
1月28日 インキュベーションとしての音楽フェスティバル
(カバーは、2020年2月、パンデミック目前の状況で開催したTrans Asia Music Meetingの1on1ミーティング@桜坂劇場)
週末など関係なく「Music Lane Festival / Trans Asia Music Meeting」についてのやりとりが断続的に続く。コロナ禍以前にやっていた時は、出演アーティストとDelegatesを繋ぐことだけを考えていたのが、今回は状況がまるで違っている。国内外のその周辺の人たちから次々と声がかかるのだ。メディアやメジャーレコード会社や事務所から、直接・間接に参加希望の連絡が入ってくる。目的はさまざまだ。新しいアーティストを探していたり、アジアの音楽関係者との繋がりを求めたり。また、新たなムーブメントとしてイベントを紹介したいという話だったり。それはアーティストにとってもメリットがあることなので、基本すべてを受け入れている。
これまで日本では、ショーケース・フェスティバルそのものの認知度が低かったのだが、ようやく届き始めたような軽い手応えのようなものを感じている。それは、何より周りで日々協力してもらっている仲間たちの助力によるとことが大きい。

ショーケース・フェスティバルは、インキュベート・フェスティバルとも言い換えられると思う。新しいアーティストの登竜門的な場であり、ある種の育成の場でもある。その面白さは、出会いと発見に尽きる。さまざまな街でのショーケースに参加するたびに、毎回、刺激や衝撃を受ける。昨年は8月以降、ソウル、シンガポール、台南のイベントに参加したのだが、それぞれの街で出会ったいくつかのアーティストはとても印象に残っていて、何かしら一緒に形にしたいという思いが渦巻いている。「Music Lane Festival / Trans Asia Music Meeting」では、主催という立場なのだが、私自身もやはり新しい出会いと発見、そこから生まれるであろう化学変化を心待ちにしている。

このフェスには沖縄からHARAHELLSが出演した。
前年、ソウルのショーケース、Zandari Festaでオーガナイザーの目をひいて、声がかかった。

LUCfestのオーガナイザーWeiningは、2019年2月、Trans Asia Music Meeting(沖縄)で折坂悠太を聴いて、台南でのライブを実現した。
今回、海外からは15名ほどのdelegatesを沖縄に招いた。漫然と知り合いだからという理由で選んでいるわけではない。それぞれがベースにしている街があり、ジャンルも得意分野も異なる。そこに、今回のイベントに出演したアーティストがどういうアプローチをすればいいのか。具体的な結果、将来に向けて繋ぎ広げていくためにはどうすればいいのか、ということを常に考えて依頼を投げている。
決してビッグネームが出演するわけではなく、チケットが多く売れるわけでもない。興行的には、非常にハードルが高いイベントだが、それでもニーズはあって必要性は強く感じている。
たとえば、フットボール選手が成功してヨーロッパのビッグクラブに移籍したら、子どもの頃に練習していたクラブを含めて、すべての出身クラブに財政的な還元があると聞く。「音楽にもそうしたシステムがあるといいのに」と、LUCfestのWeiningと話したことを覚えていて、日々そうした可能性をぼんやりと考えている。
繰り返すが、ショーケース・フェスティバルは、新しい出会いと発見の場だ。それはオーディエンスにとっても同じことだ。彼らが繰り返し足を運びたくなって、音楽ファンの裾野が少しずつ広がっていくような、そうした場に育てていきたいと思う。

彼らは2019年2月のTrans Asia Music Meeting(沖縄)で、Cat ExpoのディレクターTukからオファーを受けた。海外のバンドが沖縄経由で海外フェスに招かれるという一例。こうして、沖縄が海外へのHUBになるということが、一つの目指すところでもある。

Piyapong ‘Py’ Muenprasertdee(Bangkok Music City / ASEAN Music Showcase Festival:タイ)
Ginn Sentaro(dsessin the world:タイ / 日本)
Peiti Huang(World Music Festival Taiwan / wind Music:台湾)
Weining Hung(LUCfest:台湾)
Jun Hung Lee(Seoul Music Week / Global Music Network:韓国)
Kong Dalse Yoon-Young(Zandari Festa / DMZPeace Train Music Festival:韓国)
Cecilia Soojeong Yi(DMZ Peace Train Music Festival / Flipped Coin Music:韓国)
Bel Certeza(Indie Manila / Island Records Philippines:フィリピン)
Mary Christine"MC" Galang(The Rest Is Noise:フィリピン)
Satria Ramadhan(SRM / Fungjai Indonesia:インドネシア)
Natsagdorj Tserendorj(Playtime Festival:モンゴル)
根木龍一 / Ryuichi Negi(Soul Beat Asia / microAction:日本)
寺尾ブッダ / Budda Terao(Big Romantic Records / 月見ル君想フ東京・台北:日本・台湾)
Mak Wai Hoo(Soundscape Records / City ROARS! Festival / Live Fact:マレーシア)
津田昌太朗(CHARLOTTE INC. / Festival Life:日本)
Josh Kahn(ASEAN Music Showcase Festival:アメリカ)
幸田悟(OKINAWA LOVEweb:沖縄)
Music Lane Festival Okinawa 2023 / Trans Asia Music Meeting 2023詳細