
鏡の中のアリスは頭を掻きむしり叫んでいる


子供のアリスは鏡にピストルを撃つ



病院のベッドで上体を起こした、お腹の大きなアリスの部屋が爆発する


男に抱かれているアリスの居る部屋が爆発する


はしゃいでいるアリスの居る劇場が爆発する


テレビでアイドルグループを見ているアリスの部屋が爆発する


キャンディが詰まった瓶が爆発する


バスケットボールの試合をしている体育館が爆発する



ウェディング姿のアリスを映した鏡が爆発する
その勢いで部屋にあったものはすべて吹き飛ぶ
部屋はただの真っ白な壁に囲まれた部屋になる


鏡の前に立ったままのアリス、手にはすでにピストルは無い


鏡があったところには白い壁だけがあり、そこには一本の鉛筆が突き刺さっている


吸い寄せられるようにその鉛筆を抜き取るアリス



左手に持った鉛筆を眺めるアリス
その姿は小学校の入学式の時のアリスになっている
いる場所も、白い部屋ではなく、暗い部屋の椅子に座っている


右手を開くと、そこにはキャンディが握られている


子供のアリスは、キャンディを床に捨て、鉛筆を持って歩き出す
床には砕けたキャンディが道を作っているが、その上は歩かない
やがて白く輝くドアの前に来るが、子供のアリスはそのドアでは無く、隣にあるドアの前に行く


そのドアの鍵穴に鉛筆を差すアリス
ドアは開き、中へ入っていく



アリスが座っていた椅子の肘掛けには、一丁の黒いピストルが置いてある


そのピストルの置かれた椅子の奥にある壁には、公園の花壇を描いた可愛らしい絵が飾ってある。



【2つめのPOV】 第4回


「波」


パターンC〈セルゲイのMix Up〉


おわり



Part.6につづく


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