【2つめのPOV】シリーズ 第4回「波」Part.3(No.0177)

パターンB〈ラウディのサングラス〉

[Remove sunglasses]


今は真夏なのでこの喩えはあまり相応しくないが、枯れ葉を集めるにはバカボンのキャラが持っているような竹箒はとても効果的で、近未来で描かれてきた時代になった今でもアレはとても活躍しているし良いものである。

しかし人をかき集めるにはどうしたらよいかと考えると、枯れ葉には枯れ葉のやり方があるように、人には人のやり方があるものだ。


かなり昔から人はセールという言葉に弱く、それだけで簡単に右へ左へと誘導される。

「安かったから」

と、いう魔法の一言は、その人に一切必要で無いものでも意欲を掻き立て購入に走らせたりする。


食べきれない量のイチゴやブドウを取り放題で一律の料金だからという理由で、残してまで取り尽くそうとする欲望は、一般的に考えても充分に頭が悪くマナーもなってないと批判される。

もし日頃からイチゴやブドウが溢れるほど食べられる人生だったら、絶対にこんな事はしないというのは誰でも解ることだ。

つまりこういう人達は日頃からイチゴやブドウが不足していると考えられるが、当然本当は果物が欲しいわけでは無くて、単に「損得」で「得」が欲しいだけだ。


日常の生活では常に何らかの方法で「損」をさせられている人達が、如何にして「得」をするかを考える。

それがビジネスとなっている。

東南アジアの若い学生たちを「留学生」という美名のもとで「奴隷」として連れ込み、日本人がやりたがらない過酷極まりない残虐な奴隷労働を強いる事が、ハッキリと当たり前になっている。

少し派遣のバイトでもすれば、何人か解らない若者たちが集団で働いている姿は誰にでも確認できる。

この人種や国境間でのギャップが「得」を生み出し、この日本国内でも常に「損」を取らされている人達に、僅かながらの「得」を与える事で、現状の破壊や転換を発想させるキッカケを奪い続けることが出来る。


この損や得というのも、奴隷と同じく差別が根底にある。
しかし言葉にしづらいし、何を根拠にと言い出すとなかなかに複雑であり、その差別の根底が広く深い為に一体誰に申立して良いかも解らない。

仮に時給の安さを勤め先に文句言ったところで、根底から変わるほどの金額の向上は考えられない。
会社からしても相場が元になっていることが殆どだろう。

この相場は誰が決めたというわけでなく、全体から発生した「臭い」のようなものだ。

その悪臭の元を探して右往左往したところであまり効果はなく、大概それは手の届かない「上」から降り注いでくるものである。

「損」を被る羽目に遭う人達は、この雨を防ぐ術は無いようにさえ感じられている。

長年その雨が常識とされ、世代をも超えて受け続けているので疑いが無くなっているのだ。


そうなると簡単にはこの雨は止まない。



[Put on sunglasses]


柿を食べれば皮や種がゴミになる。
そのゴミは放り投げて捨てれば良い。

どうやら世の中には、そのゴミを有難がって積極的に片付ける連中もいるらしい。
ならばそいつらに任せれば良い。

我々はこの旬ごとに実る果実を愉しめばよく、ゴミは放ってしまえばいいだけだ。
時には残った果実も捨てるが、気にすることはなく、また手に入れればよいのだ。

果実は上になるのだから、ゴミは下に捨てるのは当然の理である。

奴らがゴミが嫌と言うならば、ゴミを食べなければ良いのだ。
嫌なら辞めてしまえばよい。


他所へいくが良い。


まあ、行くところがあればの話だが。
結局どこへ行こうが我々の手のひらの上である。

そのように作ったのだから。


右へ行く?結構でしょう。

左へ行く?結構でしょう。

下へ行く?どうぞお好きに。



上に来る?



駄目だ。



それは許されない。
お前たちにはその資格は無い。


お前たちが上に来てしまったら、一体我々が出したゴミは誰が片付けるというのだ?


第4回  「波」Part.3(No.0177)


パターンB〈ラウディのサングラス〉


おわり


Part.4につづく

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