【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5 「今から数年後・・・」第11章 Last Part (No.0225)
Part.3のつづき
「これが大切なのです。
必ずこの『私は・・・』を意識してください。
科学的だとか論理的だとかそんなことは関係ありません。
あなたがどう思い、どうしたいか、どうなって欲しいか、どうなるべきと考えているか、これが大切なのです。
現在の新しい政府になるまで、長いこと私達人々はこの事を教わることが出来ずにいました。
いえ、それどころか、まず最初に『破壊すべき』とさえ教えこまれ、そして幼い頃から人生を奪われてきました。
しかしようやくこの時代になってこれを教わり、愛することが出来るようになったのです。
ここが大切なのです。この『私が』のところです。
これは今の時代でも強調してもし足りないのです。
何故ならこれまで一度もこれを教えたり書き残したり研究されたりしていないので学ぶべき前例が無いからです。これから私達が作っていかないとならないものなのです。
ですが、単に『私は・・・』と言って、思いを話したところで好き勝手な妄言と言われても否定しづらいのも事実です。
その発言にどれほどの信憑性があるものなのか、その言動がどれほど相手に対してまたはその議論に関して意義があるものなのかは注意が必要です。
きちんと関連性があり、その議論の延長線にその『思い』が無ければなりません。
そうでなければただの子供のワガママであり、かえって相手に軽んじられてしまいます。
しかし、きちんとした『思い』には『根』があるのです。それが情報やデータです。
つまり『思い』とは情報やデータの上にあるのです。
情報が根なら、思いは幹です。
この2つがきちんと繋がっていることで初めて強力な武器になります。これを理解して下さい。」
会場の入り口の方で何やらガヤガヤとした物音が聞こえています。
どうやら何らかの荷物が届いたようで、それを不審物ではないのか?と疑った警官たちが取り調べ、特殊部隊の隊員が爆発物の疑いをもって対応しています。
「勿論悪人はその自分の『思い』すら嘘をつく事が充分に考えられます。
彼らは嘘の専門家ですし、その生涯を全て嘘で作り上げてきたのですから造作も無いこととも言えます。
しかし、繰り返しますがここで本当に大切なのは『私』なのです。
人は嘘をつき罪を重ねると『私』が死んでいきます。自分がいなくなってしまうのです。自分に立ち返ろうとすると過去の罪がやってきてそれと向かい合うことになるから、出来るだけそうならないように生きていこうとします。
その結果、自分が無くなるのです。空っぽになります。
しかし空っぽだと何も出来ないので、彼らは自分に都合の良いニセの人格を作り上げます。それは当然のことですが『嘘』です。
つまり嘘が彼らの人格、精神、魂、人生そのものになるのです。
世間的には『自分が無い人物』というのは何かを悟った無欲な人格者と思われますが、違います。
狂人です。
彼らの心の中は、その作り上げた嘘の人格を真実であり盤石であると思い続けることに必死です。ですが殆どのものはその彼らの人格を維持するだけの強力な嘘を手にすることは出来ず、何処かのタイミングで自我が崩壊します。
そうやって滅んでいきますが、それが早ければまだ改心のチャンスがありますが、大抵は残念なことに晩年にやってくるのです。
その前にチャンスがあっても殆どはそれを受け入れません。
彼らはプライドからそれを払いのけ、ますます自分を逃げ道の無いどん底へ追い込んでしまうのです。
ですからそのチャンスは結局人生の終盤やってきて、それで初めて受け入れるのです。つまり敗北を認めるのですが、そんなことしてももう時間が無いのです。
彼らがこれまでに行ったことはもう謝罪し罪を償うチャンスなんて無いのです。
こうして人は嘘によって滅びますが、その間に苦しみや悪や不幸がその人物によって世界にばら撒かれるのです。」
入り口からダンボールが運び入れられています。
どうやら安全が確認されたようでした。
「したがって悪人は自我が弱く、脆いのです。
正しい人の『思い』は真っ直ぐで力強く誰が聞いても納得できるものです。悪人のそれとは違うのです。
ですから『思い』同士で闘ったら絶対に善が勝つのです。
しかし悪は悪で大変に長い歴史があり、悪のテクニックなどがマニュアルとなって存在しています。
そしてそれを徹底的に幼い頃から学んでいるものたちがたくさんおります。これらは大変に強力です。よくよく注意が必要です。
そのマニュアルというのが悪魔崇拝でありカルト宗教です。
彼らはここから嘘や悪や偽善や詐欺のテクニック、そしてさきほど話した嘘の人格を維持する精神的な修行や知識を学び会得するのです。
恐ろしいことです。しかしこんなことをする連中が山ほどいるのです。
この新しい政府の時代になった今でもいます。日夜闘っていますが、まだまだいるのです。
しかし過去の政府の時代にはその存在すら隠蔽されていました。
ですが現在は正しい人たちの活動により、悪の正体が露わになったのです。ですから対策も取れるし恐れることは無くなったのです。」
会場の後ろには長テーブルが複数用意され、そこに荷物が置かれはじめました。
「皆さんは力強い『思い』を手にして下さい。
