「シンプル・プラン:第1回;塩水発電LEDランタンを試しに使ってみた。その4」(No.0216)
続いて「マクセル ミズシオン」をテストする。
(左がミズシオン、右は前回のテストで使ったアクパの大きい方)
こちらはサイズが一つしかない。恐らくはアクパの小さい方と同じくらいだと思う。
デザインもほぼ同じだが、こちらは持ち手に工夫はない。
だが、パッケージ含め全体的に垢抜けたデザインで印象が良い。
そしてこちらは説明書にきちんと「水と塩を入れ替える時間」の記載がある。
ここは大切である。
アクパにはその記載が無い。
だから途中から明らかに明るさが弱まっても、どう対処して良いかがわからず、結局ズルズルと豆電球レベルの明るさを2週間も続けることになったのだ。
だがこちらにはきちんと、
「30時間で交換、次の30時間でまた交換、そして最後は20時間後にパワーバー(マグネシウム棒)が終了」
と、丁寧に書いてある。
これならば迷わない。
(比較:左が今回使うミズシオン用マグネシウム棒、右は前回使ったアクパ用のマグネシウム棒。サイズが違うように見えるが、長さだけのようだ。)
(これも右がアクパ用。キャップのサイズも同じようだ。)
(付いていたタグ)
(上蓋。このへんはアクパよりも垢抜けている。)
〜実験開始〜
では早速使う。
アクパと全く同じなので迷いは無いが量をきちんと確認する。
こちらは塩が2杯(約7グラム)。
そして水が1,5杯と中途半端である(約180cc)。
だが、ここも僅かにアクパとの違いがある。
底面を回して外し、計量カップにするところは同じであるが、ミズシオンではここが若干台形のように上部がすぼまっている作りだ。
こうすることで水が僅かに溢れにくい。そして真ん中に線があるので、二杯目の0.5杯分を入れるのがちょっとだけ楽だ。
これであっさりと点灯。
当然だが、かなり暗い。
前回のアクパよりサイズダウンしているので、さらに暗さが目立つ。
明るさは直前で2000ルクス、1メートル離れると10ルクス、と書いてある。
現在、多くは明るさをルーメンで表記するので、これをルーメンで換算すると、
2000ルクス=63ルーメン
10ルクス=0.3ルーメン
程度である。
一例として、アマゾンで1000円程度で買えるマグライトでも1000ルーメンは出るのだ。
1000ルーメンは、約 31,831 ルクスである。
いかにアクパも含め、このタイプのLEDランタンが脆弱かが分かる。
だが前回で分かったように、このタイプは弱いがダラダラと放ったらかしで継続させて点灯させることが出来る。
そして暗いが「点いている」事を重視するならば、決して悪くはないと考える。
特に移動や捜索では役に立たないが、避難施設での生活や室内、目印などには役立つと思う。
逆に1000ルーメンも出る明かりなんて、部屋にあったら眩しくて苦痛だ。
現在セットが完了した。
次は30時間後に水と塩の交換が発生する。
・30時間経過
(1回目の洗浄と塩水交換)
少し過ぎたが1回目の交換をする。
当然だが安定して点灯中である。
さっそくマグネシウム棒を抜き水を出す。
マグネシウム棒は白く錆びたように汚れている。表面もボロボロとなり、古い水道管のようだ。
中は汚れがある。金属片のようなカスと白いゴミのようなものが見える。
上から水を注いで棒を戻し、よく振ってまた水を出す。
下から見るとまだ汚れている。
これを3回行った。
だいぶきれいになった。
今度はマグネシウム棒の方を洗浄してみる。
水に漬けて歯ブラシでこする。
多少、水の濁りが発生したので落ちたのかもしれないが、感覚的には全く汚れが取れているように感じない。
歯ブラシの効果よりも、単に水の影響で汚れが少し取れたという感じ。
(歯ブラシ後の水)
マグネシウム棒を戻して、再度塩と水を入れる。
これを2杯と、
これを1.5杯。
そしてスイッチをON。
当然のように再点灯した。
続けて今度は再度30時間後に同じことを行う予定。
これが今回、排水と洗浄で出た水の量だ。
これに加えて追加した水を入れるとだいたい500ml位だろうか。
緊急時にこれだけの水を使用するのだ。
洗浄は10歩譲って我慢すれば、まあなんとか我慢できるだろうか?
