【獣人処方箋】Case.19「合わせないリズム」 (No.0154)
獣人が狙う相手を見定めるとき、とある ” 行為 ” で判断します。
それはちょうどイルカやコウモリのようです。
イルカやコウモリは、仲間や餌、周囲の状況などを確認したり連絡を取り合ったりする際に " 超音波 " を使います。
これを発してその跳ね返ってきた反応で様々な事を判断します。
獣人もこれと全く同じです。
彼らは、まずエサかどうかを見定めます。
見た目や仕草を見て、その後に "超音波" を使うのです。
その方法は多々あり、軽く話しかけたり、咳払いしてみたり、舌打ちしてみたり、独り言を言ってみたり、周囲を威圧するような事をしたりと何らかの行動を必ず起こします。
これは獣人が出す超音波なのです。
これで所謂『探り』を入れているのです。
この超音波に対する反応、つまり『リアクション』で周囲の状況や狙うべきカモかどうかをチェックするのです。
名作映画「ミンボーの女」でも、カモになるかどうかを確認するために、まずはターゲットにしたホテルのレストランの料理に虫を仕込み、言いがかりを付けてホテル側の反応、リアクションを見るのです。その対処をする部署の人間やその能力、そして内々でトラブルを片そうとする " 事なかれ主義 " であるかなど、きちんと事前に「探り」を入れていました。
これが獣人の超音波です。
彼らは必ずこれを行い、自分達が常に優位で居られるように細工をしたり、他人を上手く扱い利益を搾り取ろうと動くのです。
彼らがこれを行うには、実はちょっとした理由があります。
それは、イルカやコウモリが超音波で弱い視力を補うように、獣人も『弱い視力』から来る苦手なモノを超音波による反応で補っているのです。
獣人が苦手なモノとは『文字』です。
彼らは文字が苦手です。
何故なら文字は反応がありません。
超音波を出しても、リアクションが無いから調子や波長は確認出来ないのです。
キチンと読めば文字や文章にも " リズム " が存在し、調子や波長というのも受け取れるのですが、彼らには文字をキチンと読む事は無理なので、そんな説明は彼らには理解出来ません。
ですから彼らはやたらと " 人に聞く " のです。
そして解らなければその教える人のせいにするのです。
また、人のせいにするから何時までも成長しないとも言えます。
ちょっとでも文字が絡んで来ると、必ず他人に " 解読 " させ、その人の調子や波長で内容を判断するのです。
自分自身では読み解けないのです。
今後、獣人たちから超音波を出された時には、何の反応も示さないで下さい。
呼吸を読まれないように肩を動かさずに息をする格闘家の様に。
膝の向きを読まれないように袴を履く武道家の様に。
深く静かに潜航する潜水艦の様に。
あなた自身が『文字』の様になって、何の反応も示さない " つまらない " 存在になれば、獣人は興味を無くすかも知れません。
お気をつけください。
【獣人処方箋】Case.19
「合わせないリズム」 (No.0154)
おわり
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