それを一切恥じること無く堂々と言えるようになって下さい。
恥じるべきは自分の思いすら言えない者たちの方なのです。
自分と向き合う勇気も無い者たちなど相手にすることはありません。
素直に正直に真っ直ぐに自分の思いを見つけ出し、それを世の中に対して語り告げるのです。」
ミドリミチは腕時計を確認しました。
「残念ですがそろそろ時間のようです。
皆さん、最後に『思い』を告げる練習をしましょう。
ここでは私に続いてください。」
ミドリミチはホワイトボードを消し、貼った紙も外したあと、ボード全体を覆うほどの大きな紙を貼り出しました。
「ではみなさん、この紙に書いてあることを大きな声で読みます。
いいですね?」
ミドリミチはこれまでにない大きな声で、
「私は、正しい者たちが幸せになれる世界を作りたい!」
その声に続いて会場の全員が叫ぶように続きました。
「わたしは正しい者たちが幸せになれる世界を作りたい!!」
「私は、私利私欲のために嘘を垂れ流し、真実を隠蔽するものを倒す!」
「わたしは私利私欲のために嘘を垂れ流し真実を隠蔽するものを倒す!!」
「私は、同調圧力に屈してマスクをしたり、非科学的で非人間的なワクチンの接種などしないし、絶対に子どもたちには打たせない!」
「わたしは同調圧力に屈してマスクをしたり非科学的で非人間的なワクチンの接種などしないし絶対に子どもたちには打たせない!!」
「私は、獣ではない!人を獣として扱うことを許さない! 獣のように管理することを認めない!」
「わたしは獣ではない!!人を獣として扱うことを許さない!!獣のように管理することを認めない!!」
「私は、正しいものだけを信じる! そして自分をどこまでも清く正しく賢くするために努力をする!」
「わたしは正しいものだけを信じる!!そして自分をどこまでも清く正しく賢くするために努力をする!!」
「私は、悪魔崇拝を破壊する! カルト宗教を破壊する! これに従う敵を全て倒す!」
「わたしは悪魔崇拝を破壊する!!カルト宗教を破壊する!!これに従う敵を全て倒す!!」
もし入り口が搬入のために開いていなかったら、窓ガラスが割れていたのではないかと思うほど、凄まじい声が場内に響き渡りました。
「この『思い』はあくまで一例です。これからは皆さん一人一人がそれぞれの思いを見つけ、そしてそれを毎日告げて下さい。心の中でも結構ですし声に出しても結構です。これが皆さんの力になります。悪がはるか昔から存在するように、この思いの力も昔から存在し様々な呼び名があるものです。『思い』であり『願い』であり『祈り』というものです。」
聴衆は一斉に立ち上がり割れんばかりの拍手が巻き起こりました。
「ありがとう。皆さんならきっと私の若かった時代のように悪や嘘が世界を支配することは無いでしょう。今日はとても素晴らしい日でした。皆さん本当にありがとう。これで講演は終わりになります。皆さんお帰りの際にはお土産がありますのでお受け取り下さい。
さきほどお話した『本当のマスク』を人数分用意しています。
ツバの長いキャップとノイズキャンセリングイヤホン、それとチープですがタフで機能性に優れた腕時計を用意しています。
色やカタチ、サイズ等はお好みでどうぞ。」
聴衆は皆一斉に出入り口に用意されたお土産コーナーへと走りだしお祭りのように賑やかになりました。
ミドリミチはその姿を満足気に眺めながらアイスティーを飲んでいると、特殊部隊の責任者がやってきて彼に感謝の言葉をかけました。
「ありがとう。私の方こそあなたたちへの感謝でいっぱいです。無事安全に講演を終えることが出来たのはあなた達のおかげですから。」
2人は強く握手を交わしました。
そして責任者はミドリミチを自分たちの車両で送ることを提案しましたが、彼は丁重に断りました。
「私はいつもどおりに自分のバイクで帰りますよ。それよりも彼らを安全に家まで送って上げて下さい。これからの未来を担うものたちを。」
「ご安心下さい。彼らを送る手配はもう出来ています。」
壇上で慈しむように2人は帰っていく若い聴衆たちの背中を見つめました。
彼らも来年は小学生になります。大人になっていくのです。
かつての古い時代であったなら通う学校が悪に支配されていましたから、真実を知る大人たちは気が気ではありませんでしたが、今のこの新しい時代では心から素直に彼らの成長を喜べたのでした。
ミドリミチは駐輪場でジェット型ヘルメットを被りエンジンをかけました。
ミラーには色とりどりのキャップを被った子どもたちが物々しいバスに我先にと乗り込んでいました。
「ミドリミチさん! さあ帰りましょう!」
責任者は装甲車の窓から叫びました。
その声を聞いたミドリミチも頷いて走り出しました。
彼の走るバイクの前後は護衛として装甲車やパトカーが囲んでおり、上空には急襲用ヘリと攻撃ヘリが飛び交っています。
本日、ミドリミチの講演は無事に終わりました。
しかし彼はこれからも様々なところで世界の真実を伝え続けていくのです。
決して若くない年齢ですが、これから彼は走り続けます。
相棒である、年代物のボアアップしたタウンメイトと共に。
【グッドプラン・フロム・イメージスペース】Episode.5
「今から数年後・・・」第11章
おわり
第12章につづく
【ほかにはこちらも】
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