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Koza City Jazz 2023 production note

(カバー写真は、Gray by Silver @ Seoul Music Week 2022。ジャズと韓国トラッドを自在に行き来する創造性に富んだ音楽。韓国にはこうしたバンドがかなり多い)


2019年5月、コロナ禍前に招かれた”Seoul Music Week”で聴いたバンド、"Gray by Silver"のことが、とても印象に残っていた。抜群のテクニックと、ジャズと韓国の伝統音楽をミックスさせた音楽には多くの聴き手を納得させるクオリティを備えていた。機会を作って沖縄にも来てもらえたらと考えていたのだが、コロナがやってきて3年の空白の時間が流れた。

昨年8月、コロナ禍で初めての海外はSeoul Music Weekだった。ショーケースに出演したアーティストのクオリティは非常に高く、ほぼすべての参加者のライブを聴いた。その中でやはり印象に残ったのは、”Gray by Silver”だった。3年前の彼らだと気づかずに聴いていたのだが、ライブが終わる頃には、以前に感じた記憶がじわりと甦ってきた。
”ああ、彼らだったのか”。
その場でCDを手に入れて、リーダーでピアニストのHanBin Leeと、なんとか沖縄での公演の機会を作りたいという話をした。

この3年の間に、"Gray by Silver"は、世界での評価を着実に高めていて、今年はJodhpur riff music Festival(インド)やColours of Ostrava(チェコ)といったフェスへの出演のほか、アメリカ・ニューヨークのリンカーンセンターでのライブも決まっており、韓国はもちろん、海外のジャズシーンでも大きな注目を集めつつある。

台南の"LUCfest"。こちらも今やアジアを代表するショーケース・フェスティバルに成長した。昨年11月に3年ぶりに参加したイベントで、なんの前情報もなく、一番最初に聴いたのが"OC experiment"というグループだった。
このフェスは比較的インディーロック系のバンドの割合が多いのだが、彼らの音楽の下敷きはジャズだった。ジャズに、R&Bなどがうまくブレンドされていて、とても現代的にアップデートされたオリジナルで洒落た音楽という印象を持った。Vocal+KeyboardsのOCのセンスが光っていて、ライブは楽しく、観客も盛り上がっていた。

”Gray by Silver”と”OC experiment”。彼らがやっていることは、ジャズをベースにしているとはいえ、まるで違っている。共通しているのは、強烈なオリジナリティだ。沖縄でそうした個性がぶつかり合うようなヒリヒリするライブをやれないだろうか…。
今年の”Koza City Jazz"はそういうところが出発点だ。
沖縄からは”element of the moment"が出演する。彼らの強烈なオリジナル志向と熱量の高い演奏が、韓国や台湾のバンドと競演する中で、どういう風に聴こえてくるのかとても興味深い。

”element of the moment"は、今年5月に韓国の蔚山ジャズフェスティバルへの出演が決まっている。今年9月の"Seoul Music Week"に応募した彼らは、ディレクターのJun Hung Leeの推薦で蔚山のジャズフェスへに出演することになった。
また、同じJun Hung Leeのレコメンドで、韓国の"Gray by Silver"と、沖縄のワールドミュージック・アーティスト、"Aragaki Mutsumi"とのコラボレーションが決まった。"Aragaki Mutsumi"は、一昨年、世界最大のワールドミュージックの見本市WOMEX(the World Music Expo)の公式ショーケースのアーティストに選ばれた。そのことによって、世界のワールドミュージックのプロフェッショナルが、彼女に目を向けることになった。このコラボは、6月の"Koza City Jazz"でお披露目される。もしそれがうまくいくと、その先の展開にも繋がるのかもしれない。
今年の"Koza City Jazz"からは、東アジアの新しいジャズの可能性が垣間見えてくるのではないかと期待している。

今回、沖縄、韓国、台湾のバンドが出演するということで、フライヤーの表めんは、ベースにアナログレコードを敷いて、沖縄そば、ビビンバ、台南担仔麺をフィーチャーした。

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