・開始から60時間以上経過
(2回めの洗浄と塩水交換)
2回目の水交換。
やることは前回と同じ。
ライトも点灯する。
中の水を抜いてマグネシウム棒の状態を確認する。
ここでおかしなことに気づく。
マグネシウム棒が殆ど減っていない。
このマグネシウム棒は80時間タイプなのに、全く大きさには変化がない。
ところどころサビのようにボコボコに減っているが、全体には変化ない。
おかしい。だがある事に気づいた。
実は私はこのテストのとき、眩しいので前回と変わって電源はオフにしている。
それが影響しているのだろうか?
しかし、塩水に浸かっている事には変わらないのだ。
私はこのタイプの製品の弱点の一つが、この部分だと指摘していた。
つまり電池タイプと違って「節約」がしづらいところである。
燃料のマグネシウム棒が塩水に浸かりっぱなしになっているので、電源をON/OFFしてもしなくても結局は溶けていってしまうのだ、と思っていた。
今回は水の交換などのチェック時以外は電源をOFFにしている。
その結果、マグネシウム棒はもうあと20時間しか使えないはずなのに、現在でも全く減っていないのだ。
こういうことがあるから、やはりなんでも自分で試してみる事が大切なのだ、と思う。
今のところ、この電源ON/OFFがまるで電池のように「節約」に繋がるのかは明確にはわからない。
そもそもこんな事は全く「想定」していなかった。
だが、せっかくなので、このままで進めていく。
今後も確認や水の交換以外は常時電源をOFFにしてみる。
しかし、どう考えてもあと20時間で尽きるとはとても思えない量だ。
あとはいつもどおり水の交換をして終わり。
あと、コツを覚えた。
洗浄の水と回数を節約する方法がある。
それは、排水時には、本体を「お辞儀」させて排水するのではなく、本体を横に倒してから排水する方法だ。
こうすると底に溜まった塩やマグネシウムのカスが排出されやすく、一回分の水を節約できた。
これもやらないとわからないことだと思う。
だが、上部の蓋を開け締めするときのスクリューはアクパもミズシオンも、どちらも凄くやり辛い。
ネジ切りが細かくて、なかなか噛み合わないのだ。
無理やりやると簡単に割れてしまうだろう。
ここは注意。
・80時間経過
(本来の終了時間、だが…)
80時間以上経過した。
本来ならここでマグネシウム棒は無くなりライトは点かないはずだが、現在も点いている。
今からもう一度中を確認する。
前回から薄々感じていたのだが、やはりほとんど変化していなかった。
本来ならば既に溶けて無くなっている時間である。
しかし、このとおり前回と全く変化が無い。
このあと通常通りに手入れを行ったが、面白いことにマグネシウムのカスもほとんど無かったのだ。
つまり電源を入れずに「消費」をしないでいると、その分だけ「燃料」であるマグネシウム棒も消費しないのだ。
この事実は、何処にも書いてない。
説明書には「使わないときはマグネシウム棒を抜き取りきちんと洗って下さい。使い際にはもう一度塩水を入れ直してください」
と、書いているだけだ。
でも実際は違った。
一見お飾りだと思っていた電源ボタンは意味があったのだ。
ここを押してONにしないのならば、完全とは言わないがマグネシウム棒の消費はとても少なく済む。
今回の80時間テストを行っている間、電気を点けていた時間はおそらく合計でも1時間無いと思う。
つまりあと79時間分残っている計算だ。
ならばここからはテストを変更して、今から点けっぱなしにする。
そして30時間ごとに水の入れ替えを再度行い、あとどれくらい利用できるのかを試したい。
今のところ79時間使えるという雑な計算が出来ている。
本当にこれだけ使えたとしたらそれはつまり、
「非常時でも使わないときはOFFにする事で、まるで乾電池式の様に節約も可能」
と、言うことが証明できると思う。
それでは開始。
その5につづく
【ほかにはこちらも】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?